咬合崩壊を再構築
1993年07月07日(水)
歯が抜けたまま長期に放置しておくと、対合歯が挺出したり、隣接歯が傾斜したりする。プラークコントロールが悪いと、それが助長される。多数歯欠損になると、咬合崩壊・低位咬合になり、下顎が後退し顎関節にもダメージを与える。そして、低位咬合に陥ってしまった口腔を改善することは非常に困難である。キネジオ、マイオモニターにて咬合の筋肉位と挙上範囲・左右バランスを確認し、下顎を前下方へ咬合挙上する。顎関節・咀嚼筋の影響をを見ながら、咬合高径の試行錯誤を繰り返す。1年ほどの経過観察にて、ある程度の安定した咬合を導き出す。その後、過度な力が加わると脱離しやすい補綴物と義歯にて微調整を繰り返し、約6年をかけて咬合を再構築させることができた。
参考に
歯周治療後の機能回復
kojima-dental-office.net/20081223-3119#more-3119
症例
患者 54歳男性
初診 昭和63年3月2日
主訴 虫歯を治したい、入れ歯を入れたい
現症 上顎臼歯部の欠損を長く放置した(入れ歯を入れなかった)ため、
下顎臼歯が上顎歯槽堤に咬み込んでいる
歯根が露出して歯が長く見える
う蝕が多い
上顎前歯口蓋側面歯頸部近くが咬耗している
治療計画
・右下4と8番の抜歯
・右下5番の感染根管処置
・プラークコントロールとクリーニング
・床副子による咬合挙上
試行錯誤にて顎関節や咬合バランスをとる
・右下345のブリッジ
・上顎前歯ブリッジ
・上顎臼歯の義歯
経過
3/2 パノラマX線所見
左右顎関節が小さい
右下8番に母指頭大の歯根嚢胞
右下4と8番の抜歯
3/3 一般検査
スケーリング
3/7 右下5番の感染根管処置
キネジオ、マイオモニターにて咬合の筋肉位と挙上範囲を確認
3/24 床副子による咬合挙上
赤染めブラッシング指導
プラークスコア 20%
床副子の咬合調整を繰り返す
4/27 右下345のブリッジを装着
顎関節・咀嚼筋・咬合左右バランスを経過観察
平成元年
7/7 咬合安定と判断
7/25 上顎前歯接着ブリッジ装着
9/20 上顎臼歯の義歯装着
平成3年
9/5 上顎前歯接着ブリッジ脱離
再製
9/13 上顎臼歯の義歯再作製
平成5年
6/24 上顎前歯接着ブリッジ脱離
再製
7/7 上顎臼歯の義歯再作製
- カテゴリー: 顎関節症・咬合治療