本の世界
ウイルス
2020年12月11日(金)
野嶋剛著
nojimatsuyoshi.com/
扶桑社新書
2020年7月1日発行
880円
・SARSの教訓から指揮系統の一本化、中央と地方の一致、対策の合理性、情報の透明化、必要な準備、法体系の整備などの事前対策をしっかリ整えたこと
・12月31日に、台湾政府は、情報の把握、閣僚会議、検疫体制の強化、中国への確認、WHOへの通報、そして、国民への注意喚起を行ったこと
・トップが大局的観点から決断できたことと、これと思った人材を揃えることができる仕組みがあること
・「台湾を守る」への共感力が台湾のコロナ対策の原動力になったこと
・インターネットの無数の議論から生まれる世論上の判断が政策決定に活かされること
・台湾では、まずは国民の生命を守る感染押さえ込みを優先し、政府に保証や支援を求める「金」の話は後で構わないという考え方が強かったこと
・感染症対策については、国家は鬼になったこと
・台湾の人々は中国とWHO情報を信用しなかったこと
・ITに強いこと
などなどジャーナリストの分析はすごい。
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2020年10月28日(水)
中屋敷均 著
講談社現代新書
840円
2016年3月20日発行
教科書では「ウイルスは生物ではない」と教えられる。しかし、細菌で起こる病気もウイルスによって起こる病気も、基本的には同じ生物現象にしか思えない。そして、「ウイルスDNA」を、たった1塩基変異させただけで感染しなくなり、「ただの物質」となる。DNAのたった1塩基の違いが、「生き物」と「ただの物質」を分ける。
我々人間は異なった2つの「生」を生きている。DNA情報からなる生物「ヒト」としての「生」と、脳情報からなる人格を有した「人」としての「生」。例えば、不慮の事故に会う。すぐに精子を取り出し冷凍する。人が亡くなった後でも、細胞としての精子は「生きて」おり、そこから子供が生まれてくる。「ヒト」は生きていても、「人」は亡くなっている。多くの生物は、DNA情報による「生」しか持たない。 続きを読む
2020年05月03日(日)
新型コロナウイルスの危機に直面する人たちに向けて、インターネット上で発表
藤原辰史氏 京都大人文科学研究所准教授
www.iwanamishinsho80.com/post/pandemic
人間は楽観主義にすがり現実から逃避してしまう癖があり、甚大な危機に接して、為政者の楽観と空威張りをも信じてしまう。新型コロナウイルスは、国家や家族、そして未来への信頼を打ち砕き始めている。後世に残す文章を尊重し、歴史を重視する組織であり、国のリーダーが情報を隠すことなく提示してきたならば、そのデータに基づいて国民は行動を選択できる。異論に対して寛容なリーダーであれば、より創造的な解決策を提案できる。 続きを読む
2020年09月14日(月)
福岡伸一著
センス・オブ・ワンダーを捜して
kojima-dental-office.net/blog/20111208-1185
講談社現代新書
880円
2007年5月20日発行
ウイルス その生態と進化(1973年6月28日発行)
kojima-dental-office.net/blog/20201009-14315 続きを読む
2020年10月09日(金)
福見秀雄著
ダイヤモンド社
850円
1973年6月28日発行
40年近く前の本である。ウイルスの生活をウイルスの側に立って眺め、ウイルスの生存を中心に考える。ウイルスが生き、そして存続していくためには、感染する生物との間で感染環が形成されなければならない。ウイルス生態学は感染環の構造を分析し、それが成立する条件を研究することである。
ウイルスを生物と呼ぶべきかどうかについて議論もあった。しかしそれをどう呼ぼうと、ウイルスを中心としたその現象が生物現象があることは間違いない。 続きを読む