小島歯科医院 名誉院長ブログ

歯科医師から保育者へのメッセージ

2021年12月15日(水)


 3歳になりますと、乳歯は全て生えそろっています。しかし、噛む力は大人の1/3くらいです。離乳食から幼児食へ移行していますが、大人と同じではありません。小学校へ入るまでは、咀嚼機能は未熟であり、早い時期から硬い食品を食べさせることは慎みましょう。それより、ゆっくり食べさせて咀嚼の持続力を養いましょう。口唇を閉じて、左右の奥歯でしっかりと噛んで食べる習慣を身に付けましょう。頬に手をあてて、咬筋がよく動くことを確かめてみましょう。
 前歯で噛み切ったり、奥歯ですりつぶしたりする必要のある食べ物も与えましょう。調理の際、食材を小さく切りすぎてしまいますと、舌がしっかり持ち上げらずお口の機能が育まれません。食事の際に飲み物を用意しますと、流し込みながら食物が摂取してしまい、陰圧になりやすい狭い口から食べやすい広い口へ移行せず、唇や舌の食べる働きが育ちません。踵を床にしっかり着けた基本的な正しい姿勢で食べさせることも大切です。
 また、脳と朝ごはんには密接な相互関係があります。脳を働かせるには、ブドウ糖とアミノ酸を朝食で摂ることが必要です。一方、朝ご飯を食べるためには脳を働かせることが必要です。「お腹が空いた」という情報が脳に届くにはセロトニンが欠かせません。このセロトニンを分泌させる一番の条件が、早寝早起き。眠る時間帯が重要で、夜10時~朝8時の10時間より、夜8時~朝6時のほうがセロトニンをきちんと取り込めます。脳は身体の機能などの働きを司る「古い脳」ができてから、記憶や思考を司る「新しい脳」が発達し、最後に適切なコミュニケーションに欠かせない「前頭葉」が育つという順番があります。ところが、夜更かししたりして古い脳を育てないままでは、新しい脳は育ちません。
 最後に、家族の団らんで食事の楽しさ、多くの食物の美味しさを経験しましょう。心の安定や積極性、思いやる心や自制心も育てましょう。好きな食物でも譲ることも覚えましょう。
 島根県保育協議会 令和3年度食育推進研修会
kojima-dental-office.net/20211211-6090

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