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のぼる君の歯科知識

ざんねんないきもの事典

2020年02月16日(日)


ざんねんないきもの事典www.takahashishoten.co.jp/zannen/#home
おもしろい! 進化のふしぎ
今泉忠明監修
高橋書店発行
900円
 ざんねんな生き物とは一生懸命なのに、どこか残念な生き物たちのこと。
 「進化」とは、体のつくりや能力が長い時間をかけて変わっていくこと。進化に正解はない。生き残れるかどうかは運次第。今まで地球に登場した生き物は、99.9%は滅んでしまった。環境がガラリと変われば、絶滅してしまう。
 人間も同じ。魚のように水中で呼吸ができるようになったり、爬虫類のように気温にあわせて体温が変えられるようになったりすれば、どんな環境の変化にも対応できる。しかし、進化の道は後戻りできない一方通行。偶然が味方につけば、進化でピンチを乗り越えられる。
 ①チンパンジーは500万年前に人間と共通の祖先から別れた動物。とても賢く、手話で人間と話すこともできる。言葉は分かるけど、言葉をしゃべることができない。なぜならチンパンジーは口で呼吸ができないから。口呼吸ができるのは、哺乳類の中でも人間だけ。チンパンジーは人間のように口から出す息の量を調節できない。これは脳の進化に喉が追いついていない、非常に惜しい状態。
 ②イルカは人間と同じ哺乳類だが、水中の生活に適応している。しかし、魚のような鰓呼吸はできないため、頭のてっぺんにある鼻の穴を水面に出して息をする必要がある。そのため、完全に眠ってしまうと、溺れて死ぬ。ただし、全く眠らないわけではない。水面近くをゆっくり泳ぎながら、数分ごとに目を交互に閉じて、脳を半分ずつ休めることができる。
 ③カンガルーの体にはおへそがないため、お腹の中で栄養がもらえないので、小さな赤ちゃんを産み、袋の中で育てる。生まれたばかりの赤ちゃんは自力で袋に入ると、中にある乳首をくわえる。すると、乳首の先がぷくっと膨らみ、口から外れなくなる。赤ちゃんが成長して口を大きく開けられるようになるまで、強制的に乳首をくわえさせられたままになる。袋から出ることも身動きもできないので、うんこもおしっこも垂れ流しだが、母親が顔を突っ込んで食べてしまう。
 ④カモノハシは卵を産むが哺乳類。でも乳首がないので、お腹の皮膚から汗のように母乳を出す。赤ちゃんはこのしずくを舐めとって成長する。そもそも母乳は汗が変化したもの。
 ⑤温かい海よりも冷たい海のほうが生き物はたくさんいる。水温が低いほど水中の酸素の量が多いため、プランクトンが増え、それを食べる魚も増える。コオリウオは特に極寒の海に適応しており、たとえ水温が0℃以下になっても、体は凍らない。ところが、3℃以上になるとたちまち死ぬ。彼らの血液には、酸素を運ぶ赤血球がない。そのため、水温が上がり酸素の量が少なくなると、体中に酸素を運べなくなり窒息する。
 ⑥ゾウには2本の長い牙(前歯)のほかに、奥歯が上下に12本ずつある。しかし、奥歯はとても大きく、口の中には上下2本ずつしか生えられない。使っている歯がすり減ると、ホッチキスの針のように次の歯が奥から移動してきて、前の歯と入れ替わる。そのため、ゾウの奥歯は、一生のうちに5回生え替わる。硬いものを食べるため、60年ほどですべてすり減り、最後は何も食べられなくなって餓死する。
 ⑦は、草を食べると、胃の中で一度発酵させてから口の中に吐き戻し、よだれと混ぜ合わせてから、再び飲み込んで消化する。これを「反すう」という。発酵すると酸性になるため、そのままでは内臓を痛めてしまうので、アルカリ性のよだれで中和しながら食べる。つまり、よだれで胃の調子を整えている。1日に180リットルもよだれを出しながら、60kgもの大量の草を食べている。
 ⑧多くの魚は、えらぶたを閉じ開きして、鰓に水を送り、水の中の酸素を体に取り込んでいる。ところが、クロマグロは、えらぶたを動かさない。口を開けたまま泳ぎ、口から鰓に水を送って呼吸している。同じ大きさの魚と比べると、3倍近い速さで泳ぐので、酸素の消費量が激しく、えらぶたを動かすくらいでは呼吸が追いつかない。泳ぐのを止めてしまうと酸欠で死んでしまう。
 ⑨ヒトデの体は平べったく、硬い皮膚で覆われているため、あまり大きなものは飲み込めない。そこで、口から胃を吐き出して消化する方法をあみ出した。胃袋を押し当てて、体の外で胃液を出して消化吸収する。再生能力が異常に高いヒトデならではの力業。胃が傷ついてもしばらくすれば治ってしまう。
 ⑩ニホンザルはお尻が赤ければ赤いほどモテる。赤く見えているのは、皮膚の表面近くに張り巡らされた血管の血の色が透けているため。赤い肌は、血流が良く元気な証拠。
 ⑪カブトガニの血液の色は青で、ばい菌に敏感に反応するため、これを利用してばい菌がいるかどうか検査する薬が作られた。
 ⑫イリエワニは、噛む力はハンパではない。口全体で小型トラックくらいの重さをかけられるので、たいていのものは噛み砕いてしまう。ところが口を開ける力は30kgほど。日本人の平均的なおじいちゃんが片手で押さえ込める。
 ⑬水面で暮らすミズスマシは、取りからも魚からも狙われる。そこで、空中と水中を同時に見られるように、目が上下に分かれて4つになった。ただし、前は見えない。クルクル円を描きながら泳ぐため、あまり不便ではない。
 ⑭ほとんどの昆虫はキャベツを食べない。キャベツには、昆虫が不味いと感じる成分が含まれている。モンシロチョウの幼虫は、キャベツの葉が大好き。そのため、独り占めできる。しかし、キャベツもはを食べられると特別な匂いを出し、モンシロチョウの幼虫に卵を産み付ける、寄生蜂を呼び寄せる。仁義なき戦いが繰り広げられている。
 ⑮ラッコがプカプカ水面に浮かんでいられるのは、全身で8億本もあるという異常に毛深い体のおかげ。毛の間に空気がたまって浮き輪の役割をする。体温を保つ役割もある。皮下脂肪がほとんどないので、1日に体重の4分の1程度の量を食事しないと、体温が下がって凍死してしまう。
 ⑯スズメバチは、他の昆虫を仕留めると、肉団子のように丸めて巣に運ぶ。これは幼虫の食べ物。独針の着いたお尻を自由自在に動かすために、胸とお腹の間のくびれを異常に細くした。それと引き替えに、成虫は固形物が通らなくなり、食べられなくなった。そのため、成虫は幼虫から栄養液をもらって命を繋ぐことになる。どちらが大人か分からなくなる。
 ⑰ホッキョクグマの毛が抜けると、肌は艶のない黒。太陽の熱をたくさん吸収できるように黒くなったと考えられる。毛の色も白ではなく、ガラス管のように透明。その空洞に暖かい空気を貯め込んで、寒さから身を守っている。
 ⑱ウナギは生まれた時は白っぽく透明。ところが成長して、川を上り始める頃になると、どんどん体が黒くなる。これは日焼け。体の表面を黒くして体の中に紫外線が入らないように守っている。
 ⑲アメリカザリガニは、若い時はグレーで、大きくなるにしたがって赤く変化する。食べ物で体の色が変わる。体の色はカロテンという色素で作られ、それは水草やヨコエビなどの食べ物から取り入れている。カロテンを含まない鯵や鰯だけを食べていると、赤身が薄れて青くなり、最終的には色が抜けて白くなってしまう。
 ⑳サイの角は、ただのイボ。カルシウムでできたものではなく、「ケラチン」でできている。

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