のぼるくんの世界

のぼる君の歯科知識

本の世界

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食欲人 原題は『Eat Like the Animals』

2024年01月05日(金)

新版・科学者たちが語る食欲、健康的に食べる方法を、動物が教えてくれる
著者 デイヴィット・ローベンハイマー 
   スティーブン・J・シンプソン
訳者 櫻井祐子
サンマーク出版
2023年6月30日発行
1600円
 科学者は、「自分は間違っていないだろうか」と常に自問するよう訓練されている。研究で特殊例にとらわれすぎると、結果に潜む真のパターンを見過ごすリスクがある。また、自分の見たいものしか見ないリスクもある。そこで役に立つのが統計学。データの乱雑さやバラツキの根底にパターンが存在する場合、それを見抜く上で統計学は欠かせない。 続きを読む

思考の整理学

2021年12月27日(月)

外山滋比古著
ちくま文庫
1986年4月24日発行
 2021年3月5日 第125刷
520円
1.「思われる」と「考える」
 ①I thinkAisB
 日本へ来たばかりのアメリカ人から、「日本人は二言目にはI think….というが、そんなに思索的なのか」と質問されて、面食らうことがある。
 「AはBである」と断定してしまっては、相手へのあたりが強すぎるという気持ちが働く。そこで何かで包みたい。人にお金を渡す時に包みに入れる感覚。「むき出しのお金はいけない」は常識。「AはBである」は、はしたない。包めば「AはBだと思う」となる。その心理が英語でしゃべる時に持ち込まれると、AisBではなく、特に考えているわけではないのにI thinkAisBという表現になる。 続きを読む

男の作法

2009年10月25日(日)

男の作法池波正太郎著
新潮文庫
昭和59年11月25日発行
438円

 池波正太郎の「若い友人」佐藤隆介氏の様々な質問に答えられたものが、きわめて具体的に男の生き方を教えるこの一冊になっている。食卓の礼儀作法に始まり、人事、組織、贈り物、小遣いなどなど。引き戸や畳などの日本の家についても語る。自分を知り、自分本位ではなく、他人を思いやり、気をまわす日本の心に触れたように思う。 続きを読む

自分の頭で考える日本の論点

2021年01月26日(火)

自分の頭で考える日本の論点出口治明著
 立命館アジア太平洋大学学長、ライフネット生命創業者
幻冬舎新書
2020年11月25日発行
1100円
 人々の間で意見が分かれている「論点」を22個選び、基礎知識的なことを解説した上で、著者はどう考えているかを述べている。そこに至る思考のプロセスを学びたい。
 物事を考える時に大切にされていることは、「タテ(昔の歴史)・ヨコ(世界はどうなっているか)・算数(数字、事実、論理で裏付ける)」の3つ。日頃からそのような訓練を積み重ねることが、想定外のことが起きた時に生き残る力とななる。
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なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか

2020年12月11日(金)

なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか野嶋剛著
nojimatsuyoshi.com/
扶桑社新書
2020年7月1日発行
880円
・SARSの教訓から指揮系統の一本化、中央と地方の一致、対策の合理性、情報の透明化、必要な準備、法体系の整備などの事前対策をしっかリ整えたこと
・12月31日に、台湾政府は、情報の把握、閣僚会議、検疫体制の強化、中国への確認、WHOへの通報、そして、国民への注意喚起を行ったこと
・トップが大局的観点から決断できたことと、これと思った人材を揃えることができる仕組みがあること
・「台湾を守る」への共感力が台湾のコロナ対策の原動力になったこと
・インターネットの無数の議論から生まれる世論上の判断が政策決定に活かされること
・台湾では、まずは国民の生命を守る感染押さえ込みを優先し、政府に保証や支援を求める「金」の話は後で構わないという考え方が強かったこと
・感染症対策については、国家は鬼になったこと
・台湾の人々は中国とWHO情報を信用しなかったこと
・ITに強いこと
などなどジャーナリストの分析はすごい。
時系列もお読みください 続きを読む

歯科衛生士のためのヘルスカウンセリング

2021年09月11日(土)

宗像恒次監修・著
1998年1月10日発行
クインテッセンス出版
6500円
 本書で述べるヘルスカウンセリングは患者さんが必要な行動改善に自ら気づき、自分の意思によるセルフケア行動を育てるための行動科学に基づいた効果的な係わり方である。
 頭で分かっていながら行動の決断と実行ができない背景には、不安、怒り、悲しみなど隠された感情を持った意思が働いていて行動を妨げている。歯科医療従事者は患者さんの隠された感情や意思に気づき、自分自身で決断できるように支援できるカウンセリング技法を身につける必要がある。 続きを読む

ゾウの時間ネズミの時間

2009年04月16日(木)

    サイズの生物学
本川達雄著
1992年8月25日発行
中央公論社
680円

 読み継がれてきたことに納得できる本である。
 動物が変われば時間が変わるということを知った時は、新鮮なショックを感じた。時間が違うということは、世界観がまったく異なるということである。時間とは、最も基本的な概念である。しかし、自分の時計は何にでも当てはまると、なにげなく信じ込んで暮らしてきた。そういう常識をくつがえしてくれるのが、サイズの生物学である。一生を生き切った感覚は、ゾウもネズミも変わらないのではないかと思う。
 サイズを考えるということは、ヒトというものを相対化して眺める効果があり、ヒトの自然での中の位置を知ることが出来る。人が己のサイズを知る、これは人間にとって、最も基本的な教養であろう。 続きを読む

海馬  脳は疲れない 

2008年07月31日(木)

海馬池谷裕二先生とコピーライターの糸井重里氏との対談
                                               2004.6.1.
池谷裕二  1970年生まれ 東京大学薬学部助手
            1998年 海馬の研究により薬学博士号を取得
糸井重里  コピーライター
朝日出版  1700円 続きを読む

フェルメールの世界

2025年05月29日(木)

17世紀オランダ風俗画家の軌跡
小林頼子著
1999年レ10月30日発行
NHKブックス
1160円
 オランダ風俗画から見えてくる日常生活に心が躍り、フェルメール絵画の中に流れる不思議な時間に魅了される。フェルメールは、行為の伴わぬ単身の風俗画という新たな独自の世界を、貪欲なまでの模倣の精神と豊かな創造的エネルギーによって描き始めてわずか数年で創り上げた。考え抜かれた消失点・消失線、遠隔点・対交線に基づいた空間構成法によって視覚印象との不自然さを解消させ、光と質感の描写も独特のものへと鍛え上げた。1675年に43才という若さでこの世を去った彼にもう少し時間があったなら、どんな作品に進化しただろうか。
 17世紀オランダは、他のヨーロッパ諸国に先駆けて市民主体の社会が実現し、国教と定められたプロテスタントが基本的に教会内を宗教画で飾ることを禁止していたので、絵画の購入層が王家、貴族、教会といった大口の顧客ではなく、市民、農民といった一般の人々だった。だから小さな絵が多く、庶民の日常の姿を反映する風俗画が好まれた。 続きを読む

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