成人の反対咬合
2010年07月21日(水)
成人の反対咬合は、小さい頃からの食生活やプラークコントロールに影響を与え、虫歯、歯周病さらには歯牙欠損を引き起こしている。咬合のバランスの崩れから顎関節や咀嚼運動にも変化をもたらしている。また、劣等感などの心理的障害や人格形成にも大きな影響を与えている。
従って、歯牙の欠損や歯周状態、補綴物などの制約に伴う矯正装置の工夫と患者さんのニーズを充分に考慮した治療計画を提案する。そして、それらを説明し、選択・確認してもらい治療をすすめていく。また、予測しがたい口腔内や患者さんの気持ちの変化時にも、現状を伝え、方針の変更を相談し、治療の進め方を再度確認する。
症例
患者 41歳女性
初診 昭和62年5月6日
主訴 左上5番の動揺
現症 左下3番から右下2番までが反対咬合
下顎の正中は右側偏位
右下5番と右上6番が残根状態
右下6,7番部と左上6,7番部が歯牙欠損
キネジオ所見
垂直的な開口量 23.6mm
開口時に左側へ変移する
経過 5/6 大まかな治療計画を説明する
5~8月にブラッシング指導や抜歯などを行う。
8/24 補助断線にて前方拡大を始める
リンガルアーチをロウ着したFCKを仮着しながら
10/19 正常被蓋になり、開口時の左右のバランスも良くなる
慣れない咬合のためか本人は噛みにくい
11/5 リンガルアーチを外し、義歯を装着する
平成元年7/13 2年後
垂直的な開口量が36.4mmに増え、左右のバランスも良い
(キネジオの垂直目盛りが10mmに変更になっている)
5年11/26 6年後