のぼるくんの世界

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大人ファースト社会が子どもをスマホやゲームへ追い込む

2025年01月15日(水)


 日本ほど大人ファースト社会へ過度に変化していった国はない。バブル期前、仰向けになって駄々をこねる子や泣きわめく子がいても、子どもはそんなものだと許容していた。最近海外へ行っても大らかである。ここ20年ほど前から徐々に、電車やスーパーマーケット、公共施設でうるさい、学校や保育園のプール遊びがうるさいと、自分にも子どもの時があっただろうに苦情の声が上がるようになってきた。その目は親の管理に向けられる。保育園から立ち話もせず、寄り道もせず急いで自宅に帰る。外で思いっきり遊べない分、1人で自由に遊べるスマホやゲームが楽しみとなる。0歳から食べるときもスマホやアプリが欠かせなくなる。親にも自信がなく、頼る人もいないので、親自身が寝かせつけたり、あやしたりせずに、子守歌や泣き止むアプリを使う。保育園の昼寝時間に、子どもそれぞれのスマホが光っている。
 様々な機能の獲得は、アイコンタクト(スキンシップと話しかけ)から始まる。子どもと見つめ合い、優しく全身を触ることで、情報が入りやすい体と心が形成される。ところが、スクリーンタイムが長く母親と目を合わさない行動によって、様々な機能の出発点が育たない。
 その上、親にも精神的、時間的余裕がなく、段階に合わせた食べさせ方に費やせないので、嚥下機能、咀嚼機能、さらには飲み物用の狭い口から食べ物用の広々とした口に育たない。前歯で食いちぎり、奥歯で噛んで、口を閉じて飲み込めない。4歳になっても保育所でミキサー食から脱しきれない子も出てくる。
 ハイハイをして動き回れるほどのスペースがない。見守る時間がないので、歩く練習にはならないけど、安全な歩行器を使う。体幹発達が遅れ、保育園では転ぶことが多いのでヘッドギアを使うことになり、運動会にも参加できない。
 リアルではなくバーチャルの世界。多様な実体験の感覚が育たず、虫が捕食する映像は見られても、実際に虫を触れない。大人によって作られた空間でしか遊べず、自分で工夫する主体性が育たない。言葉の遅れもあり、人とのつながりも苦手となる。
 イクメンブームになったが、スクリータイムが長く、「おとなしかったよ」育児になっただけ。様々な機能はなおさら育たなくなった。  
 大人ファーストへの警鐘とスクリーンタイムの長さによる脳への影響が今後の課題となる。

 参考に
 スマホ脳
kojima-dental-office.net/blog/20220201-15327#more-15327
 シンポジウム「子どものスマホ依存を考える」
kojima-dental-office.net/20231028-7254#more-7254

 Z世代は、2025年現在15歳から29歳の若い世代
 AI(デジタル)ネイティブまたはα世代は2025年現在0歳から14歳の若い世代

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