本の世界
本の世界
2022年01月21日(金)
原作 デイル・ドーテン
編 「仕事は楽しいかね?」研究会
きこ書房
2016年3月7日発行
1300円
本書は、デイル・ドーテン著「仕事は楽しいかね」のまんが版。オリジナル版は、大雪のために空港のロビーに足止めされたビジネスマンの「私」と老人・マックスとの一昼夜の物語だったが、本書の主人公はカフェのアルバイト店員・奈津。オリジナル版のエッセンスを、まんが版独自のストーリーに載せて再構成した。著者の素晴らしい言葉に触れ、「仕事は楽しい!」と感じてもらいたい。
山中伸弥、藤井聡太著「挑戦 常識のブレーキをはずせ」
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2021年10月27日(水)
荻野晃也著
2007年5月10日発行
緑風出版
1800円
20年ほど前から送電線・変電所・配電線などの電力施設や家庭の電気製品などから漏洩してくる交流の低周波電磁波が、私たちの健康に悪い影響を与えるのではないかと言われ始めた。電磁波による影響には、白血病・脳腫瘍・乳ガン・肺ガン・アルツハイマー病が報告され、ノイローゼや自殺も関係があるといわれている。電磁波の健康への悪影響が完全に確定したわけではない。しかし、欧米では、「危険な可能性が高いのなら慎重に回避しようではないか」という「慎重なる回避思想」「予防原則思想」が広まっている。スウェーデン政府は、国レベルで「悪影響がある」と判断し、1992年末から具体的な対策を取り始めている。スイスやイタリアでは厳しい基準値を作り始めた。イギリスでは、16才未満には携帯電話を使わせないようにしている。 続きを読む
2010年06月21日(月)
人間は、いつ怪物になるのか
小野俊太郎著
青草書房
2009年11月24日発行
2100円
頭がクリアな時にパワー全開で読み込まないと、理解が困難な1冊である。内容が濃く、未知の世界が広がり、考えを巡らす楽しさがある。読む人の感性によって様々な発見があると思う。
小説の怪物たちを通して現代の異常を探り、原因を考察する。ブラックボックス化した人間の内面を探求し、偏見や差別を克服し、外観に左右されない共感する心を育みたい。
また、ロボットに対する欧米と日本人の考え方の相違にも着目し、20世紀に生み出された怪物やスピルバーグの映画に見られる怪物たちの後継者にも注目したい。 続きを読む
2024年07月06日(土)
スウェーデン発・世界的話題書
著者 クリスティアン・ベネデイクト
ミンナ・トゥーンベリエル
訳者 鈴木ファーストアーベン理恵
サンマーク出版
2023年7月25日発行
1600円
夜の睡眠は心身にとって最上の休息。しかし、眠れなくても、「横になる」だけで効果がある。暗闇の中でただ横になって休んでいるだけで、脳は外部の大方の情報から遮断され、リラックスできる。体と心には恵みの時間となる。
年配の人は新たな情報を処理することも少なくなるため、それほど多くの睡眠を必要としない。静けさを楽しむことができれば、休息の効果はより大きくなる。
満足に眠れなかったとしても、朝の起床後には、太陽の光を目で受けてコーヒーを1杯飲み、しっかり朝食をとり、体内時計と睡眠・覚醒リズムを整えよう。
眠りにつくと、短期記憶保管庫である「海馬」に保存された一時的な記憶は、価値あるものだけを睡眠紡錘波によってシナプス強化し、長期記憶に保存する機会が与えられ、必要としない神経細胞の接合の大部分を除去し、脳は次の日に必要となる空き容量を十分に確保する。 続きを読む
2008年11月11日(火)
鈴木輝一郎著
新潮新書
2005年6月20日発行
680円
歴史を裏返していろんな角度から検証するのは必要であろう。義経を現代の経営・人事理論で読み解くところがおもしろい。現代のわれわれにも、学ぶところが大きいと思う。果たして自分は転換期に気づけるだろうか。
人事とは常に不公平なものだということを忘れてはならない。窓際族は、無能だから窓際にいるわけではない。運に恵まれなかっただけだ。自分の評価は直属の上司がするものであって、これは功績や実績よりも、こまめな「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」による場合が多い。それでも自負心を持ち続け、いつまでも、多方面にチャレンジしていきたい。
明治以前は日本も夫婦別姓の国
北条政子 政子は嫁いだ先の源とは違う苗字を名乗っている
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2019年07月10日(水)
渡辺佑基著
2019年2月28日発行
河出書房新社
920円
国立極地研究所に所属する生物学者。専門分野は、海洋動物(魚、海鳥、海生哺乳類)の生態。生態を研究するためツールとして、動物の身体に小型の計測機器を取り付ける「バイオロギング」の手法を使っている。10年ほど前の大学院生の頃、バイオロギング機器をタイマーで動物の体から切り離し、電波を頼りに回収するという独自のデータ回収システムを開発した。動物を捕獲する必要がなくなり、応用範囲が飛躍的に広がった。
本書では、体温という物理量が生物の姿かたちや生き方をどのように規定しているのかを明らかにしたい。昆虫にも、魚にも哺乳類にも当てはまる統一理論「生物の法則」にもチャレンジしてみたい。 続きを読む
2017年12月18日(月)
マルトリートメント(不適切な養育)が子どもの脳を変形させる
著者 友田明美
福井大学子どものこころの発達研究センター教授
www.med.u-fukui.ac.jp/CDRC/
発行 NHK出版新書
本体価格 780円
発行 2017年8月10日
私たちの研究では、強者である大人から、弱者である子どもへの不適切な関わり方を、「虐待」とは呼ばずに「マルトリートメント」と呼んでいる。子どものためだと思ってした行為であろうとなかろうが、傷つける意思があろうとなかろうが、子どもが傷つく行為は、すべて「マルトリートメント」。
診療の現場で親たちの話に耳を傾けてみると、わが子を憎くてやっているばかりでもないことは事実。親が子どものふるまいを正すことに必死になりすぎるあまり、自分の行為を冷静に見られなくなっている。それに「虐待」というレッテルを貼り、親の人格を強く否定してしまったら、彼らが子どもを育て直すチャンスまで奪ってしまうことにもなる。まずはどのような行為が不適切な養育にあたるのかを知り、子どもを傷つける言動を繰り返さない。これが大きなポイント。 続きを読む
2020年05月03日(日)
新型コロナウイルスの危機に直面する人たちに向けて、インターネット上で発表
藤原辰史氏 京都大人文科学研究所准教授
www.iwanamishinsho80.com/post/pandemic
人間は楽観主義にすがり現実から逃避してしまう癖があり、甚大な危機に接して、為政者の楽観と空威張りをも信じてしまう。新型コロナウイルスは、国家や家族、そして未来への信頼を打ち砕き始めている。後世に残す文章を尊重し、歴史を重視する組織であり、国のリーダーが情報を隠すことなく提示してきたならば、そのデータに基づいて国民は行動を選択できる。異論に対して寛容なリーダーであれば、より創造的な解決策を提案できる。 続きを読む
2019年09月25日(水)
2019.9.25.
ハーバード連続講義録
トニ・モリスン著
解説 森元あんり 訳者 荒このみ
東洋経済新報社
20019年7月22日発行
920円
トニ・モリスンは、1993年にノーベル文学賞を授与された最初のアフリカン・アメリカンの作家。2016年春、ハーヴァード大学で「帰属の文学」について行った連続講演の原稿を元にした単行本。アメリカ合衆国とはいかなる社会であるか、書籍文字を通して、またさまざまな遭遇を通して「他者」とは何かを問い、その関係性を分析し、アメリカ社会の理解を深めようとしている。トニ・モリスンの発想と主張を抜きにして、今日のアメリカ社会を理解することはできない。アメリカ社会における「アフリカ」について知ることこそ、今日のアメリカ社会を知ることに繋がる。 続きを読む
2010年09月06日(月)
井田徹治著
岩波新書
720円
2010年6月18日発行
第6の大絶滅、生命史上最大の危機を迎えている。これまでの過去5回と質的に異なり、人間の活動が原因である。また、絶滅後に新たな種が生み出されてきた現場だった湿地や熱帯雨林も、今回は破壊が急速に進んでいる。
「生物多様性のホットスポット」を取材してきた環境問題を専門とする記者が、問題点とこれからの糸口を紹介している。ぜひ、この機会に当たり前が当たり前でなくなっていくことに気づき、考え行動したい。 続きを読む