のぼるくんの世界

のぼる君の歯科知識

本の世界

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食はイスタンブルにあり

2023年10月20日(金)

君府名物考
著者 鈴木薫
講談社文庫
2020年9月9日発行
1000円
 長らく品切れになっていた初版(1995年NTT出版から刊行された本書の原本)を学術文庫として刊行。本書は、イスタンブルの食の世界の文化史というべきもの。副題の「君府」はイスタンブルの漢名。「名物考」は、中国文学史の青木正児先生の名著「中華名物考」をならったもの。
 イスタンブル食文化史、食文化論は、本書の初版刊行から四半世紀が経った現在もトルコ本国でも欧米でも見る機会がない。本書のめざすところは、1453年以来、「君府」を帝都としたオスマン帝国の歴史的発展の過程を踏まえながら、帝都イスタンブルの食の世界の展開を垣間見ることにある。トルコの食品の豊かさとトルコ料理の名物珍味の数々を紹介していく。
 トルコ大周遊15日間
kojima-dental-office.net/blog/20231207-17636 続きを読む

iPS細胞ができた!

2008年08月17日(日)

iPS細胞ができた!ひろがる人類の夢
著者
山中伸弥 京都大学再生医科学研究所教授
畑中正一 京都大学名誉教授 ウイルス研究
集英社
1100円
2008年5月31日発行
 世界が注目した偉業を2人の対談でわかりやすく解説した1冊。これからどんな道が開け、何が課題なのかじっくり読んでいただきたい。また、研究の環境整備も考えさせられる。
 山中伸弥、藤井聡太著「挑戦 常識のブレーキをはずせ」
kojima-dental-office.net/blog/20220115-15293#more-15293
 山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る
kojima-dental-office.net/blog/20211124-15014#more-15014
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福岡伸一、西田哲学を読む

2018年08月14日(火)

福岡伸一、西田哲学を読む 生命をめぐる思索の旅
 動的平衡と絶対矛盾の自己同一
著者  池田善昭 西田哲学の継承者
    福岡伸一 分子生物学者
「生物と無生物のあいだ」
kojima-dental-office.net/blog/20200914-14306#more-14306
明石書店
2017年7月7日発行
1800円

 「動的平衡」概念の提唱者・福岡伸一氏が、池田善昭氏を指南役に、専門家でも難解な西田哲学を鮮やかに読み解いた1冊。その過程で「生命の定義」にもたどり着く。 続きを読む

口笛のはなし

2025年07月19日(土)

最相葉月、口笛奏者・世界チャンピオン武田裕煕著
2025年2月26日発行
ミンマ社
2000円
 口の働きを育み、歯並びを整えるために口笛を吹けるか吹けないかは大切な指標になる。それでも、指笛や手笛と同じく実際に教えるのは難しい。この本には、言葉でステップを踏んで解説してある。
 増﨑英明 最相葉月著「胎児のはなし」
kojima-dental-office.net/blog/20191111-13390#more-13390
 口の働きを調べるアンケート 口笛が吹けますか
kojima-dental-office.net/20100206-1518#more-1518
 T4Kによる上顎アーチの改善
kojima-dental-office.net/20220811-3588#more-3588
 音声学者、娘とことばの不思議に飛び込む
kojima-dental-office.net/blog/20230815-17329
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白州次郎的

2008年11月28日(金)

勢古浩爾著
洋泉社 新書
2004年12月20日発行
740円
 白州次郎は、「日本一カッコイイ男」といわれ、理を助け無理に歯向かう男である。理を知りながら、情を失わない。一言で言うと、実がある。また、自分の非を認めてきちんと謝罪できる男でもあった。そして、権力に望んだことは「雅量と同情」である。 続きを読む

「話し方」の心理学

2008年10月16日(木)

「話し方」の心理学必ず相手を聞く気にさせるテクニック
ジェシー・S・ニーレンバーク著
小川敏子【訳】
日本経済新聞社
2005年10月20日発行
定価1500円+税

 全米で40年にわたり語り継がれてきたビジネス&コミュニケーションの古典的名著。どんな場面でも、対話の基本は変わらない。大切なのは相手に「考えてもらう」こと。医師・看護師と患者さんなど多様な会話例が紹介されている。例えば、手術のことが心配だと相手がうち明けたとする。それに対し、簡単な手術だから心配いらない、などとあっさり言わない。それよりも、手術を受けようとした経緯を話してもらう。説明することで相手は不安を吐き出すことができる。充分話を聞いてから、その手術に関する情報を提供すれば、少しでも安心させることができるだろう。患者さんへのアドバイスに、スタッフとの意志疎通に、家族との会話にぜひ活用していただきたい一冊である。 続きを読む

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン

2011年06月07日(火)

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン人々を惹きつける18の法則
カーマイン・ガロ著
井口 耕二訳
日経BP社
2010年7月20日発行
1800円
 ジョブズのプレゼンテーションを3幕、18シーンに分けて分析し、聴衆を魅了するテクニックの数々を明らかにしている。コミュニケーターとしてのアップルCEOジョブズを紹介する本である。そして、本書を活用すれば、彼と同じように聞き手の心を動かし、また聞きたいと思われる話ができるようになれる。しかし、何事も努力である。ジョブズもあのような能力を持って生まれてきたわけではない。 続きを読む

蔦屋重三郎と田沼時代の謎

2025年03月15日(土)

安藤優一郎著
2024年7月26日発行
PHP研究所
1050円
 2025年大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」
www.nhk.jp/p/berabou/ts/42QY57MX24/
 TSUTAYAと蔦重とは全く関係ない
www.nhk.or.jp/shutoken/articles/101/017/94/
 り上がり者・蔦屋重三郎や田沼意次でも世襲が当たり前であった江戸時代に時流を読み取ることで一代でそれぞれのトップに立てたことが、現代に残した一番の遺産であり、教訓である。
 蔦屋重三郎は、出版という異業種に飛び込み、世襲に抗うように一代で江戸のメディア王にまでのし上がった。まさに奇跡。吉原の貸本屋に始まり、わずか10年ほどで江戸の出版界を牛耳る書物問屋・地本問屋が軒を並べる日本橋に進出する。江戸の出版界で成功した理由は、才知が非常に優れ、度量も大きく、人と接する際には信義を持って臨んだ人間性と、巧みな構想と優れた計画で出版界を牽引したビジネス力の為せる業にある。20数年に渡って、江戸の話題を呼ぶ刺激的な作品を世に問い続けた。田沼意次が幕政を握っていたことが追い風となる。 続きを読む

TOKYOオリンピック物語

2011年08月04日(木)

TOKYOオリンピック物語野地秩嘉著
小学館
2011年2月12日発行
1800円
 著者が1995年から取材を始め、完成までに15年間も要した力作である。
 オリンピックを支えた者たちは、真正面からオリンピックに向かい合い、何年もの間、オリンピックだけのことを考えて人生を送った。オリンピックの主役である選手たちより、彼らはオリンピックの本質を理解していた。
 彼らが大きな仕事を遂行するため、試行錯誤の上にたどりついたのがマニュアルとシステムを作ることだった。自分たちの体験を仲間に伝え、ミスが起こらないようにしたのがマニュアル化だ。自分の恥だと思って、抱えてきた失敗を他人に進んで公開することで、同じようなミスが起こるのを防いだのである。システムとは自分が知らせたくないことを他人に伝えることから設計が始まる。
 今の日本人に足りない、がむしゃらな情熱と変化を恐れない腹のくくり方をこの本から学びたい。 続きを読む

宇宙飛行士 野口聡一の全仕事術

2023年01月05日(木)

 「究極のテレワーク」と困難を突破するコミュニケーション力
著者 野口聡一
世界文化社
2021年12月15日 発行
1400円
 2019年末に現れた新型コロナウイルスの脅威は、世界中に広がり、人々の動きを止めた。大切な人が亡くなり、人々の心は分断された。否応なしに、私たちの生活を変えてしまい、長期にわたる在宅活動を強いてきた。ここ数年は耐え忍ぶ時代。
 ポスト・コロナという時代を切り開いていくためには、「物理的に離れていても、心理的に孤立しないこと」を意識し、ダイバーシティー(多様性)、インクルージョン(受容性)、そしてレジリエンス(強じん性)が重要。
 この本を、故・立花隆先生に捧ぐ 続きを読む

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