小島歯科医院 名誉院長ブログ

しっかり噛む工夫

2009年09月24日(木)


 軟らかいものばかり食べていると、口のまわりの筋肉をあまり使わず、口やその周囲の機能が育たない。噛む能力は生まれつき備わっているわけではなく、訓練によって身に付くものである。先ず大切なことは食姿勢を整えること踵をしっかりつけて座る、身体を起こし茶碗を持って食べる。ほんの少し心がけるだけで、噛む回数はいくらでも増やすことができる。身近にある食材から考えながら選ぶ、あるいは調理法をほんの少し変えるだけで、噛む回数が自然に増え、無理なく噛めるようになる。

1.食事の時に飲み物を用意しない
 食事中に水分を多く利用すると、流し込みながら食物を摂取することになり、しっかり噛まなくなる。よく噛まないので唾液の分泌量が少なくなり、しかも胃液も水分で薄まり消化にも影響する。また、食事の所要時間は流し込むため早く、しかも食品を多く摂取することになる。

2.食材のサイズを大きくする
 無理せず自然に噛む回数を増やすためには、切り方を工夫する。大きめに切ったり、形を不揃いにすると、自然に噛む回数が増える。逆に細かくすると噛まずに飲み込みやすくなる。

          乱切り 蛇腹切り

3.素材を組み合わせる
 1種類の素材より数種類を使った方がよく噛む料理になる。複数の素材を組み合わせると、口当たりや味の違いを脳が感じ取ろうとするので、自然に噛む回数が増える。ほうれん草に小松菜、三つ葉を合わせると噛む回数はアップする。

                 ほうれん草他 ほうれん草のみ

4.加熱方法と水分量
 噛みごたえは加熱でも変わる。野菜は加熱するほど柔らかくなり、魚や肉は加熱時間が短いと硬くなり、じっくり煮込むと柔らかくなる。また、水分が少ないと噛みごたえは高く、水分が多いと柔らかくなる。

                     加熱するほど硬くなる 水気が多いと軟らかい

5.薄味と噛む素材
 薄味にすると、素材の持ち味をよく味わおうとするために、自然と噛む回数が増える。よく噛んで、唾液と食品とが充分に混ざり合うことで味を感じる。また、よく噛む素材といえば、硬いもの、繊維質のもの、弾力のあるものである。乾物や野菜はまさに理想的な食材である。

乾物や野菜をふんだんに

参考文献
噛むかむクッキング グラフ社
料理 歯科医師・料理研究家 田沼敦子
医学監修 日本歯科医師会会長 臼田貞夫
平成13年1月10日発行

参考として
 発ガン物質に対する唾液の毒消し効果
kojima-dental-office.net/news/2009/03/10/1809
 DVD かむことの効用は「ひとがすき」
kojima-dental-office.net/20110403-1469#more-1469

お口の機能を育てましょうの最新記事