口が開かなくなったら
2008年08月02日(土)
急に口が開かなくなったら、できるだけ早くに歯科医院へ行こう。遅くなるほど治りにくく、治療期間も長く、治る可能性も低くなる。口の開く量も制限されたり、痛みなどの後遺症も残りやすい。
先ず原因が何かを調べる。顎関節、咀嚼筋、歯およびそれらの支配神経のどこに原因があるのか。できるだけ侵襲が少なく、リスクの少ない治療方法から順に選択する。
原因が分かり可能であれば、その日の内に徒手にて開けられるようにする(徒手的顎関節受動術は保険未収載だったが、2020年4月1日より保険適応となる)。そして顎関節の安静を保つためのスプリントを装着する。
顎関節症の最新の考え方と治療法
kojima-dental-office.net/20190929-4664
症例
患者 21才男性
初診 平成元年11月27日
主訴 左顎関節部の痛みと口が開きにくいこと
現病歴 昭和63年8月仕事を始めた頃(仕事は夕方5時から深夜2時まで)、左顎関節部に少し痛みがあり、だんだん強くなっていった。11月、口が開きにくく、カクッカクッ音がするようになる。たまたま新聞の記事を見て某大学病院口腔外科へ1回行く。その後調子よく中止する。
翌平成元年1月、再び調子が悪くなり、整形外科個人開業医へ行き、左顎関節部に注射をしてもらい楽になる。5月にまた痛みが出て再び注射をしてもらう。8月、朝起きると、口が開かなくなり(音はしなくなる)歯科個人開業医へ行き、スプリント治療とソフトレーザー治療を受け、少し開くようになるが、痛みと開口障害が残っているため紹介され来院する。
現症 最大開口量 29.4mmであり、開口時左へ偏位する
左顎関節部の圧痛や開口時の疼痛と雑音がある
顎関節レントゲン写真を見ると開口時に左顎関節の動きが悪い
筋電図を見ると、咬合時よりもコットンロールを噛ませた方が咬筋と側頭筋のバランスがよい。また、マイオモニターをかけても筋の安静が得られないので、スプリントの効果は期待できなく、早期接触が疑われる。
診断 非復位性顎関節円板障害
治療方針
顎関節内部の問題があり、クローズドロックが疑われる。ピポットによる治療を考える。歯に直接ピポットをつけると、食事時に非常に苦痛なためスプリントにピポットをつけることにする。
経過
11/27 現在の状況を説明し、今後の予定をお話しする。
上下顎の模型を作製し、MKG上で咬合採得する。
12/4 スプリントを装着する
12/12 食事中もスプリントに慣れたが、痛みは変わらず、前歯部が強くあたるため調整する。
12/14 左上下7番部で硬いものを噛ませても痛みがないことを確認して、スプリント7番部にピポットをつける
12/19 ピポットが脱落したので、昼頃に前回より少し高いピポツトを付ける。
夕方痛みがあった直後口が開くようになった。感動したと連絡が入る。
12/25 口が軽く開くようになる。大きく開けると、左の顎関節部に痛みがある。スプリントは食事中以外は装着している。
平成2年
1/9 大きなあくびをした時に左顎関節部でバキッと音がして痛みが少しあったが良くなった。
4/9 食事中も問題なく、よほど大きな口を開けなければ痛みなく、痛み忘れている。
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