のぼるくんの世界

のぼる君の歯科知識

食欲人 原題は『Eat Like the Animals』

2024年01月05日(金)


新版・科学者たちが語る食欲、健康的に食べる方法を、動物が教えてくれる
著者 デイヴィット・ローベンハイマー 
   スティーブン・J・シンプソン
訳者 櫻井祐子
サンマーク出版
2023年6月30日発行
1600円
 科学者は、「自分は間違っていないだろうか」と常に自問するよう訓練されている。研究で特殊例にとらわれすぎると、結果に潜む真のパターンを見過ごすリスクがある。また、自分の見たいものしか見ないリスクもある。そこで役に立つのが統計学。データの乱雑さやバラツキの根底にパターンが存在する場合、それを見抜く上で統計学は欠かせない。
 昆虫学者であるデイヴィット・ローベンハイマーとスティーブン・J・シンプソン(通称スティーブ)の2人が、32年間に及ぶ共同研究の最初の20年間を通して、自然界の最古の謎の一つ、「生物は何を食べるべきかをどうやって知るのか」を解明するために昆虫を研究してきた。この謎に答えることができれば、人間にとっても重要な知識になる。
 ヒトの生理的機構の中心には、2つの対立する生化学的経路がある。「長寿経路」と「成長・繁殖経路」があり、2つのシステムは互いに抑制し合う関係にある。一方が機能している時は、もう一方は機能しない。食料と栄養が不足すると、長寿経路が作動し、成長・繁殖経路は停止する。「老化」は食事で調整できる。
 炭水化物に対するタンパク質の比率を調整するだけで、バッタの摂取量を増やすことも減らすことも、成長を早めることも遅らせることも、太らせることも痩せさせることも、繁殖数を増やすことも減らすことも、寿命を延ばすことも縮めることも、遠くまで歩かせることも怠情にさせることも、水の摂取量を増やすことも減らすこともできた。食事中のタンパク質を少なくすれば、太るまで過食する。ホールフードを食べよう。
 これまで、肥満急増の原因に関する議論のほとんどが、炭水化物と脂肪に焦点を当てていた。タンパク質の摂取量は、総摂取カロリーの僅か15%に過ぎないため、タンパク質不足で「過食」になることを考えてもみなかった。
 
目次
A.超加工食品
 a.NOVAシステム
 b.アメリカ人は「食事の半分」以上が超加工食品
 c.超加工食品がなぜ、どのような問題を引き起こすのか?
  ①「繊維が少ない食材」はおいしい
  ②工業化で「微量栄養素」が捨てられる
  ③「プラスチック」「殺虫剤」「除光液」と同じ成分を食べている
  ④「トランス脂肪」は専門家が一番危険と言う物質
  ⑤ラベルでは「合成香料」とだけ表示される
B.寿命が延びると繁殖数が減る
 a.北大西洋の海鳥
 b.ショウジョウバエの老化研究
 c.マウス研究
C. 最適な摂取を知る方法には2つある
 a.味は「栄養の種類」を示す
 b.人間の食欲は「5種類」ある
D.タンパク質ターゲット
 a.タンパク質の必要量
 b.飼いイヌ・飼いネコ
 c.インスリンは「筋タンパク質分解」を抑えるホルモン
 d.タンパク質ターゲットの上昇
 e.食環境におけるタンパク質の濃度の低下
 f.ウサギ飢餓
E.「タンパク質比率」は、ずっと同じではない
 a.妊婦
 b.乳児
 c.高齢者
F.「タンパク質」ファースト
 a.ヒト
 b.ゴキブリ
【本書の重要なポイント】
【健康的で楽しい食生活】
 動物は、食べ物全般に対する単一の食欲をもっているのではなく、重要な栄養素、なかでもタンパク質・炭水化物・脂肪のそれぞれに対し、別々の食欲をもっている。
 タンパク質欲は、他4つの食欲(主に炭水化物、脂肪、ナトリウム、カルシウムに対する食欲)と協力して、他の数十の有益な物質を含むバランスの取れた食餌を摂るように動物を誘導する。この誘導システムは、自然の食環境の中で進化した。
 しかし、バランスの取れた食餌が摂れなくなると、食欲は協力するのをやめて、競争する。ヒトを始めとする様々な種では、競争に勝つのはタンパク質。その結果、タンパク質欲が、全体的な摂食パターンを決めるようになる食環境にタンパク質が不足していれば、私たちはタンパク質欲が満たされるまで食べ続けることになる。
 現代は、数十の有益な物質を含むバランスの取れたホールフード中心の食事から「超」加工食品が蔓延する食環境へと急速に変化した。その結果、タンパク比率が低くなり、必要なタンパク質を摂るために延々と食べ続け、摂取カロリー大きく増え、肥満も増えている。摂食に影響を与えるもう一つの要素が食物繊維。リンゴを4個も食べられないが、ジュースにすれば、食欲のブレーキ役の食物繊維がほとんど取り除かれているから飲み干せる。
 「超」加工食品とは、ホールフードをデンプン、糖、脂肪、油、タンパク質、食物繊維などの成分に分解し、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素を捨て去り、特定の物質のみを組み合わせた工業製品。チーズやパン、缶詰の魚、燻製肉などの加工食品とは全く違う。人間の食事をよくすることではなく、製品をより効率的に製造し、消費者の訴求を高め、収益性を高めたもの。タンパク質が多いほど商品の価格は高くなるので、タンパク質のような旨みを感じられる合成香味料を加えたり、石油などに由来する化学物質を添加物として配合されたりすることもある。例えばアイスクリームは、クリームと砂糖、果物だけで使って家庭で作ることができる。市販のアイスクリームの原材料を見ると、合成洗剤に使われる「酢酸ベンジル」、プラスチックに使われる「C-17アルデヒド」、殺虫剤に使われる「ブチルアルデヒド」、アタマジラミの駆除に使われていた「ピペロナール」、マニキュアリムーバーにも使われる「酢酸エチル」などが記載されている。
 なぜ世界中で肥満が増え続けるのだろう?お腹いっぱいのはずなのに、あれこれ食べてしまうのはどうして?生物学の視点からこの謎に迫る。
 オーストラリアの生物学者ローベンハイマーとシンプソンは、人間からヒヒ、バッタ、粘菌までの50種を超える動物を対象とした大規模で手のかかる実験と、アリゾナの砂漠からボルネオの森林、ヒマラヤの高山帯の野生動物のフィールド研究を30年以上続け、「どんな動物も状況が許す限り生存と繁栄にとって最適な比率でタンパク質と炭水化物・脂肪を摂っていること」を発見する。カギは、「食欲システム」。動物は、一般的に考えられていた食べ物全般に対する単一の食欲をもっているのではなく、重要な栄養素、なかでもタンパク質・炭水化物・脂肪のそれぞれに対し、別々の食欲をもっている。その中でもどんなときでも最も優先されるのが、生命の維持にとって特に重要なタンパク質に対する食欲。全ての動物は、この強烈なタンパク質欲に導かれて、食べ物を決めている。
 そして、他の動物と同様、「人間はタンパク質の摂取を他の栄養素よりも優先し、タンパク質の必要量を摂取するまで食べ続ける」という考え、「タンパク質レバレッジ仮説」を提唱する。レバレッジとはテコのことで、食事に含まれるタンパク質の比率がほんの僅か変わるだけで、摂取カロリーは大きく変わることを表している。また、2人は動物の最適な摂取量を幾何学的に分析し図示する、「栄養幾何学」の概念を生み出した。
 どんな動物も、健康に最適な食餌をする方法を本能的にもっていて、それを忠実に実行に移している。なのになぜ、人間だけできないのか。
 現代の糖質と脂質にまみれた「超」加工食品が蔓延する食環境では、食事のタンパク比率が低くなりがち。その結果、必要なタンパク質を摂るために延々と食べ続け、摂取カロリー大きく増えた。肥満が増えているのは、必ずしも意思力のなさが原因ではない。激変した食環境にも一因がある。
A.超加工食品
  超加工食品は、人間が歴史を通じて食べてきたどんなものとも違っている、「人類史上初」のものばかり健康的な微量栄養素と食物繊維の比率が低く、人間が大量に食べることを想定されていない、数百種類もの化学物質が混ぜられている。そうした超加工食品が自然の食品に取って代わり、壊滅的な結果をもたらしている。人間にとって超加工食品は、体重を増やすのにうってつけの食べ物。食料の欠乏期がなければ、脂肪を蓄積するメリットはない。
 a.NOVAシステム
 サンパウロ大学のカルロス・モンテイロ教授(公衆衛生栄養学の第一人者)が、健康を脅かす加工食品を特定するために食品を加工の性質によって4つに分類した。
 グループ1 食品の長期保存、簡易調理のための加工
 主な目的は、保存性を高めて食品の寿命を延ばすことや、調理を簡易化すること。組成をほとんど変化させない単純な方法(乾燥、粉砕、焙煎、煮沸、低温殺菌、非食用部分の除去、真空パック)で加工された食品。低温殺菌牛乳、粉乳、冷凍・缶詰野菜、無塩のローストナッツ、乾燥豆など。
 グルーブ2 下ごしらえ、風味付けのための加工
 食品の下ごしらえや調理、風味付けに使われる食材。主に精製、抽出、圧搾、または塩の場合は採取、蒸発などの機械的加工によって製造。バターやオイルなどの油脂類、メープルシロップなどの砂糖および関連製品、塩など。
 グループ3 缶詰、瓶詰
 主な目的は、グループ1の食品の品質保持期間を延ばし、嗜好性(おいしさ)を高めること。缶詰・瓶詰の豆や野菜、缶詰の魚、塩または砂糖で味付けされたナッツ、塩漬け肉・乾燥肉、伝統的な製法で作られた新鮮なチーズやパンなど。
 グループ4 ペンキやシャンプーと同じ「工業製品」、「超加工食品」
 「超加工食品」の製造は、大規模な機械によってホールフードをデンプン、糖、脂肪、油、タンパク質、食物繊維などの成分に分解するところから始まる。主な原材料は、工業生産された高収量作物(トウモロコシ、大豆、小麦、サトウキビテンサイなど)や集約的に生産された畜肉の挽肉やすり身。
 続いて加水分解や水素化などの化学的修飾が施されてから、他の物質と組み合わされることもある。また品質保持期間を延ばし、食感や風味、匂い、外観を変えるために、化学添加物を配合されることもある。こうした添加物の多くが農産物由来ではなく、石油などの産業に由来する化学物質である。
 b.アメリカ人は「食事の半分」以上が超加工食品
 カルロスと彼の博士課程学生ユーリ・マルティネス・スティールが、超加工食品の摂取量の違いがアメリカ人の食事に与える影響を調べるために、アメリカ国民健康栄養調査に参加した9042人の食事の分析した。全米平均は57%、食事の半分以上が超加工食品。
 食事に占める超加工食品の比率によって、5つのグループに分けた。グループ1は食事の33%が超加工食品、最も比率が低い。グループ2は49%、グループ3は58%、グループ4は67%、グループ5は81%。
 食事の超加工食品の比率がグループ1から5まで上昇するにつれて、タンパク質が摂取カロリーに占める割合は18.2%から13.2%まで低下した。どのグループもタンパク質摂取量に違いがなく、タンパク質ターゲットを達成するまで食べ続けた。私たちのタンパク質欲が、脂肪と炭水化物の摂取を制御する能力よりも強いから、太りすぎてしまう。
 2018年オーストラリアで販売されていた加工食品の61%が、NOVAグループ4に該当した。2016年に新しく発売された食品・飲料製品の数は2万1435品に上ったが、これらのほとんどが超加工食品だった。
 c.超加工食品がなぜ、どのような問題を引き起こすのか?
  ①「繊維が少ない食材」はおいしい
 餌に十分な量の食物繊維が含まれると、バッタは食べる量を増やさなくなった。バッタは食物繊維で満たされ、腸の処理能力の上限に達した。
 リンゴ4個も「ジュース」にすれば平らげられる。ジュースにすると、リンゴの繊維質のほとんどを搾りかすとして取り除かれる。だからジュースなどの糖分の多い飲み物を飲むと、ついついカロリーを摂りすぎてしまう。人間が果物の食べ過ぎで太らない理由は、食物繊維にある。食物から繊維を取り除くのは、食欲のブレーキを切ってしまうようなもの。
 繊維が多いと、風味を与える脂肪や炭水化物、タンパク質、そして塩などの栄養素の存在が薄まる。つまり、繊維が少なく脂肪と炭水化物が多い食品は美味しいから選びがちになる。また、「食品メーカー」はタンパク質を減らしている。タンパク質をケチれば「製造原価」が安くなり、メーカーは利益になる。消費者の食欲を操作して過食させることまでできるという、おまけまで付いてくる。だから、低タンパク質・低繊維・低価格の三拍子揃った食品は、ついつい食べ過ぎてしまう。
  ②工業化で「微量栄養素」が捨てられる
 大規模な抽出機械が食物繊維と共に微量栄養素も葬り去る。超加工食品にはビタミンとミネラルがほとんど含まれない。超加工食品がタンパク質比率を下げ、かつ食べられる量を増やすために食物繊維を除去するのは、売り上げを伸ばす巧妙な戦略とも考えられる。
  ③「プラスチック」「殺虫剤」「除光液」と同じ成分を食べている
 新しい化学物質や新しい使い方をされた既存の化学物質の多くは、加工コストを下げ、品質保持期間を延ばし、風味、食感、色などの魅力を能くするための安易な方法として添加される。超加工食品産業の共通の関心は、人間の食事をよくすることではなく、製品をより効率的に製造したり、消費者への訴求を高めたりすることにある。
 例えば、アイスクリーム。アイスクリームは、クリームと砂糖、果物などのフレーバーだけを使って、家庭で作ることができる。
 大量生産された市販のアイスクリームの原材料を見ると、石鹸などに使われる「酢酸ベンジル」、プラスチックなどにも使われる「C-17アルデヒド」、殺虫剤などにも用いられる「ブチルアルデヒド」、アタマジラミの駆除に使われていた「ピペロナール」、マニキュアリムーバーにも使われる「酢酸エチル」が使用されている。
  ④「トランス脂肪」は専門家が一番危険と言う物質
 悪名高いトランス脂肪とは、植物から抽出された健康的な不飽和油を水素化することで、工業的に製造される脂肪である。安価な液体油を固体化させることができ、それをバターの代わりにピザやパイ、電子レンジポップコーン、ドーナツなどの製品に使うと、パリパリ、サクサクとした食感が得られる。また、超加工食品の寿命を延ばすこともできるが、それを食べる人々の寿命を延ばすことはできない。
 工業的に製造されたトランス脂肪が、現在ある全ての脂肪の中で最も危険だという点で、健康管理の専門家の意見は一致している。世界保健機関の推計によれば、トランス脂肪の摂取が原因で毎年世界で50万人以上が心臓病で亡くなっている。
 2005年のデンマークを始め高所得国でトランス脂肪が禁止され、2018年にアメリカもようやく使用禁止した。その後ニューヨークとデンマークで行われた研究は、心臓病による入院と死亡の大幅な減少を示している。
 今も多くの低中所得国と一部(日本を含む)の高所得国の食品の重要な一角を占めている。私たちが暮らすオーストラリアでは禁止されていないし、加工食品のメーカーには、この有害物質を使用しているかどうか、どれだけ使用しているかを表示する義務さえない。
  ⑤ラベルでは「合成香料」とだけ表示される
 奇妙な食品成分の多くは、危険をもたらす可能性が高い。医薬品は、数百万ドルのコストと長い年月をかけて徹底的に検証されてから、始めて許可される。だが食品産業での添加物の使用に関して、それほどの厳密さはない。
 アメリカ食品医薬品局(FDA)は2018年10月、超加工食品に合成香料として使われていた、ベンゾフェノンなど8種類の添加物の使用を禁じた。禁止されても2年間は使用が認められるから、食品に使われている可能性がある。また、食品メーカーには、ラベルに「合成香料」以上の詳細を表示する義務はないので、使われているかを知るすべがない。食品に工業利用されるものは、植物由来ではなく、化学的に合成されたもの。同じ分子でも由来が異なる。自然に存在する化学物質の多くは、植物が捕食者から身を守るために生成する物質。
B.寿命が延びると繁殖数が減る
 1953年コーネル大学のクライブ・マッケイらが、ラットに関する画期的論文「成長遅延が寿命の長さと最終的な体格に与える影響」を発表し、摂取カロリーを制限すると成長は遅くなるが寿命が延びるという、説得力ある研究結果を始めて示した。それ以降、酵母細胞からミミズ、ハエ、サルに至るまでの多くの生物で追試された。だがカロリー制限には悪影響が1つある。これら全ての種で、寿命が延びると繁殖数が減った。
 a.北大西洋の海鳥
 乱獲により脂肪分の多い魚が大幅に減少したため、北大西洋の海鳥は、飛行や渡りに必要なエネルギー貯蔵ができなくなり、の個体数が、過去数十年で激減した。
 捕食動物は、タンパク質が豊富な他の動物を補食するように進化した。しかし、ターゲット以上のタンパク質を摂取することを避けるし、また食餌中のタンパク比率が高くなりすぎれば、脂肪を激しく渇望する。脂肪が不足すると、捕食動物の生息個体数が激減する。
  b.ショウジョウバエの老化研究
 クァン・パム・リーが、シドニーで大規模なショウジョウバエの老化研究。1000匹を超えるショウジョウバエのそれぞれに1種類の実験餌を与え、成虫の期間を通して追跡する。タンパク質と炭水化物の比率を様々に変えた28種類の液体餌を与えて、各ハエの毎日の摂取量と寿命、産卵数のデータを集めた。
 少量のタンパク質を摂取すれば、長生きするが子孫を多く残せない。タンパク質の摂取を少し増やせば、子孫は増えるがそれほど長生きできない。さらに摂取を増やせば寿命も延びず子孫も増えない。寿命と繁殖がトレードオフの関係にある。繁殖と寿命では栄養上の要件が異なる。
 ハエは、最長寿命ではなく、最多産卵数を支えるタンパク質と炭水化物の組み合わせを選んだ。ヒト以外のほとんどの種は、長生きするより、できるだけ多くの遺伝子を残すことを重視する。
 c.マウス研究
 老年学者のディヴィッド・ルクーターと彼が指導していた若手生物学者のサマンサ・ソロン・ピエが、数百匹の実験用マウスを主要栄養素と食物繊維の比率が異なる25種類の実験餌のうちの1つで生涯にわたって飼育し、栄養バランスがおよぼした影響を調べた。長寿と高い繁殖能力には、全く異なる食餌が必要だった。
 最長寿命を促進するには、「低タンパク質・高炭水化物」の必要があったが、低タンパク質/高脂肪食は、長寿のメリットをもたらさなかった。最も短命だったのは高タンパク質/低炭水化物食で飼育されたマウスだった。
 繁殖には高タンパク質食が有利だった。オスのマウスは大きな精巣(多数のメスとの交尾に有利)を発達させ、メスは大きな子宮(多くの仔を抱えることができる)を発達させた。
 低タンパク質/高炭水化物食のマウスは、テロメアがより長く、より長生きした。高タンパク質/低炭水化物食のマウスはテロメアと寿命がより短かった。
 *テロメアとは染色体の末端にあるキャップ状の構造で、染色体の機能と完全性を保つ働きをする。加齢とともに、テロメアはどんどん短くなり、ついには染色体の末端部分が露出し、細胞分裂の際に複製エラーを犯すようになる。
 食糧が豊富で十分なタンパク質が得られる時には、長寿経路は停止し、成長・繁殖経路が作動する。体は新しい細胞を作り始めるが、細胞分裂時のエラーの頻度が高まる。がんやそのほかの疾患リスクが高まり、寿命が縮まる可能性がある。進化という観点からすれば、動物が成長し繁殖できる限り、それは容認できる。
 このマウスの研究は、低タンパク質/高炭水化物食が長寿経路を作動させ得ることを始めて明らかにした。重要なのは主要栄養素のバランスであり、カロリー摂取を制限しなくても長寿効果が得られることがわかった。だが長寿と「引き替え」に太った。
 エネルギー密度の高い脂肪や炭水化物の代わりに、難消化性の食物繊維を混ぜてタンパク質を薄めたところ、マウスはそれでも十分なタンパク質を得るために多くの餌を摂食し、長生きした。そして太らなかった。
C. 最適な摂取を知る方法には2つある
 生物は何を食べるべきかを、なぜ生まれながらに知っているのだろうか?野生動物は、栄養バランスのとれた食事を摂ることを、直感的にやってのけるのに、なぜ人間にとってはこれほど難しいのだろうか。
 「外側」から知る方法は、どの栄養素がどれだけ含まれているかという情報を提供する「味や風味」。もう一つの「内側」から知る方法は、動物がその時々に各栄養素をどれだけ必要としているかを司る「食欲システム」
 私たちの祖先が暮らしていた環境では、めったに見つからなかったので、それを探し出すことに特化した生物学的な仕組み必要だった。たとえば、ナトリウムとカルシウムは、かつて非常に希少だったため、それぞれに専用の食欲と味覚受容体が割り当てられた。その外の重要な栄養素は、普段食べているものに豊富に含まれるため、これらの食欲を発達させなかった。
 a.味は「栄養の種類」を示す
 適切な食べ物を探す必要性があるからこそ、糖に心地好い甘味を感じ、タンパク質に舌鼓を打つような美味しさ、日本人のいう「旨味」を感じ、脂肪にコクのある食感と風味を感じる。私たちの食べる全てのものに、自然がそれぞれ全く異なる味や風味を与え、特徴的な風味は、食品中の化学成分、すなわち栄養素を指し示している。
 主要な栄養素を味で判別できるのは、動物界でヒトだけではない。口だけでなく、腸にも味覚受容体をもち、食物が消化の過程で分解される間も栄養素を追跡している。そして栄養素が腸から吸収されて血液に入ってからも、肝臓や脳を含む様々な器官に分布する味覚受容体が検出を続ける。また、脳にある「食欲制御中枢」という神経回路は、血液と肝臓、脳からの信号を収集して、空腹感と満腹感を引き起こす。
 b.人間の食欲は「5種類」ある
 体が要求する一つひとつの栄養素を追い求めるには、それぞれに別々の食欲が必要。生存と健康に必要な数十種類栄養素の一つひとつに特化した食欲を持つわけにはいかない。
 そこで、私たちの食欲は、特定の風味に照準を定め、生存に必要なものだけを食べるためのガイドになるように進化した。進化の過程で選び出された、識別できる5つの栄養素と食欲がピッタリ一致する。
 動物は、3つの主要栄養素(タンパク質、炭水化物、脂肪)と2つの特に重要な微量栄養素(ナトリウム・カルシウム)に対する、別々の食欲を進化させた。これら「ビック5」の食欲は連携して、栄養バランスの取れた食餌を動物に教えることができる。
D.タンパク質ターゲット
 a.タンパク質の必要量
 どんな生物もタンパク質の必要量である摂取ターゲットをもっている。この必要量は2つの要因によって決まる。
 ①筋肉の成長や組織の維持、そのほかの体機能に必要な、アミノ酸の需要。
 ②体がタンパク質を分解し、喪失する速度。
 タンパク質が失われる主な経路は2つ。
  ①体が筋肉組織を分解して、アミノ酸を血液に放出する時。
  ②肝臓が①のアミノ酸を利用して、新しい体タンパク質を作り出すのではなく、エネルギー源であるグルコースを作る時(飢餓状態にある時だけ)。
 b.飼いイヌ・飼いネコ
 ペットフード会社の研究員、エイドリアン・ヒューソン・ヒューズとともに、幾何学的実験を行った。家庭のペットの餌の選択と摂食行動を駆り立てていた最も強力な要因は、栄養バランス。
 ネコは、タンパク質の総エネルギー比率が52%の餌を選んだ。野生の捕食動物に典型的な比率。
 イヌは5犬種全てがタンパク質の総エネルギー比率が僅か25~35%の餌を選択した。この比率は犬の祖先種であるオオカミの比率52%より遙かに低く、雑食性動物に近かった。このことから、家畜化の過程で人間によって大きく変えられたと推測される。
 ネコは貴重な食料を脅かすネズミを捕らえるために、イヌはヒョウなどの野生動物の接近を知らせるために飼われた。餌を与えられたのはイヌだけで、ネコは自力で生きていくしかなく、ネズミ駆除のパフォーマンスを高めていた。イヌは、人間と家畜のためにオオカミに備わっていた狩猟本能を交配によって取り除かれ、「人間の残飯」を食べるように進化した。やがて飼い主である私たち雑食性動物に似た栄養を選択するようになった。
 c.インスリンは「筋タンパク質分解」を抑えるホルモン
 インスリンは筋肉中のタンパク質分解を抑え、肝臓がグルコースを産生するためにアミノ酸を消費するのを阻止する。
 摂取カロリーが慢性的に過剰で、体重が増加の一途をたどると、組織のインスリンへの反応が徐々に鈍くなり(インスリン抵抗性が生じ)、インスリンのシグナルを無視するようになる。その結果、膵臓は同じ効果を得るためにますますインスリンを分泌しなくてはならなくなり、2型糖尿病が始まる。
 d.タンパク質ターゲットの上昇
 筋肉のインスリンに対する反応が悪くなると、筋肉はタンパク質分解によってより多くのアミノ酸を放出するようになり、それとともに肝臓ではアミノ酸からグルコース産生が促される。したがって分解されているタンパク質を再構築するために、より多くのタンパク質を摂取する必要が生じる。
 タンパク質ターゲットが高ければ、それを達成するためにたくさん食べなくてはならない。食事の脂肪と炭水化物の比率が高く、タンパク質の比率が低ければ、ターゲットを達成するためにエネルギーを余分に摂取することになる。摂取した余剰カロリーを燃焼しなければ体重が増え、インスリン抵抗性も強くなる。一旦そうなってしまうと、タンパク質欲が引き起こす悪循環にとらわれ、肥満を促す現代の食環境でますます体重が増えていく。
 e.食環境におけるタンパク質の濃度の低下
 タンパク質欲は、太古の食環境で栄養の最適化を図る指針になるように進化したが、今では私たちの足を引っ張るようになっている。
 現代の食環境における超加工食品・飲料の氾濫が、タンパク質の濃度の低下を招いている。食物繊維が取り除かれ、タンパク質は高カロリーの安価な脂肪と炭水化物によって置き換えられている。その結果、私たちはタンパク質に対する強力な食欲にとらわれ、必要以上のカロリーを摂取するように仕向けられている。
 f.ウサギ飢餓
 なぜ自然はタンパク質欲に上限を設けたのか。北極で起きた「タンパク質中毒」。1881から1884年のアメリカの探検家アドルファス・グリーリーが指揮した北極探検での教訓。科学研究のために北極に遠征した25人の隊員のうち、19人が命を落とした。毎日ウサギの肉だけを食べていると、タンパク質比率が高いせいで、たちまちタンパク質中毒に陥る、稀な栄養障害。他の食材から脂肪を得ていない場合、約1週間で下痢を起こし、頭痛、倦怠感、不快感を生じる。
 ウサギの肉は脂肪分が極端に少なく8%(羊肉の28%、牛肉と豚肉の32%)、残りはタンパク質で、炭水化物はほとんど含まない。
E.「タンパク質比率」は、ずっと同じではない
 a.妊婦
 妊娠中の女性は、自分自身と赤ちゃんの健康のために、タンパク質摂取量を1日当たり20g(約3分の1)増やし、タンパク質比率が18~20%となるように推奨されている。エネルギーの必要量も約350kcal(約5分の1)増えるが、炭水化物と脂肪を摂りすぎないように注意が必要。健康的な低脂肪(30%)と高炭水化物(50%)を組み合わせた食事を摂ることが望ましい。それは、微量栄養素(健康的な比率のビタミンやミネラル)の摂取にもつながる。
 タンパク質が20%を超えると、赤ちゃんは痩せた状態で生まれ、逆にタンパク質比率が16%未満になると、赤ちゃんは皮下脂肪より内臓脂肪を増やし始め、血圧上昇の徴候が見られ、「高血圧」の子どもになる。
 b.乳児
 乳児は「タンパク質比率が低い食事」がベスト。タンパク質比率が不自然に高い食事を生後まもなく与えられると、乳児のタンパク質ターゲットが本来あるべき水準よりも高くなるから、やがて欧米型の低タンパク質食ではより多くのカロリーを摂取しなければならなくなり、その後の人生で肥満になるリスクが高くなる。
 新生児は、母乳で育てられる場合は、炭水化物比率55%(主に乳糖)、脂肪比率38%の低タンパク質(約7%)食を与えられる。これは離乳までの乳児にとっては最適な食事組成である。これは全ての霊長類に共通する。霊長類は大きな脳をもち、複雑な社会生活を送るから、大人として知る必要がある全てのことを学ぶために、長い幼児期を必要とする。低タンパク質の母乳は成長を遅らせることで、これを可能にしている。
 市販の乳児用調合乳は、高タンパク質(11%)であり、母乳に比べ、生後1年間と、学童期と青少年期を通して、肥満になるリスクが遙かに高くなる。
 c.高齢者
 65歳以降の高齢者になれば、体がタンパク質を効率的に保持できなくなるから、中年時代よりもタンパク質を多めに食事に含める必要が生じる。組織のタンパク質が分解され、肝臓でグルコースに変換されやすくなる。そのため、高齢者の筋肉量が減少する。タンパク質比率を18から20%に高めれば、必要な増分を補いやすくなるが、その分カロリーの摂りすぎには注意しなくてはならない。
 実験では、中年期に高タンパク/低炭水化物食を与えられたマウスは死亡リスクが最も高いが、超高齢ではタンパク質の摂取量が多いほど死亡リスクが低いことを示した。
F.「タンパク質」ファースト
 a.ヒト
 2001年、学部生のレイチェル・パトリーが、人を対象にバッタと同じ実験をした。スイスの山奥の山小屋に10人の大学生と家族を1週間滞在させ実施した。
 最初の2日間は全員が、肉、魚、卵、乳製品、パン、果物、野菜などから好きなものを好きなだけ食べることができた。各被験者が摂った全ての食事データが記録された。食べたものは全て重さを計測され、食品成分表を基に各食品のタンパク質、炭水化物、脂肪の含有量が計算された。続いて3日目と4日目に、高タンパク質食(肉、魚、卵、多少の低脂肪乳酸品、少量の果物と野菜)と低タンパク質/高炭水化物・高脂肪食(多量のパスタ、パン、シリアルそしてデザート)の2つのグループに分けられ、好きなだけ食べることができた。選択した食品のカロリーと主要栄養素の含有量が記録された。その後2日間、全員が最初と同じく全ての食品に戻された。
 自由に食事を選択できた第1段階では、タンパク質のカロリー比率は予想通り約18%(世界中の人々の標準値15~20%)だった。第2段階では、2グループともタンパク質の摂取量を維持した。つまり、高炭水化物・高脂肪食グループはタンパク質の摂取ターゲットを達成するために第1段階より総摂取カロリーを35%増やさなければならず、高タンパク質食のグループは摂取カロリーを38%減らした。タンパク質に対する食欲が、食品の総摂取量を決定していた。
 タンパク質が乏しいがカロリーが豊富な食環境では、ヒトはタンパク質の摂取ターゲットを達成しようとして、炭水化物と脂肪を過剰摂取する。だが高タンパク質食しか得られない場合は、炭水化物と脂肪を過少摂取する。バッタと「同じ結果」が出た。
 国連食糧農業機関(FAO)の栄養素利用可能性に関するデータベースによれば、1961年から2000年にかけて、アメリカの平均的食事組成は、重要な変化を遂げ、タンパク質比率が14から12.5%に低下した。そのため、総摂取カロリーを13%増やすしかなかった。その結果、体重が増加した。
 これまで、肥満急増の原因に関する議論のほとんどが、炭水化物と脂肪に焦点を当てていた。タンパク質の摂取量は、総摂取カロリーの僅か15%に過ぎないため、タンパク質不足で「過食」になることを考えてもみなかった。
 2005年のケンブリッジ大学での講演「肥満とタンパク質レバレッジ」後の食事会で、人間栄養学の研究者が「あなた達はおそらく正しい。これほど明白なことを見落とし、しかも2人の昆虫学者に先を越されたことが、どんなにつらかったかわかって欲しい」と言った。
 b.ゴキブリ
 1997年、オックスフォード大学動物学部ランカスター研究室の熱心な若い学生、スティーブン・ジョーンズが選んだ博士号の研究テーマは、「ゴキブリ」の摂食だった。ゴキブリは、栄養バランスが動物全般に見られるかどうかを検証するのにうってつけの動物でもある。
 ゴキブリは極めて高い雑食性があり、全ての環境に生息し、どんな状況にも耐える。飲まず食わずで1ヶ月生き、水さえあれば100日以上生き続けることもある。ゴキブリは「段ボール」からも栄養が摂れる。ゴキブリの後腸には特殊な仕組み、数千本の小さなトゲがあり、その1本1本に数百万の微生物が棲む。ゴキブリはセルロース(木や紙、段ボールなどの成分)を食べ、その微生物のおかげでそれをエネルギー源にすることができ、炭水化物不足に陥ることがほぼない。それだけではない。どんな動物もタンパク質合成・分解で発生する窒素を排泄する。ゴキブリはタンパク質を摂りすぎると、余剰分の窒素廃棄物全てを排泄するのではなく、その一部を肝臓に相当する特殊化した「ウロサイト」の細胞内に尿酸として貯蔵する。その中の細菌が貯蔵された尿酸からアミノ酸を生成し、血液に放出する。ゴキブリはこのアミノ酸からタンパク質を合成する。
 巧妙な実験方法。第1ステップとして、ゴキブリを3つの群にわけ、2日間3種類の餌「高タンパク質/低炭水化物」、「低タンパク質/高炭水化物」、「中タンパク質/中炭水化物」(人間でいえば、魚だけ、米だけ、寿司)のうち1種類だけ摂取させた。第2ステップとして、全てのゴキブリにこれら3種類のうち好きな餌を自由に食べさせた。
 第1ステップで主に炭水化物を食べさせられていた群はタンパク質豊富な餌を食べ、タンパク質を食べさせられていた群は炭水化物を食べた。ゴキブリは私たちによって強いられた栄養のアンバランスを修正するのに必要な分量を正確に摂取し、一旦バランスを取り戻した後は、全てのゴキブリが栄養バランスの取れた全く同じ食餌を摂取した。ゴキブリは「食べるもの」を変え、本能が「今、必要な食べ物」に導く。
 炭水化物とタンパク質を正確に摂取する必要がなさそうなゴキブリでさえ、どんな動物にも劣らないほど正確に、栄養バランシングを行っていた。

【本書の重要なポイント】
 「タンパク質欲」は普遍的な欲求
1.タンパク質に対する特別な渇望は、動物に普遍的な欲求。タンパク質欲は、あらゆる動物が栄養素の摂取ターゲットを達成する助けになるように進化した。動物はタンパク質が必要になると、その風味を渇望する。ヒトはタンパク質が不足すると、あの食欲をそそる旨味に溜まらなく引きつけられる。
2.タンパク質欲は、他のいくつかの食欲(主に炭水化物、脂肪、ナトリウム、カルシウムに対する食欲)と協力して、健康的でバランスの取れた食餌を摂るよう動物を誘導する。
3.この誘導システムは、自然の食環境の中で進化した。この環境では、食べ物に含まれるたった5つの栄養素の摂取を調整するだけで、他の数十の有益な物質を含む、バランスの取れた食餌を摂ることができた。
4.だが自然であっても、特定の食べ物が不足してバランスの取れた食餌が摂れなくなることがある。そういう状況になると、食欲は協力するのをやめて、競争する。
5.ヒトを始めとする様々な種では、競争に勝つのはタンパク質。その結果、タンパク質欲が、全体的な摂食パターンを決めるようになる。
6.食環境にタンパク質が不足していれば、私たちはタンパク質欲が満たされるまで食べ続ける。他方食餌のタンパク比率が、体に必要とするよりも高ければ、総摂取カロリーが少ないうちに早く満たされる。
7.だからといって、タンパク質が多ければ多い程よいというわけでは全くない。イースト細胞からハエ、マウス、サルまでの生物は、タンパク質を摂りすぎると、老化を早め寿命を縮める生物学的プロセスが作動するから、タンパク質を過剰摂取しないように進化した。
 私たちの昆虫とマウスの実験は、世界中の科学者による研究の裏付けを得て、高タンパク質/高脂肪食が動物に成長と繁殖を促進する生化学的経路を作動させることを明らかにした。だがそれと同時に、健康と長寿を支える補修と維持の経路をスイッチオフしてしまう。世界で最も長寿で最も健康な人々が低タンパク質/高炭水化物のホールフード中心の食事をしている。
8.私たちは、食システムの工業化によって、栄養バランスを図る能力を著しく阻害されている。人間は食環境に次のような影響を及ぼしてきた。
 ・低タンパク質の加工食品に、糖、脂肪、塩、化学物質を添加して、不自然に美味しくした。
 ・安価な超加工脂肪と炭水化物を大量に投入して、食利用供給におけるタンパク質の存在を希釈した。
 ・満腹感を高め腸内微生物の餌となる、食物繊維を減らすことによって、食欲システムのブレーキを解除した。
 ・子どもを含む消費者に超加工食品を積極的に売り込むことで、世界の食文化を変容させ、超加工食品を定着させた。

【健康的で楽しい食生活】
1.自分の「タンパク質ターゲット」を理解する
2.「超加工食品」を避ける
3.「高タンパク質食品」を食べる
4.「繊維」を食べる
5.「カロリー」信奉をやめる
  ・カロリー計算にこだわらない
  ・タンパク質欲が代わりに面倒見てくれる
6.食べ物を「混ぜ物」にしない
   砂糖や塩を控えめにし、脂肪分を加える時は「エキストラバージンオイル」などの健康的な物を選ぶ
7.「空腹」の時に食べる
8.「塩味」が欲しいことの意味を知る
 食欲に耳を傾けよう。「今欲しいのは、塩味や旨味?」
 もしそうなら、タンパク質が必要なことを体が知らせている。
超加工食品のしょっぱい系のスナック菓子などの誘惑に負けずに
 良質なタンパク質食品を食べよう。
9.「食欲」を信じる
 タンパク質欲が適量を教えてくれる。食欲は計算サイトよりも正確な測定器。
10.運動時は「20~30g」タンパク質を摂る
 運動して筋肉量を増やしている時は、1回の食事につき20から30gのまとまったタンパク質を摂ると、新しい筋肉タンパク質を形成するための細胞機構が最も良く活性化される。
 筋肉合成に関わる機構とは、成長・繁殖経路のこと。これは、必然的な副産物として細胞のゴミを放出し、細胞とDNAに損傷を与える。タンパク質をまとまって摂ると、タンパク質合成のスイッチが2時間ほど入り、悪影響をその時間に限定することができる。
11.睡眠を利用して「食べない時間」を1日の中につくる
 細胞とDNAの修復・維持を促すために、夜間は断食し、間食を控えよう。
 数時間の断食によって、損傷を引き起こす成長経路がオフになり、健康と長寿を支える細胞とDNAの修復・維持プロセスが活性化される。
 夜間の睡眠は、たまった細胞のゴミを一掃し、日中にDNAと細胞(特に顕著なのが脳細胞)が受けた損傷を修復するチャンス。
12.「体内時計」に合わせて食べ、眠る
 心身の健康の3本柱は、睡眠、食事、運動。
 私たちの体の仕組みは、脳にある「親時計」によってコントロールされている。だが、親時計は少しずつ遅れていくため、信頼できる環境刺激によって毎日リセットする必要がある。時刻設定の主な手がかりになるのは日光だが、食事のタイミングも重要。体内時計が睡眠を予期する時間帯に、明るい光さらされたりものを食べたりすると、体内時計システムは錯乱され、それが続けばいつか健康を害してしまう。細胞や臓器にある子時計の周期が乱れると、具合が悪くなる。長期のシフト労働者は。肥満や糖尿病、心血管疾患、がんになりやすい。
13.こもらず「外」に出る
 身体活動と社会交流は、健康増進と長寿と明らかな相関関係がある。
14.つくってみる
 大好きな料理を自分でつくれるようにしよう。そして作り方を子どもにも教えよう。
15.「流行り」に惑わされない
 (超加工食品をできる減らしながら)好きなものを食べよう。
 様々な栄養哲学は、特定の状況では健康的な食事になるが、ほとんどの人は続けることができない。

 

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