小島歯科医院 名誉院長ブログ

令和7年度 内灘町食育推進会議

2025年09月10日(水)


 10日(水)13時半から内灘町保健センターにて食育推進会議。食育推進計画の進捗状況と現在や今後の取り組みについて事務局からパワーポイントデータを用いて説明があり、各委員、それぞれの立場、職種からの質問、提案があり有意義な会議となった。特に、能登半島地震以降、仮設住宅などにより遊び・運動できる広場の減少と、安全確保のための徒歩からスクールバスへの変更による運動機会の減少によって肥満傾向にある子どもの割合が増えていることが指摘された。そして、早寝早起きの基本的生活習慣の目標が、3歳児の脳を働かせるセロトニンをより多く分泌させる夜8時朝6時ではなく夜10時朝8時にせざるを得ない現代社会のひずみも気になる。子どもを考えた視点ではなく、大人ファースト。最後に3歳児の不正咬合が増えている現状と原因、対策について解説した。
 参考に
A.子ども達に伝えていきたい食育の視点“5つ星”
 (第3次うちなだ健康プラン21・第3次うちなだ食育推進計画 72ページ)
www.town.uchinada.lg.jp/uploaded/life/16497_20293_misc.pdf
 2 健康であるため、食のスキルを高めよう
 乳幼児期から発育段階に合わせた適切な食べ方を学び、口の働きをしっかりと育てましょう。
B.学校保健統計調査 統計表一覧→都道府県表→肥満傾向児の出現率
www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/hoken/1268826.htm
C.学校歯科健診後調査
kojima-dental-office.net/blog/20190718-12672#more-12672
D.大人ファースト社会が子どもをスマホやゲームへ追い込む
kojima-dental-office.net/blog/20250115-20800#more-20800
令和7年度 内灘町食育推進会議
 内灘町健康づくり推進協議会食育専門部会
日時 令和7年9月10日(水)13時30分~15時
場所 内灘町保健センター 2階会議室
協議内容
 1.「第3次うちなだ食育推進計画」進捗状況
 2.現在の食育事業の取り組みと今後の取り組みについて
 3.その他

  名簿
小島登   小島歯科医院 名誉医院長        保健医療関係
荒川和世  金沢学院大学栄養学部栄養学科准教授   保健医療関係
春田悦子   健康づくり推進員会会長 各種団体代表
吉國厚子  食育コーディネーター(管理栄養士)   各種団体代表
山本英由  NPO法人おむすび理事長         町内NPO法人関係
笠間勝弘  株式会社笠間農園代表取締役       町農業関係
小鹿山久美 内灘中学校 栄養教諭          学校関係
野竹麻里子 内灘町学校保健委員会代表        学校関係
        (向粟崎小学校養護教諭)
飯田千津  子育て支援センター所長         福祉関係
岡田順子   町立向粟崎保育所所長          福祉関係
塚本麻美  石川中央保健福祉センター企画調整課   アドバイザー
        (管理栄養士)

  事務局
橋本萌   保健センター管理栄養士 
奥田悠有花  保健センター管理栄養士

参考資料
A.小児肥満に関すること
 a.食欲人 原題は『Eat Like the Animals』
kojima-dental-office.net/blog/20240105-18821#more-18821
 食事中のタンパク質を少なくすれば、太るまで過食する。ホールフードを食べよう。「食品メーカー」は、食物繊維を取り除き、タンパク質をケチり、高カロリーの安価な脂肪と炭水化物によって置き換えた「超」加工食品を製造している。その結果、私たちはタンパク質に対する強力な食欲にとらわれ、必要以上のカロリーを摂取するように仕向けられている。
 日本人の食事摂取基準によると、一日に必要なたんぱく質は、18~49歳は、摂取エネルギーの13~20%、50~64歳は14~20%、65歳以上は15~20%が理想とされており、推奨量は、18~64歳の男性は一日65g、65歳以上の男性は60g、18歳以上の女性は一日50gとなっています。
 1.「タンパク質」ファースト
 タンパク質が乏しいがカロリーが豊富な食環境では、ヒトはタンパク質の摂取ターゲットを達成しようとして、炭水化物と脂肪を過剰摂取する。だが高タンパク質食しか得られない場合は、炭水化物と脂肪を過少摂取する。
 国連食糧農業機関(FAO)の栄養素利用可能性に関するデータベースによれば、1961年から2000年にかけて、アメリカの平均的食事組成は、重要な変化を遂げ、タンパク質比率が14から12.5%に低下した。そのため、総摂取カロリーを13%増やすしかなかった。その結果、体重が増加した。
 これまで、肥満急増の原因に関する議論のほとんどが、炭水化物と脂肪に焦点を当てていた。タンパク質の摂取量は、総摂取カロリーの僅か15%に過ぎないため、タンパク質不足で「過食」になることを考えてもみなかった。
 2.「繊維が少ない食材」はおいしい
 リンゴ4個も「ジュース」にすれば平らげられる。ジュースにすると、リンゴの繊維質のほとんどを搾りかすとして取り除かれる。だからジュースなどの糖分の多い飲み物を飲むと、ついついカロリーを摂りすぎてしまう。人間が果物の食べ過ぎで太らない理由は、食物繊維にある。食物から繊維を取り除くのは、食欲のブレーキを切ってしまうようなもの。
 繊維が多いと、風味を与える脂肪や炭水化物、タンパク質、そして塩などの栄養素の存在が薄まる。つまり、繊維が少なく脂肪と炭水化物が多い食品は美味しいから選びがちになる。だから、低タンパク質・低繊維・低価格の三拍子揃った食品は、ついつい食べ過ぎてしまう。
 3.「タンパク質比率」は、ずっと同じではない
 a.妊婦
 妊娠中の女性は、自分自身と赤ちゃんの健康のために、タンパク質摂取量を1日当たり20g(約3分の1)増やし、タンパク質比率が18~20%となるように推奨されている。エネルギーの必要量も約350kcal(約5分の1)増えるが、炭水化物と脂肪を摂りすぎないように注意が必要。健康的な低脂肪(30%)と高炭水化物(50%)を組み合わせた食事を摂ることが望ましい。それは、微量栄養素(健康的な比率のビタミンやミネラル)の摂取にもつながる。
 タンパク質が20%を超えると、赤ちゃんは痩せた状態で生まれ、逆にタンパク質比率が16%未満になると、赤ちゃんは皮下脂肪より内臓脂肪を増やし始め、血圧上昇の徴候が見られ、「高血圧」の子どもになる。
 b.乳児
 乳児は「タンパク質比率が低い食事」がベスト。タンパク質比率が不自然に高い食事を生後まもなく与えられると、乳児のタンパク質ターゲットが本来あるべき水準よりも高くなるから、やがて欧米型の低タンパク質食ではより多くのカロリーを摂取しなければならなくなり、その後の人生で肥満になるリスクが高くなる。
 新生児は、母乳で育てられる場合は、炭水化物比率55%(主に乳糖)、脂肪比率38%の低タンパク質(約7%)食を与えられる。これは離乳までの乳児にとっては最適な食事組成である。
 市販の乳児用調合乳は、高タンパク質(11%)であり、母乳に比べ、生後1年間と、学童期と青少年期を通して、肥満になるリスクが遙かに高くなる。
 c.高齢者
 65歳以降の高齢者になれば、体がタンパク質を効率的に保持できなくなるから、中年時代よりもタンパク質を多めに食事に含める必要が生じる。組織のタンパク質が分解され、肝臓でグルコースに変換されやすくなる。そのため、高齢者の筋肉量が減少する。タンパク質比率を18から20%に高めれば、必要な増分を補いやすくなるが、その分カロリーの摂りすぎには注意しなくてはならない。
 4.寿命が延びると繁殖数が減る
 ヒトの生理的機構の中心には、2つの対立する生化学的経路がある。「長寿経路」と「成長・繁殖経路」があり、2つのシステムは互いに抑制し合う関係にある。一方が機能している時は、もう一方は機能しない。食料と栄養が不足すると、長寿経路が作動し、成長・繁殖経路は停止する。寿命と繁殖がトレードオフの関係にあり、繁殖と寿命では栄養上の要件が異なる。
 摂取カロリーを制限すると成長は遅くなるが寿命が延びる。だが寿命が延びると繁殖数が減る。ヒト以外のほとんどの種は、長生きするより、できるだけ多くの遺伝子を残すことを重視する。
 食糧が豊富で十分なタンパク質が得られる時には、長寿経路は停止し、成長・繁殖経路が作動する。体は新しい細胞を作り始めるが、細胞分裂時のエラーの頻度が高まる。がんやそのほかの疾患リスクが高まり、寿命が縮まる可能性がある。
 カロリー摂取を制限せず低タンパク質/高炭水化物食が長寿経路を作動させる。長寿と「引き替え」に太った。
 エネルギー密度の高い脂肪や炭水化物の代わりに、難消化性の食物繊維を混ぜてタンパク質を薄めると、十分なタンパク質を得るために多くの餌を摂食し、長生きした。そして太らなかった。

B.脳と朝ごはん   口腔機能と食事について
   口腔機能の発達に応じた食事提供と保育の展開について
日 時:2025年6月20日(金)18時~20時
場 所:金沢市ものづくり会館
主 催:金沢市第2ブロック認定こども園
kojima-dental-office.net/20250620-7976
 保育士や栄養士の受講者の感想をお読みください。
 歯科医師から保育者へのメッセージ
  脳と朝ごはんには密接な相互関係があります。脳を働かせるには、ブドウ糖とアミノ酸を朝食で摂ることが必要です。一方、朝ご飯を食べるためには脳を働かせることが必要です。「お腹が空いた」という情報が脳に届くにはセロトニンが欠かせません。このセロトニンを分泌させる一番の条件が、早寝早起き。眠る時間帯が重要で、夜10時~朝8時の10時間より、夜8時~朝6時のほうがセロトニンをきちんと取り込めます。脳は身体の機能などの働きを司る「古い脳」ができてから、記憶や思考を司る「新しい脳」が発達し、最後に適切なコミュニケーションに欠かせない「前頭葉」が育つという順番があります。ところが、夜更かししたりして古い脳を育てないままでは、新しい脳は育ちません。

C.3歳児の不正咬合が増えている
kojima-dental-office.net/20221123-6720#more-6720
 a.お口の機能を育てましょう
kojima-dental-office.net/category/ikusei/function
 1.目と目を合わせて授乳
  アイコンタクト(スキンシップと話しかけ)不足による過敏で情報が入りにくい子どもが増えている。そのため、次のステップへ移行せず、食べる働きが育ちにくい子どもも増えている。また、添い乳や卒乳の遅れにより、「飲み物用」口から「食べ物用」の口への変換が不十分な子どもも増えている。特に内灘近辺には授乳クッションの上で授乳させるお母さんが多い。赤ちゃんは舌や口腔周囲筋が疲れることから、1回の授乳量が少なくなり、ちょこちょこ飲みとなり口腔機能も発達が遅れる。
 添い乳の弊害
kojima-dental-office.net/20131009-208#more-208
 2.ポカン口が増えている
kojima-dental-office.net/20081120-232#more-232
  それぞれの時期に上口唇を鍛えられなかった咀嚼発達障害と考えている。
  ①離乳初期にスプーンを上口唇に押しつけるのではなく、自分で上口唇をのばして食べ物をとるようにさせる。また、フォークで刺して舌中央部に食物を入れ込むような食べさせ方では唇の学習にならない。
②離乳中期にストローではなくコップを使い、下口唇で始まりを、上口唇を水面につけて一口量を覚えられるように練習する。
  ③離乳後期になると手づかみ食べをさせて、自分で処理できる量を口唇でつかみ取る練習をする。
  ④離乳後期に食事中は口唇をしっかり閉じて奥歯でしっかり咬み、また口唇をしっかり閉じてごっくんするように注意する。
 3.4歳になるがクチャクチャ食べが治らない
kojima-dental-office.net/20181017-4489#more-4489
  舌がしっかり持ち上げられないと、クチャクチャ食べになってしまう。そのために、吸綴窩の名残があり、口蓋がドーム型になっていないこともある。そして、歯が内側に倒れたままで口の中も狭く歯がデコボコに生えている。
 食事時にすこし注意して、舌と唇の訓練すれば、2,3ヶ月で良くなる。
 4.しっかり噛む工夫
kojima-dental-office.net/20090924-212#more-212
  食姿勢を整えること。踵をしっかりつけて座る、身体を起こし茶碗を持って食べる。食事の時に飲み物を用意しない、食材のサイズを大きくする、素材を組み合わせる。

 b.町民福祉部長兼保険年金課長 北野享氏との懇談 2022.12.9.
 1.「健康日本21(第3次)」に「3歳児の不正咬合」の重要課題とする
 歯科口腔保健の推進に関する基本的事項19項目の中で、唯一悪化しているのは「3歳児の不正咬合」であった。そして、これが、2024年度から実施予定の次期「健康日本21(第3次)」の重要課題となり、国及び地方公共団体の施策等に反映すべきこととなる。
 3歳児の不正咬合が増えている
kojima-dental-office.net/20221123-6720#more-6720
 2.乳幼児期の口腔機能の発達に対する支援の必要性
 歯並びの叢生は、50年ほど前まではあまり見られなかったが、30年ほど前より永久歯に見られるようになり、10年ほど前より乳歯にも見られるようになってきた。3歳児健診で、以前はいなかった乳歯の叢生が見られるようになった。この原因は食姿勢と食べ方などの機能発達の仕方にあり、学ぶ機会が重要と考えている。「口の働きを育てる」周知活動が必要と考える。
 参考に
 【令和4年内灘町議会6月会議会議録(抜粋)】
○3番【米田一香君】 食育など健全な口腔環境づくりや、商工業、農業、教育分野などとも連携した歯・口腔を含む全身の健康づくりについて、検診も含め今後の町の方向性をお示しください。
○議長【清水文雄君】 北野享町民福祉部長。
〔町民福祉部長兼保険年金課長 北野享君 登壇〕
○町民福祉部長兼保険年金課長【北野享君】
ご質問にお答えいたします。
 町では、うちなだ健康プラン21において、生活習慣病の発症、重症化予防及び生涯にわたるライフステージに応じた食育を推進するため、健康指標の一つに「歯・口腔の健康」を位置づけ、乳幼児をはじめ児童や妊婦、一般成人や高齢者に至る各世代に対する歯科健診や歯科指導などを行っております。
このほか、新型コロナウイルスの感染が拡大する前は、子育て支援センターと連携した食育推進事業や小学校における小学校食育推進講座において「歯・口の健康づくり」として講話を行うほか、健康セミナーで栄養とそしゃくと口腔の健康を併せて啓発するなど、歯科保健や健康づくりに関する事業を関係部局と連携して展開しておりました。
令和2年度以降、新型コロナウイルスの感染拡大の影響からやむを得ず中止した事業もございますが、歯・口腔の健康が全身の健康にもつながることから、新型コロナウイルスの感染状況を見ながら、関係部局と連携し、事業を展開してまいります。
以上でございます。

 カンガルーム「子どもの食べるを育てよう」
kojima-dental-office.net/20160616-1027
 清湖小学校就学時健診時の「噛む力を育てよう」をテーマとした歯科指導
kojima-dental-office.net/20170921-3943
 内灘町保育士会
kojima-dental-office.net/20180809-4319
 全国保育士会 食育推進研修会
kojima-dental-office.net/20170802-3691

 口から食べる幸せ はまなす大学
kojima-dental-office.net/20150918-497#more-497
 脳卒中の方の口腔ケアとリハビリ
kojima-dental-office.net/20110318-709#more-709

内灘町の最新記事