本の世界
生き方
2009年10月25日(日)
池波正太郎の「若い友人」佐藤隆介氏の様々な質問に答えられたものが、きわめて具体的に男の生き方を教えるこの一冊になっている。食卓の礼儀作法に始まり、人事、組織、贈り物、小遣いなどなど。引き戸や畳などの日本の家についても語る。自分を知り、自分本位ではなく、他人を思いやり、気をまわす日本の心に触れたように思う。 続きを読む
2022年08月16日(火)
よみがえる天才7
海棠 尊 著
ちくまプライマリー新書
2022年3月10日発行
920円
座右の銘は「任人勿疑、疑勿任人」(人を疑うに任ずるなかれ、人を任じて疑うなかれ)
あだ名は「ドンネル(雷)」
医学は、誤解と誤謬を是正しながら築き挙げられていくもの。彼の人生を理解することは、現在の衛生行政の誤謬を理解する一助となる。北里が直面していた問題は、決して過去のことではない。 続きを読む
2022年06月11日(土)
無意識のジェンダー・バイアスを克服する
治部れんげ 著
小学館新書
2020年10月6日発行
800円
他人の過ちを指摘するのは簡単だが、自分自身が持っているジェンダーに基づく決めつけ、思いこみに気づき、直していくことは難しい。年を取るにつれて「それは違う」とストレートに指摘してくれる人は減っていく。家族、親戚、友人から「間違いを指摘してもらえる状態」を作ることが、バイアスを除く一番良い方法だと思う。
ジェンダーについて「知る」ことから初めて、周囲の人と話をして考えを深める。世界に広がる「ジェンダー」に基づく「らしさの決めつけ」や格差を解消するための試みを知ると、日本の当たり前を見直し、個人が望む社会を作る参考にもなる。 続きを読む
2008年11月28日(金)
勢古浩爾著
洋泉社 新書
2004年12月20日発行
740円
白州次郎は、「日本一カッコイイ男」といわれ、理を助け無理に歯向かう男である。理を知りながら、情を失わない。一言で言うと、実がある。また、自分の非を認めてきちんと謝罪できる男でもあった。そして、権力に望んだことは「雅量と同情」である。 続きを読む
2009年03月06日(金)
藤原 正彦著
新潮新書
2005年11月20日発行
680円
アメリカ化により、金銭至上主義に取り憑かれた日本人は、財力に任せた法律違反すれすれのメディア買収を、卑怯とも下品とも思わなくなってしまった。戦後、祖国への誇りや自信を失うように教育され、すっかり足腰の弱っていた日本人は、世界に誇るべき我が国古来の「情緒と形」をあっさり忘れ、欧米の「論理と合理」に身を売ってしまった。「国家の品格」をなくしてしまった。振れすぎた振り子を見直し、日本人の心を取り戻していただきたい。 続きを読む
2023年01月29日(日)
沢野ひとし著
集英社
2022年11月30日発行
1600円
この本は、料理本ではなく、あくまで台所が主役。
一般的に60歳前後、定年後をジジイと言う。定年後には、4つの選択肢がある。仕事、趣味、ボランテイア、そして「何もしない」。蕎麦は孤独に慣れているが、焼きそばは寂しがり屋。一人で焼きそばを食べている人は、訳ありの人が多い。
ジジイにとって、台所は唯一の足が地に着いた生活の場であり、心のよりどころになる。上昇志向の場であり、瞑想にふける茶室でもある。時には息抜きの場所、ひとり居酒屋やワインバーであっても良い。夢見られる台所は生きる糧でもある。台所を友達に、職場や書斎と思って生きていこう。家の中で、これほど創造の中枢を担う場があるだろうか。人は台所によって頭を、そして心を育てる。だからジジイは台所に魅せられる。 続きを読む
2008年11月11日(火)
鈴木輝一郎著
新潮新書
2005年6月20日発行
680円
歴史を裏返していろんな角度から検証するのは必要であろう。義経を現代の経営・人事理論で読み解くところがおもしろい。現代のわれわれにも、学ぶところが大きいと思う。果たして自分は転換期に気づけるだろうか。
人事とは常に不公平なものだということを忘れてはならない。窓際族は、無能だから窓際にいるわけではない。運に恵まれなかっただけだ。自分の評価は直属の上司がするものであって、これは功績や実績よりも、こまめな「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」による場合が多い。それでも自負心を持ち続け、いつまでも、多方面にチャレンジしていきたい。
明治以前は日本も夫婦別姓の国
北条政子 政子は嫁いだ先の源とは違う苗字を名乗っている
kojima-dental-office.net/blog/20210627-14782 続きを読む
2022年11月23日(水)
著者 読売新聞社会部「あれから」取材班
新潮新書
2022年8月20日 発行
820円
新聞の視点は「今」であることが多いが、物事には「その後」がある。ニュースの当事者たちのその後をたどってみよう、という発想で始まったのが、読売新聞の人物企画「あれから」。2020年2月から原則月1回のペースで朝刊に掲載。徹底的に人選にこだわり、「ぜひこの人に話を聞いてみたい」という人物を捜す。取材期間は短くても3ヶ月、長い場合は1年近くをかけた。取材を始めてみて、特異な体験をくぐり抜けた人が語る言葉というのは、何ともいえない奥行きや心を揺さぶる切実さがある。 続きを読む
2008年09月03日(水)
戦場ジャーナリストの夫と生きた日々
橋田幸子著
中央公論社
1300円
「戦場」という現代日本に無縁な場と四半世紀にわたって向かい合った日々をあますところなく綴った手記である。
事件のことごとくが“迷宮入り”し、曖昧にしたまま、手をこまねいているだけの政府、その姿勢を正面から批判、追求しようとしない新聞やテレビ。
2003年十一月、ほとんど同じ場所でスペイン国家情報局の職員が襲われ死亡した時、スペイン政府はなぜ犯人及び資金提供した武装勢力リーダーなど41人を拘束できたのか。 続きを読む
2010年04月15日(木)
鎌田實著
集英社
2010年2月28日発行
952円
医療や福祉の現場だけでなく、様々な分野に見られる空気を取り上げ、考えさせられる内容になっている。涙や感動の場面も登場する。日本人は空気に感染しやすく、極端に右に左にぶれやすい。自分を振り返り、これからを見つめ直す時、新しい生き方、一本の信念が見えてくる。ぜひご一読を。 続きを読む