再植後の歯根吸収
2009年07月31日(金)
再植歯の予後は、生存している歯根膜の量により決まる。注意すべき点としては、歯が歯槽窩から離脱していた時間、脱離歯(完全脱臼歯)の汚染・感染度、脱離歯の貯蔵状況、脱離歯の歯髄の状態などがある。しかし、歯根膜の重要性が確立されていない時期には、脱離歯を感染予防のために煮沸したり、歯根膜を完全に剥離して再植することもあった。また、現在でも、歯根膜の損傷や歯根乾燥による歯根膜変性がある一定の範囲を超えると、炎症性骨吸収や骨性癒着を起こすこともある。それでも、たとえ数年後に歯根吸収などにより抜歯を余儀なくされても、その間は特に成長期の学童期では問題点の多い欠損部の補綴処置が回避できる。そして、欠損部歯槽骨も温存できて、将来の補綴処置に好影響をもたらす。
患者 16歳女性
初診 1990年3月7日
主訴 右上1番の動揺
現病歴 5年前に外傷にて脱落し、再植した
現症 唇側にアブセスがあり
レントゲン写真にて歯根吸収を認める
経過
3/7 現在の状況を説明し、治療計画を説明する
3/23 右上1番を抜歯する
5/21 ブリッジを装着する
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