小島歯科医院 名誉院長ブログ

今日からできる歯科『訪問』診療

2024年11月17日(日)


講師:森元主税氏(東京都・森元歯科医院院長)
    東京歯科保険医協会理事、全国保険医団体連合会副会長
 在宅への訪問歯科診療を「歯科保険診療の研究」2024年6月版(赤本)を使い、基本的な「医療保険」「介護保険」の点数の算定、症例(カルテ記載)等を解説。
 前回の講演会
kojima-dental-office.net/20180218-4060#more-4060
認知症と歯科疾患
 医科講師 大川義弘氏
      (城北クリニック院長、石川県保険医協会副会長)
 歯科講師 森元主税氏
      (森元歯科院長、保団連副会長、東京歯科保険医協会理事)
 前日の講師を囲む会
kojima-dental-office.net/blog/20241116-19907

 メモ
1.現状
 ①要介護高齢者の6割が歯科治療を必要としているが、そのうちの実際に治療を受けたことがある人は2.4%だった。(社会保障審議会 介護給付費分科会資料)
 ②在宅歯科医療を実施している歯科診療所は、石川県では約100件、2割。
  (在宅歯科医療の提供体制等に関する検討会資料)
2.はじめの一歩
 ①施設基準
  ・歯科訪問診療料の注15を届け出ること
 ②切削器具の常時携行が必須
 ③介護保険は利用者と契約を結ぶことが望ましい
3.歯科訪問診療の基本
 ①疾病・傷病のため外来通院が困難な患者
  ・単なる歯磨きして欲しいとか口を診て欲しいとかではなく、
    医療行為に結びつく、病名のつく依頼が必要
  ・脳血管疾患の後遺症により右麻痺のため歩行困難など具体的に書く
  ・認知症やパニック障害、うつ病など家から出られず通院困難となる患者も対象
 ②患者等の求めに応じ、継続的な歯科訪問診療を必要と認めた患者
  ・紹介ビジネスに誤解されないように
    患者の主訴をケアマネジャーを通しての依頼と書く
 ③診療所から訪問先まで16km以内
4.同一建物居住者と単一建物居住者の考え方
 ①同一建物居住者
  ・1日単位の人数区分で算定する
     歯科訪問診療料
 ②単一建物居住者
  ・月初めの人数区分で 点数を確定
     訪問歯科衛生指導料と居宅療養管理指導費(歯科医師・歯科衛生士)
  ・ただし、月途中で追加になった場合は、その方のみが区分変更の算定となる
5.歯科疾患在宅療養管理料、訪問歯科衛生指導料
   と居宅療養管理指導費(歯科医師・歯科衛生士)
 ①口腔機能の管理も含まれていること注意
 ②患者に関わる人を指導する
6.歯科訪問診療のコツ
 ①急変に備えて
  ・医療情報を網羅している看護サマリーを入手する
  ・パルスオキシメーターを常時携帯する。動脈血液の酸素飽和度(SpO2)
  ・聴診器で嚥下機能を確認
 ②食べるを確認する
  ・治療の最後に食べてもらう
  ・多職種連携・協働のポイント
  ・舌の動きを注視する
  ・丸めたシリコンヘッドにした音波ブラシで口腔内を刺激する
  ・即時重合レジンのスポイトの丸い部分を凍らせてアイスマッサージ
  ・流涎(よだれ)は麻痺のサイン
 ③管理計画
  ・介護力を考慮
  ・義歯の設計に優しさ
    麻痺側の口唇にクラスプが引っかからないように先端を近心に
  ・その日のうちに食べられるように義歯修理
    何日も食べられないと口腔機能も落ちフレイルに近づく

ご案内
 高齢化が進む中、当然ながら歯科医療、特に訪問診療の需要も大いに高まっており、患者から訪問依頼を受けることもあると思います。一方で、カルテの記載方法がわからない、医療保険と介護保険の給付調整等が複雑などの理由から、訪問診療をためらわれている会員も多いのではないでしょうか。今回は在宅歯科医療のエキスパートである森元主税先生をお呼びして、2024年の診療報酬改定も踏まえた歯科訪問診療を学ぶセミナーを企画しました。当日は症例やカルテ記載なども含めて解説いただきます。
 歯科医師、スタッフの皆さまもぜひ奮ってご参加ください。
講演要旨(講師)より
 外来受診の患者さんは、いずれ通院できなくなります。その理由は様々で、要介護状態となることが主な原因と思われます。自院を受診していた患者が通院困難になった場合、かかりつけ歯科医は訪問診療へと移行しているのでしょうか?在宅で療養し、歯科診療から遠ざかった要介護高齢者の口腔状況や機能はどうなっているのか?悲惨な状態であると想像できます。
 しかし、歯科診療所は、まだまだ訪問歯科への取り組みが進んでいない現状。訪問歯科の要望は年々高まっているというのに・・・
 過去、自院受診の患者さんからの要請で、訪問歯科の経験がある歯科診療所は、かなりあると思います。
 しかし、その後、訪問歯科の要請がないとか、時間がないとか、積極的に取り組まれてこなかった所が多いのではないでしょうか。その背景には、「介護保険」との関係、つまり、在宅で療養している要介護者には多職種が関わっていることが挙げられると思います。
 今回の講演は、訪問歯科に取り組まない、取り組めない「壁」は、何が原因なのかをご参加の先生方と一緒に考えてみたいと思います。当日は在宅への訪問歯科診療に限定し、基本的な「医療保険」「介護保険」の点数の算定、症例(カルテ記載)等をお話します。
 なお、当日は保団連発行「歯科保険診療の研究」2024年6月版(赤本)を使いますので、忘れないようにご持参ください。
 また、事前に57~92ページをよく熟読して、ご参加ください。

2024年改定を踏まえた
 今日からできる歯科『訪問』診療
~保険で良い歯科医療の拡大に向けて~
講師:森元主税氏(東京都・森元歯科医院院長)
    東京歯科保険医協会理事、全国保険医団体連合会副会長
日時:11月17日(日)午前10時~12時30分
場所:近江町交流プラザ 研修室1(金沢市青草町88近江町いちば館4階)
対象:石川県保険医協会会員の歯科医師及びスタッフ
定員;先着40名
  ※お申込された方には受講者向け事前アンケートをお送りします。
    ご回答にご協力ください。
参加費:無料(要申込)
申込方法 詳しくは森元先生講演チラシ
主催:石川県保険医協会
  〒920-0853 金沢市本町2-11-7  金沢フコク生命駅前ビル7階
  TEL 076-222-5373
  FAX 076-231-5156  
  Email  ishikawa-hok@doc-net.or.jp

修了証について
 本講演会は、「小児口腔機能管理料の注3に規定する口腔管理体制強化加算(口管強)」の施設基準に定められた「歯科疾患の重症化予防に資する継続管理(根面う蝕及び口腔機能の管理)に関する研修」及び、「口管強」、「在宅療養支援歯科診療所(歯援診)」の施設基準に定められた「高齢者の心身の特性に関する研修」に位置づけています。最後まで受講された方に修了証を発行いたします。なお、希望される方は以下の①、②を必ずお守りください。お守りいただけない場合は、いかなる理由があっても修了証は発行できませんので、ご承知おきください。
 ①修了証の発行対象は保険医協会会員ご本人に限ります。未入会の場合には、事前にご入会手続きをお願いいたします。
 ②遅刻および途中退出された場合は発行いたしかねます。

 

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