小島歯科医院 名誉院長ブログ

治療のあれこれ

ノンクラスプデンチャー 歯肉アーム部の破折

2009年10月28日(水)

ノンクラスプデンチャー008 咬耗が烈しく、特に下顎を前方位へ移動させ、両側1番のみを咬合させる習癖がある。そのため義歯が揺さぶられて歯肉アーム部に歪みが生じ、破折する。そこで口蓋部を金属にして強度を増し、また、下顎前方位で上下1番が咬合しないように調整し変形を防ぐことにした。改めて咬合力による変形と咬合調整の重要性を痛感した。 続きを読む

3歳児の反対咬合

2015年06月01日(月)

21-6-9-%e2%91%a2 乳歯列期に「被蓋を改善して経過観察」する事を両親に理解してもらい、協力を得て治療を進めることにした。始めは印象も採ることはできなかったが、次第に歯科医院の雰囲気にも慣れ、両親やスタッフの努力の甲斐あって、4ヶ月後には模型を作ることができた。ムーシールドにも慣れ朝まで装着できるようになり、コミュニケーションや意思の疎通が取れるようになった。そして、咬合面に光重合型アイオノマーを添加することにより、左右のバランスが取れるようになり、1年後に正常被蓋になっていった。 続きを読む

乳歯咬合崩壊

1996年05月18日(土)

62.7.29.B 62.7.29.C

 虫歯が多いと、食べやすい炭水化物(糖質)が多くなり、食べにくいタンパク質が不足する。偏食にもつながる。しっかり噛めなくなると、必要な栄養の吸収も悪くなり、成長・発育に多大な影響を与える。咬むという動作は、脳の発達にも役立つと言われている。
 また、口腔環境や生活習慣が改善されなければ、永久歯の虫歯や歯周炎を引き起こす原因になる。早期に乳歯を失うと、後から生えてくる永久歯が影響を受け、歯並びも悪くなる。顎の成長異常により顔の変形をもたらすこともある。 続きを読む

釣り針が歯肉に刺さる

2002年01月26日(土)

H14.1.26.患者  56歳女性
初診  平成14年1月26日
主訴  刺さった釣り針を除去して欲しい
現症  右下3/4番部歯肉に釣り針が刺さっている
現病歴 買ってきた甘鯛を焼いて食べていたら、痛みが走った。
        そのまま来院。
処置  口腔内を消毒後、浸潤麻酔を施し、反しをうまく外して釣り針を除去 続きを読む

咬合崩壊を再構築

1993年07月07日(水)

63.3.3.A 63.3.3.D 63.3.3.E

 歯が抜けたまま長期に放置しておくと、対合歯が挺出したり、隣接歯が傾斜したりする。プラークコントロールが悪いと、それが助長される。多数歯欠損になると、咬合崩壊・低位咬合になり、下顎が後退し顎関節にもダメージを与える。そして、低位咬合に陥ってしまった口腔を改善することは非常に困難である。キネジオ、マイオモニターにて咬合の筋肉位と挙上範囲・左右バランスを確認し、下顎を前下方へ咬合挙上する。顎関節・咀嚼筋の影響をを見ながら、咬合高径の試行錯誤を繰り返す。1年ほどの経過観察にて、ある程度の安定した咬合を導き出す。その後、過度な力が加わると脱離しやすい補綴物と義歯にて微調整を繰り返し、約6年をかけて咬合を再構築させることができた。 続きを読む

エプーリス

2009年02月03日(火)

エプーリス001 歯肉に限局した腫瘤を形成する良性の線維性の増殖物あるいは肉芽腫を総括した臨床的総称である。女性に多く、下顎より上顎に多く見られる。有茎性のものが多い。癌腫や肉腫との鑑別が必要である。治療法は外科的切除。歯槽骨の骨膜並びに歯根膜から発生しているので、エプーリスだけとっても再発する。妊娠エプーリスは分娩後消失することもある。かかりつけの歯科医または口腔外科専門医に相談してください。 続きを読む

上顎前歯部のブリッジが壊れる

1988年01月20日(水)

62.6.27.A 62.6.27.D 62.6.27.E

 「なぜかな」と疑問に思うことが大切。特にこの部位だけのプラークコントロールが悪かったわけではない。それでもこの部位だけが一度治したにもかかわらず再発している。噛み合わせや口呼吸に問題があるかもしれない。
 この症例の場合、臼歯部両側に骨吸収や分岐部病変が見られるので、非常に咬合力が強いことが推察される。また、下顎がわずかに右に偏位している。そして、暫間被覆冠装着時のキネジオを見ると、安静位から右後方へ偏位して咬合(右が低い・左前方が筋肉本来の咬合位)している。そのため、左前方で無意識に噛んでしまうので、暫間被覆冠がよく外れ、これまでのブリッジも同じように無理がかかり壊れたのだと思う。今後、安定した咬合位で作製したブリッジを経過観察と定期検診で見守り続けていきたい。 続きを読む

スリープスプリント(症例)

2011年06月09日(木)

スリープスプリント  通常、睡眠中は主に鼻呼吸によって行われている。鼻腔には圧及び気流の変化を感知する受容器が存在し、鼻呼吸時はこの反射系が働いて吸気時の咽頭周囲筋活動を高め上気道の開存性を保持している。口呼吸時にはこの反射系が消失し上気道狭窄が起こりやすくなり、無呼吸の発生につながる。
 睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)は中枢型と閉塞型に大別され、臨床的には9割以上が閉塞型である。そして、歯科領域で扱うのも閉塞型である。その患者さんでは、解剖学的に咽頭腔が狭小であったり、さらには就寝時に舌根が沈下してしまうことが多いことから、舌を前方に保持する口内装置や、下顎を前突させて中~下咽頭腔の開大をはかる歯科的口腔内装具が考案されている。現在普及しているのは後者のタイプであり、スリープスプリントと呼ばれている。 続きを読む

再植後の歯根吸収

2009年07月31日(金)

 再植歯の予後は、生存している歯根膜の量により決まる。注意すべき点としては、歯が歯槽窩から離脱していた時間、脱離歯(完全脱臼歯)の汚染・感染度、脱離歯の貯蔵状況、脱離歯の歯髄の状態などがある。しかし、歯根膜の重要性が確立されていない時期には、脱離歯を感染予防のために煮沸したり、歯根膜を完全に剥離して再植することもあった。また、現在でも、歯根膜の損傷や歯根乾燥による歯根膜変性がある一定の範囲を超えると、炎症性骨吸収や骨性癒着を起こすこともある。 続きを読む

健康への意識改革

2010年12月03日(金)

健康への意識改革1 咬合異常が顔貌や咀嚼運動に影響を与え、健康への意欲不足と治療に対する理解不足が虫歯による咬合崩壊を招き、より一層障害を進行させていた。ヘルスカウンセリングにより現実を受け止め、積極的にプラークコントロールするようになり、治療計画の提案を真剣に考えるようになった。
参考に
 定期検診の大切さ
kojima-dental-office.net/19901115-3357#more-3357 続きを読む

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