訪問診療での歯科感染対策のポイント
2021年12月19日(日)
~コロナ禍を踏まえた歯科の関わり~
講師 長谷剛志氏
公立能登総合病院歯科口腔外科部長
18日(土)ハイブリッド講演会。25名の参加。食べられるようになっていくプロフェッショナルな診療は興味深かった。このレベルには到達できないが、地道に食事観察を続けたいと思う。
前回の講演会
・訪問歯科診療から要介護高齢者の「食べる力」をサポートする
kojima-dental-office.net/20190127-4585
・地域で取り組む「在宅療養高齢者」の食支援
kojima-dental-office.net/20160825-2128#more-2128
・嚥下機能にあわせた食形態
kojima-dental-office.net/20131020-1277
メモ
A.在宅歯科診療での感染対策
日本老年歯科医学会のホームページ
「訪問歯科診療時の新型コロナウイルス感染症への対策に関する注意喚起」
www.gerodontology.jp/committee/001795.shtml
1.かもしれないとき
①体温測定を行う(本人、家族の発熱の有無、味覚障害や嗅覚障害について聴取)
②スタンダードプリコーション(標準予防策)を遵守
個人防護具(ガウン・グローブ、マスク、フェイスガード)
*家族・同居者の感染リスクを聞き取る
2週間以内の行動歴
帰国者や感染者、濃厚接触者との接触はないか
集会、イベント
*訪問看護師との連携
清潔域と汚染域とのゾーニング
本人家族がよく触るところ
普段使わない部屋で診療するのも一つの対策
*認知症や障害者では恐怖を与えて治療困難な場合は個人防護なしも選択肢の一つ
2.コロナ陽性患者、感染リスクが高い処置の場合
①グローブ、マスクを二重防護にする
血液、粘液、飛沫リスクが高い
*治療制限
B.コロナ禍でも在宅歯科診療に求めるもの
1.意識調査
*誤嚥や窒息に対する食事評価や口腔機能管理は徹底したいが、感染が懸念される治療行為に対しては消極的
食事観察や摂食嚥下評価の希望が多く、次いで義歯調整、口腔ケア介助、う蝕処置や抜歯などは皆無。
2.食事風景をリモートで連携
施設では経口維持加算Ⅱ(施設の収入面では大きい)
ミールラウンドにICTの活用
3.訪問時に口腔機能トラブルを察知する
・食事は美味しいですか
・噛みにくいものはありませんか
・むせや喉に詰まることはありませんか
・口腔ケア用品を見せてもらえませんか
使用状況や思い入れが分かる
交換時期をアドバイスできる
4.終末期の在宅における口腔管理
ビスホスホネート系薬剤による顎骨壊死
抗がん剤などによる口腔粘膜炎
C.今後の歯科医療に求められるもの
1.1989年 8020運動
2015年 オーラルフレイル
*厚生労働省事業により提唱
2018年 口腔機能低下症が保険導入
2.歯科医療提供体制等に関する検討会
www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_127375_00006.html
①地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関等の役割
www.mhlw.go.jp/content/10804000/000860070.pdf
・国及び地方自治体は、各々の歯科医療機関の果たす役割や機能を明示し、地域保健活動や、訪問歯科診療を中心とした医科歯科連携を進める。
・地域ケア会議等において、歯科医療従事者が中心となり、歯科保健医療の必要性を伝えていくことが重要。さらに、国や関係団体は、歯科医療機関とその他関係機関との調整を行う人材の養成を行うことが必要。
・歯科診療所は、国民・患者からも様々な役割や機能が求められていることから、専門分野に応じた歯科診療所間の役割分担、複数の歯科診療所のグループ化、歯科診療所の規模確保等を検討し、機能分化を図る。
・歯科保健医療を提供する病院は、設置状況や規模に応じて、歯科診療所で対応できない、より専門的な技術を要する患者の対応や歯科医療従事者に対する定期的な研修を実施すること等が責務として求められる。
3.歯科大学のコアカリキュラム
・令和6年に摂食嚥下がサブからコアカリキュラムへ
訪問診療での歯科感染対策のポイント
日時 12 月18 日[木] 19 時~20 時
会場 ハイブリッド講演会
オンライン会議システム「Zoom」(定員50 名)
および保険医協会会議室(定員6 名)
対象 保険医協会会員医療機関の歯科医師・スタッフ
参加費 無料
参加申込方法 長谷先生講演会チラシ
①医療機関名、②参加者氏名、③参加方法(会場orZ oom )④修了証発行希望の有無についてメールもしくは協会ホームページの申込フォームから1 2 月1 3 日(月)までにお申し込み下さい。
※会場参加をご希望の場合は、お電話でもお申込いただけます。
※定員に達した場合、上記より前に締め切る場合があります。お早めにお申し込みください。
★ E メールの場合→ ishikawa-hok@doc-net.or.jp まで
★ 申込フォームの場合 石川県保険医協会ホームページの【お問い合わせ】から。
主催・お問い合わせ 石川県保険医協会歯科部
〒920-0902 金沢市尾張町2-8-23 太陽
生命金沢ビル8 階
電話 076-222-5373
FAX 076-231-5156
開催にあたって
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、院内感染対策への関心が高まっています。保険医協会歯科部では、6・7月に谷内江昭宏先生(石川県新型コロナウイルス感染症対策専門家会議座長)、8 月に高木純一郎先生(石川県立病院歯科口腔外科部長)をお招きして、感染の基礎、そして対策を学ぶ講演会を企画してきましたが、今回は、公立能登総合病院歯科口腔外科部長である長谷剛志(はせたかし)先生を講師にお招きしました。公立能登総合病院の感染対策に加えて、主に訪問診療における歯科感染対策のポイントをお話いただきます。コロナ禍を踏まえた実践的な感染対策を学び、医療者・患者双方にとって安心・安全な歯科医療がさらに充実することを期待しています。奮ってご参加ください。
参考に
谷内江昭宏先生「新型コロナウイルス感染症のイロハ」
kojima-dental-office.net/20210730-5596
高木純一郎先生「コロナに負けない歯科診療室の感染対策と最近のトピックス」
kojima-dental-office.net/20210826-5891
講師抄録
高齢者の増加に伴い、訪問歯科診療の対象者も多い。対象者の療養環境は居宅または施設であるが、その生活様式は様々であり、各場所の方針や決まりごとに苦慮することもある。特に、診療器具の設置や診療中の汚染に対する配慮については細心の注意を払いたい。また、患者の口腔を直に診察するため、患者、医療者側とも感染対策は必須である。これについては、コロナ禍において、さらに敏感になっており、日本老年歯科医学会のホームページには、「訪問歯科診療時の新型コロナウイルス感染症(C O V ID -1 9 )への対策に関する注意喚起」が示されている。
www.gerodontology.jp/committee/001795.shtml
今回の講演では、コロナ禍での口腔管理について現場での悩みを紹介し、医療スタッフへの感染、患者への水平感染のリスクを考慮しつつ、患者の口腔衛生状態の低下による誤嚥性肺炎の発症が懸念されることについて、電話等での施設、患家との連携・指導の在り方について、皆様と一緒に考えたい。
長谷剛志先生の主なご略歴
〇ご所属
公立能登総合病院歯科口腔外科部長、
金沢大学大学院医薬保健学総合研究科外科系医学領域顎顔面口腔外科学分野非常勤講師
〇ご学歴・ご職歴
2001年:北海道医療大学歯学部卒業
2006年:金沢大学大学院医学系研究科修了 医学博士
2009年:公立能登総合病院歯科口腔外科医長
2015年:同部長
〇その他ご役職
・金沢大学大学院医薬保健学総合研究科外科系医学領域顎顔面口腔外科学分野非常勤講師
・琉球大学大学院医学研究科顎顔面口腔機能再建学講座非常勤講師
・「食力の会」代表
・市立輪島病院歯科口腔外科非常勤医師
・石川県立田鶴浜高校衛生看護科非常勤講師
〇資格
日本口腔外科学会専門医,日本口腔科学会専門医・指導医,
日本老年歯科医学会専門医・指導医,日本老年歯科医学会摂食機能療法専門歯科医師
この講演会は「歯科初診料の注1」(院内感染防止対策)の施設基準に定められた研修にも位置づけています。修了証は、保険医協会の会員の歯科医師で、希望者のみ発行いたします。※参加者ご本人が会員の場合に限ります。注意事項について、必ずお読みください。
修了証発行希望の方への注意事項
本講演会では、希望する受講者に「歯科点数表の初診料の注1 に規定する施設基準」等の要件である、「院内感染防止対策に係る研修」に該当する修了証を発行いたします。なお、希望される方は、以下の①~③の注意事項について、必ずお守りくださいますよう、お願いします。適正管理のため、お守りいただけない際は、いかなる理由があっても修了証は発行できませんので、ご承知おきください。
①修了証の発行対象は保険医協会会員ご本人に限ります。未入会の場合には、事前にご入会手続きをお願いいたします。
②本人確認のため、Z oom 参加時は常時ビデオ機能をO N にして、お顔が映るようにしてください。
③遅刻および途中入室・再入室は認められません。
※Zoom のビデオ機能等について不安のある方は、事務局までお気軽にお問い合わせください。
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