MKGを利用した咬合挙上
2001年03月15日(木)
www.iccmo.jp/philosophy/s01.html
臼歯部の咬合支持がなくなり、上顎前歯が唇側傾斜を起こした患者さんが、長らく入れたくなかった入れ歯をただ入れるだけでは噛めない。変化してしまった異常を正常な咬合へと回復しなければならない。ただし、正常な咬合位を見つけることは非常に困難である。
今回、MKG(マンディブラーキネジオグラフ)を利用して筋肉位で新しい咬合位を決め、咬合挙上・咬合回復を行った。そして、約10年経過観察した。
症例
患者 44歳男性
初診 平成元年8月21日
主訴 左上1~3番のブリッジ脱離、前歯の歯並びが悪い
現症 左上1番歯根破折、痛みなし
噛みにくい
過蓋咬合、上顎前歯唇側傾斜、咬合力が強い
右上2番部(3番相当部)が逆被蓋(反対咬合)
左上6番歯根露出
肩こり(右)、首の痛み(右)、左目の奥に痛み
下顎両側臼歯部欠損を長く放置(入れ歯を入れていない)したため、
上顎臼歯が挺出している
下顎臼歯部顎堤がしっかりしている
右上1・2部は義歯を装着している
下顎前歯舌側に歯石
治療計画 MKG(キネジオ)を利用して咬合挙上し、下顎臼歯部に義歯を作製する
左上1番を抜歯する
埋伏歯は経過観察
右上5~7番のブリッジ装着
右上2番の感染根管処置
上顎4から4のブリッジを装着する
経過
8/21 歯根が破折していることを伝える
口腔内の状況、詳しく調べないと治療方針が立てられないことを説明
左上1~3番のブリッジを仮着
8/28 パノラマX線所見 右上3番埋伏
右上2番に強固な支台築造、根管処置不十分
模型作製
8/30 一般検査
赤染めブラッシング指導
プラークスコア 47%
治療計画提案
9/4 筋電計 咬合高径を高くすると側頭筋より咬筋が働く
9/11 マイオモニターによるリラックスした筋肉位で新しい咬合位を決める
10/5 左上1番を抜歯、2~2の仮義歯、左3番に暫間被覆冠
10/17 右上5~7番のブリッジ装着
10/23 右上2番の感染根管処置
10/30 右上2番~左3番に暫間ブリッジ
平成2年
2/5 左右4と5の間に隙間ができる
上顎4から4のブリッジが前方移動
下顎の義歯が咬耗し、咬合高径が低くなる
赤染めブラッシング指導
プラークスコア 20%
定期検診 3ヶ月に1回
平成12年
4/21 下顎の義歯再製
平成13年
3/15
- カテゴリー: 顎関節症・咬合治療