小島歯科医院 名誉院長ブログ

お口の機能を育てましょう

しっかり噛む工夫

2009年09月24日(木)

 軟らかいものばかり食べていると、口のまわりの筋肉をあまり使わず、口やその周囲の機能が育たない。噛む能力は生まれつき備わっているわけではなく、訓練によって身に付くものである。先ず大切なことは食姿勢を整えること踵をしっかりつけて座る、身体を起こし茶碗を持って食べる。ほんの少し心がけるだけで、噛む回数はいくらでも増やすことができる。身近にある食材から考えながら選ぶ、あるいは調理法をほんの少し変えるだけで、噛む回数が自然に増え、無理なく噛めるようになる。 続きを読む

4歳になるがクチャクチャ食べが治らない

2018年10月17日(水)

吸綴窩 母乳の時は口の中が狭い方が陰圧になり飲みやすい。口の中が広くなっていくと、舌が動きやすくなり、いろんなものを噛んで食べられるようになる。しかし、例えば離乳期に上唇を働かせ唇を閉じさせることを意識していないと、唇の形が山形のままとなり口呼吸になりやすい。また、幼児期初期にコップ飲みをさせずに、マグカップにストローを使っていると、陰圧になりやすい狭い口から食べやすい広い口へ移行せず、唇や舌の食べる働きに遅れを生じやすくなる。舌がしっかり持ち上げられないと、クチャクチャ食べになってしまう。そのために、吸綴窩の名残があり、口蓋がドーム型になっていないこともある。そして、歯が内側に倒れたままで口の中も狭く歯がデコボコに生えている。
 食事時にすこし注意して、舌と唇の訓練すれば、2,3ヶ月で良くなる。 続きを読む

添い乳の弊害について

2013年10月09日(水)

2授乳のしかた質問 
 パンフレット『お口の機能を育てましょう』の読者から「添い乳の弊害について」の質問です。
 コラムの原本
 横になりながら授乳すること(添い乳)はお母さんにとっては楽ですが、子供のお口の機能に与える影響(添い乳の弊害)の面から、今後、検討される必要があるのではないかと私たちは考えています。
 パンフレット『お口の機能を育てましょう―歯科医師からのメッセージ』
kojima-dental-office.net/20130619-1477#more-1477
 日本式の添い寝と欧米式の「おやすみ」と言うだけで一人で寝かせる方法
kojima-dental-office.net/blog/20230828-17350#more-17350 続きを読む

3歳児の不正咬合が増えている

2022年11月23日(水)

 これまで永久歯の叢生はあったが、乳歯ではなかった。3歳児 下顎BからBまでの叢生が、10年ほど前から見られるようになってきた。
 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会 歯科口腔保健の推進に関する専門委員会の報告書(2022年10月11日公表)によると、歯科口腔保健の推進に関する基本的事項19項目の中で、唯一悪化しているのは「3歳児の不正咬合」であった。そして、これが、2024年度から実施予定の次期「健康日本21(第3次)」の重要課題となり、国及び地方公共団体の施策等に反映すべきこととなる。
 しかし、令和5年3月13日「次期歯科口腔保健の推進に関する基本的事項案」の「歯科口腔保健パーパス」や「歯科口腔保健の推進のためのグランドデザイン」から「3歳児の不正咬合」の文言が消えた。生活スタイルの変化を含む食生活や口腔機能の改善対策の評価をなぜしないのだろうか。
 令和5年度内灘町健康づくり推進協議会
kojima-dental-office.net/20231109-7305#more-7305 続きを読む

ポカン口が増えています

2008年11月20日(木)

口唇002頤部001  子供がもっとリラックスした状態。唇に締まりがなく、時々口がポカーンと開いています。上口唇が山形になっていたり、頤部に緊張感があり梅干しの種のようにしわがあります。
 人は通常鼻呼吸で、激しい運動をした時にだけ補助的に口呼吸をします。しかし、最近、安静時でも口で呼吸し、ポカンと口を開け、山形の上唇をした子供が増えています。寝ている時やリラックスしている時に白い歯が見えます。鼻呼吸が苦手で、インフルエンザにかかりやすいです。赤ちゃんの上唇とそっくりな形をしていて、離乳期から幼児期に上唇を鍛えなかったことが原因だと考えられます。
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1歳6ヶ月の歯科健診の意義

2013年10月08日(火)

①口腔内で処理できない大きさや硬さの食物が入った時、口腔内に貯めておいたり、丸飲みしないで口腔から吐き出せるような能力が身に付くこと
②目と手と口腔の運動の協調性が確立し、食物の大きさ形状に合わせて口の構えを作り、こぼさないで取り込める能力が身に付くこと
③食物を見ると欲しがり、手を伸ばしてスプーンなどでひとりで食べ、水分はコップを持って飲める能力が身に付くこと

歯科医師から保育者へのメッセージ

2021年12月15日(水)

 3歳になりますと、乳歯は全て生えそろっています。しかし、噛む力は大人の1/3くらいです。離乳食から幼児食へ移行していますが、大人と同じではありません。小学校へ入るまでは、咀嚼機能は未熟であり、早い時期から硬い食品を食べさせることは慎みましょう。それより、ゆっくり食べさせて咀嚼の持続力を養いましょう。口唇を閉じて、左右の奥歯でしっかりと噛んで食べる習慣を身に付けましょう。頬に手をあてて、咬筋がよく動くことを確かめてみましょう。 続きを読む

進め方が早すぎるために逆に発達が遅れます

2007年05月22日(火)

 生後7~8ヶ月、おすわりができる頃になりますと、舌の上下運動で上顎と舌でつぶして「もぐもぐ」食べるようになります。そして、9~11ヶ月、歯固め遊びをし始める頃になりますと、舌の左右運動ができるようになり、上下の歯ぐきで「かみかみ」つぶして食べるようになります。
 しかし、離乳中期(舌食べ)に、顎が左右対称にもぐもぐと動く様子を「噛んでいる」と勘違いして、舌で潰せない硬すぎる食物を与えますと、比較的食欲のある子は「丸飲み」に、ない子は「飲み込まぬ」になりやすいようです。そして、年長児(3歳以降)になっても、「あまり噛まない」「食べ物を流し込む」などを訴えたり、6歳頃の永久歯に生え替わる頃に、歯並びに問題が生じたりします。 続きを読む

食べる働きの習得にはアイコンタクトが必須

2024年06月24日(月)

 基本的な食べる働きは、生後11か月から1歳半頃に育つ。応用編は6歳頃までかかる。遅れても必ず食べる働きは習得できる。
 但し、前提条件がある。情報が入りやすい体と心が形成されていること。そのためには、アイコンタクト(スキンシップと話しかけ)が必須である。子どもと見つめ合い、優しく全身を触ることが必要。ところが、母親がスマホを見ながら目を合わさず母乳やミルクを飲ませていると、過敏で情報が入りにくい子どもになりやすく、以下の2つが次のステップへ移行せず、食べる働きが育ちにくい。最近、原始感覚が優位な子や随意運動が獲得できない子が増えている。 続きを読む

まだ何もしていないのに「痛い」と言う子どもたち

2018年11月08日(木)

 触覚には、二つの神経伝達ルートがあります。一つは、生体の防御や危険回避を行う原始感覚系の神経回路であり、もう一つは、対象物の大きさや性状や形などの識別を行う識別感覚系の神経回路です。
 生まれてしばらくは、原始感覚系の神経回路が優位にあるために、子どもは不意に顔や身体を触られることを嫌がります。次第に識別感覚系を獲得していきます。その時に大切なのが、アイコンタクトです。子供と見つめ合い、優しく全身を触れることで、情報が入りやすい体と心が形成されていきます。ところが、目を合わさない母親の行動は、過敏で情報が入りにくい子供になりやすくなります。母子の信頼形成に時間がかかる子は、不安も大きく環境適応が遅くなります。特に敏感なお子さんは、大きくなっても後ろから不意に触られるとビクッとします。 続きを読む

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