上顎前歯部のブリッジが壊れる
1988年01月20日(水)
「なぜかな」と疑問に思うことが大切。特にこの部位だけのプラークコントロールが悪かったわけではない。それでもこの部位だけが一度治したにもかかわらず再発している。噛み合わせや口呼吸に問題があるかもしれない。
この症例の場合、臼歯部両側に骨吸収や分岐部病変が見られるので、非常に咬合力が強いことが推察される。また、下顎がわずかに右に偏位している。そして、暫間被覆冠装着時のキネジオを見ると、安静位から右後方へ偏位して咬合(右が低い・左前方が筋肉本来の咬合位)している。そのため、左前方で無意識に噛んでしまうので、暫間被覆冠がよく外れ、これまでのブリッジも同じように無理がかかり壊れたのだと思う。今後、安定した咬合位で作製したブリッジを経過観察と定期検診で見守り続けていきたい。
参考に
かみ締めが原因かも
zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170131-00010000-ourage-life
患者 46歳男性
初診 昭和62年6月26日
主訴 上顎前歯部の補綴
現症 上顎2~2のブリッジ脱離
左上2番自然脱落
右上1・2番残根状態
右下6・7番と左下7番が欠損
下顎の正中が右側に偏位している
右下4・5番に咬合小面
顎関節に痛みや雑音なし
パノラマX線所見
両側上6番と左下6番に分岐部病変
両側上6番遠心頬側根周囲歯槽骨吸収
左上4番根尖部透過像
経過
6/26 口腔内の状況を説明
歯周治療・カリエス治療
9/17 キネジオ、マイオモニターにて咬合位を探る
10/2 床副子にて咬合挙上
11/2 上顎3~3の暫間被覆冠
咬合位がずれているのか、よく外れる
11/19 キネジオ(正面・側方)にて確認
安静位からタッピングすると、右後方へ偏位して咬合する
63年
1/20 ブリッジ装着
- カテゴリー: 顎関節症・咬合治療