小島歯科医院 名誉院長ブログ

新型コロナウイルス感染症のイロハ

2021年07月30日(金)


 〈歯科医師向けに語る〉<2回シリーズ講演>
講師 谷内江 昭宏 氏
(金沢大学附属病院副院長、石川県新型コロナウイルス感染症対策専門家会議座長)

最新情報コロナワクチンに対する考え方 2022.2.4.
小児への接種についても言及
 ①小児へのワクチン接種が可能な状況を整備することは有用
 ②接種対象は限定的であるべき
少なくとも11歳以下の小児への新型コロナワクチン接種に関して、集団免疫への寄与は期待してはいけない。
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 2回目メモ     新型コロナの最新情報
1.治療
 抗体カクテル療法
www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210719220000_1129.html
www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=71484

 厚生労働省は7月19日、中外製薬の新型コロナに対する抗体カクテル療法「ロナプリーブ」を特例承認。4万円ほどだが、患者負担はない。本剤は、新型コロナウイルスの表面に存在するスパイクタンパク質(Sタンパク質)に対するモノクローナル抗体2種類がカクテルされている。Sタンパク質と宿主細胞表面の酵素との結合を阻害(中和)し、宿主細胞への侵入を阻害することで効果を発現する。
 投与対象患者は、発症から1週間以内で、重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者。入院、点滴。 
2.変異株
 ①変異のタイミング
  ・生物は遺伝子サイズが小さいほど変異率が高い
  ・増殖すればするほど変異する(およそ2週間に1個の変異)
     次々と感染を繰り返し増殖、免疫不全患者などでの持続感染で増殖
 ②SARS-CoV-2 変異がウイルスの性質に与える影響
        ・感染性の変化  より伝播しやすくなる
  ・病原性の変化  より重症化し、死亡率が上昇
  ・免疫性の変化  ワクチンの有効性低下
  ・中立的な変異  分子疫学的解析の指標となる 重要
 ③WHOはVOIとVOCを暫定定義
www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/10220-covid19-36.html
    (スパイクタンパクが変異)
  ・注目すべき変異株(Variants of Interest; VOI) ε、θ、κ、
    表現型が変化
  ・懸念される変異株(Variants of Concern; VOC) α、β、γ、δ
    感染/伝播性の増加
    毒力(病原性)の増加
    ワクチン、治療薬の有効性の低下
 ④分子疫学調査で捉える感染拡大の景色
  ・地政学的リスク
    新幹線による金沢と飛行機による小松から県内へ 
  ・クラスター解析 変異による急激な感染伝播
  ・分子系統樹
  ・変異株の種類が地域の感染拡大を左右する
    δ株比率が増加すると急激な感染拡大
3.ワクチン
 ①ワクチンの免疫学と感染防御の歴史
  ・ジフテリア、百日咳、はしか、ポリオのワクチンによる実績
  ・自然免疫は、直ぐに応答できるがコストパフォーマンスが弱い
  ・獲得免疫は、対応に時間がかかる
    キラーT細胞(ウイルス感染細胞の排除)
    抗体産生(ウイルスの中和)
  ・生ワクチンと不活性ワクチンでは、誘導される免疫の要素が異なる
    生ワクチンは、キラーT細胞、ヘルパーT細胞、抗体産生
    不活性ワクチンは、ヘルパーT細胞、抗体産生
  ・異なる原理によるワクチン開発
                mRNA  ファイザー、モデルナ、第一三共
    ウイルスベクター  アストラゼネカ、ジョンソン&ジョンソン
  ・mRNAワクチンの効果
    死者数の減少
    高齢者の感染者数、入院患者数が減少
 ②ワクチンの課題
  ・モデルナアーム 自然に治る
www.news24.jp/articles/2021/07/28/07913695.html
  ・VITT(ワクチン誘発性免疫性血栓性血小板減少症)
www.jsts.gr.jp/news/pdf/20210601_tts2_3.pdf
    疑う症状 ワクチン接種後4~30日
     激しい頭痛、視力障害、腹痛、嘔気・嘔吐、背部痛、息切れ、
     下肢の疼痛・腫脹、点状出血・紫斑・出血傾向
  ・心筋炎、心膜炎
www.mhlw.go.jp/content/10601000/000796566.pdf
     ワクチン接種後4日程度の間に、胸の痛みや息切れが出る
  ・ワクチン接種後の感染
     あらゆるワクチンは完全ではない
     抗体価は低下する
     重症化はしない
  ・デマによるワクチン接種回避
 ③ワクチンプラスの時代
  ・なんとなく気が緩むが、ソーシャルディスタンス、マスク、手洗い
  ・お願いベースのネガティブな行動ではなく、
        コミュニティによるポジティブな行動
  ・社会行動学や行動心理学が重要
     COVID-19と行動変容の心理学
yab.yomiuri.co.jp/adv/chuo/research/20200827.php

 1回目メモ 「いまさら聞けない!?新型コロナの基礎知識」
1.SARS-CoV-2 パンデミック
  ・2020年2月 中国75,709
      他に1,133  ダイヤモンドプリンセスが半分、残りは東南アジア
  ・2020年3月以降、SARS-CoV-2 感染は急速に世界中に拡大した
      2021.5.24. 感染者数 167,527,962、死者数3,478,355
  ・石川県では医療調整本部ができて、ほとんどが入院できた
    他の県に比べて調整がうまくいき、自宅やホテル療養が少なかった
2.SARS-CoV-2 とは何か?
  ・SARS-CoV-2のスパイクタンパクが受容体であるACE2に結合し
    細胞内に取り込まれる→ウイルスRNAの複製→ウイルスの部品を合成
    →ウイルス粒子の形成→細胞外に放出
  ・SARS-CoV-2 はヒトに感染する7種類のコロナウイルスの一つである
     かぜ症候群
      HCoV-229E
      HCoV-OC43
      HCoV-NL63
      HCoV-HKU1
     中東呼吸器症候群(MERS)
      MERS-CoV
     重症急性呼吸器症候群(SARS)
      SARS-CoV
     新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
      SARS-CoV-2
  ・とにかく小さい
     SARS-CoV-2 0.1㎛
     細菌 1.0㎛
     PM2.5  2.5㎛
     飛沫     3~5㎛
     人の細胞   10㎛
     花粉     30㎛

3.SARS-CoV-2 感染症の臨床
  ・COVID-19は単なる呼吸器感染症ではなく、
     血管障害を基盤とした全身炎症性疾患である
  ・発症1週間前後に急激に悪くなる人が20%
    小児に多臓器炎症症候群の報告がある

4.PCR検査の意味と意義
  ・PCR検査はCOVID-19の診断のみではなく、クラスター分析にも重要である
    二次感染、三次感染がPCR検査のウイルス量分布で分かる
  ・抗原検査はウイルス量の多いときに活用できる

 

5.感染拡大は何故起こるのか?
  ・市中感染の増加とクラスター発生の起こる仕組みを理解する必要がある
     非日常を避け、日常を大切に
  ・スーパースプレッダー(感染性ピーク時の人)に出会うと爆発的に感染者が増える
    発症前の無症状期にウイルス排出量が最も多い(感染性ピーク)
  ・時間軸で考える
    移動の少ない密閉空間では必ずピーク時に遭遇するので
      クラスターが発生しやすい
    既に発症したピークを過ぎた患者を診ているコロナウイルス専門医療機関では、
      感染力が落ちている

石川県保険医協会歯科部主催 オンライン講演会
<2回シリーズ講演>
第1回 6 月 10 日[木] 19:30~21:00 ごろ
「いまさら聞けない!?新型コロナの基礎知識」
第2回 7 月 29 日[木] 19:30~21:00 ごろ
「新型コロナの最新情報」
会 場     オンライン会議システム「Zoom」
対 象     保険医協会会員の歯科医師
(医師および会員医療機関のスタッフも参加可能)
    開催にあたって
 保険医協会では 2017 年から 2018 年にかけて、今後社会問題となりそうなテーマを取り上げる「キホンのキ・ゼミナール」“ワクチンと免疫”を、谷内江昭宏先生を講師に開催しました。
 予防接種のための免疫学①
  免疫学総論ー基礎の基礎
kojima-dental-office.net/20170425-3711
 予防接種のための免疫学②
  免疫グロブリンと多様性
kojima-dental-office.net/20170711-3842#more-3842
その後、2019 年末から流行を始めた新型コロナウイルス感染症は、現在まさに世界的な社会問題となっています。
 今回は、金沢大学附属病院副院長で県専門家会議の座長としても活躍しておられる谷内江昭宏先生を再度お招きし、新型コロナウイルス感染症について学ぶシリーズ講演会を企画しました。
 第1回目では、主に新型コロナウイルス感染症を中心にワクチン、免疫、検査などの関連トピックに関するベーシックな内容も含めてご講演いただき、第2回目では、基本に加えて新型コロナの最新情報についてもお話いただく予定です。
 歯科医師対象の企画ですが、感染症ビギナーからエキスパート、歯科・医科問わず広く会員医療機関のみなさまと学び合いたいと考えております。奮ってご参加ください。
 ウイルスは生きている
kojima-dental-office.net/blog/20201028-14340
 なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか
kojima-dental-office.net/blog/20201211-14352
<参加申込方法>谷内江先生Zoom講演会チラシ
①医療機関名【必須】、②参加者氏名【必須】、③事前質問をご入力のうえ、メールもしくは協会ホームページの申込フォームからお申し込み下さい。
ishikawahokeni.jp/covid-19s_iroha/
    ★ E メールの場合
ishikawa-hok@doc-net.or.jp まで
    ★ 申込フォームの場合
石川県保険医協会ホームページの【お問い合わせ】から。
もしくは、下記の QR コードを読み取ると直接お申し込みできます。
第 1 回の申込締切 : 6 月 4 日(金)
※定員に達した場合、上記より前に 締め切る場合があります。お早めにお申し込みください。
主催・お問い合わせ 石川県保険医協会 歯科部
   〒920-0902 金沢市尾張町 2-8-23 太陽生命金沢ビル 8 階
   電話 076-222-5373   E メール ishikawa-hok@doc-net.or.jp

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