「歯の健康について」講話
2015年07月23日(木)
鶴ヶ丘小学校 平成27年度 第1回学校保健委員会
日時 平成27年7月23日(木)13:00~14:00
場所 鶴ヶ丘小学校 校長室
出席者 学校医、学校歯科医、学校耳鼻科医、学校薬剤師
PTA会長、PTA副会長
校長、教頭、教務主任、保健主事、養護助教諭
歯の健康について
A.虫歯予防について
1.ミュータンス菌の感染の窓
kojima-dental-office.net/20150510-1156
①生後19ヶ月~31ヶ月(約1歳半~3歳)
母親からの「子育て感染」・・・約70%の確率
2歳児の感染有無がむし歯保有率を左右する
②唾液中のミュータンス菌が10万個/ml以上の母親を持つ子供は、
千個/ml以下の母親に比較して9倍以上の感染の可能性がある
③対策
育児者の口腔内環境を整える
箸・スプーンの共用を避ける
ミュータンス菌Streptococcus mutansとは、グラム陽性で通性嫌気性の連鎖球菌の一種であり、う蝕の原因菌のひとつ。1924年にJ. K. Clarkeによって発見された。
ミュータンス菌は最初からヒトの口腔内に存在しているのではなく、口移しや食器の共有などによって、感染者の唾液が口に入ることによって感染する。
ミュータンス菌と砂糖
ミュータンス菌のみが、砂糖からノリのように粘着性の高い物質を作って歯に付着する。また酸を産生する。大量の砂糖がなければ病原性は示さない。
砂糖の量をどう考える
kojima-dental-office.net/news/2009/12/24/1854
古代から現代までの一人平均う蝕歯数の推移
www.fihs.org/volume11_2/articles2.pdf#search='%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%81%86%E8%9D%95+%E6%AD%B4%E5%8F%B2+%E5%8C%BB%E6%AD%AF%E8%96%AC%E5%87%BA%E7%89%88‘
日本の砂糖の歴史
www.sugar.or.jp/health_k/0701.shtml
754年 中国(当時の唐)の僧、鑑真が日本に渡る際、砂糖を持参したといわれる。
756年 正倉院に保存される大仏に献上した薬の目録に、「蔗糖」の記録が現れる。
15世紀半ばから、茶の湯の流行とともに和菓子が発達。
2.12歳児の齲蝕を減少させることが重要
乳歯齲蝕の放置が第1大臼歯裂溝へミュータンスレンサ球菌を定着させる
カイスの3つの輪(病原体、宿主、環境)でコントロールできる
kojima-dental-office.net/20150426-2829
カリエスリスクを知る(ミュータンス菌数、唾液量、糖分の採り方)
kojima-dental-office.net/20080819-245
膵臓は消化酵素を作る要
kojima-dental-office.net/20150510-1156
・2歳 糖質の消化酵素を大人の70%
・3歳 脂肪とタンパク質の消化酵素が大人並みに
・4歳 糖質の消化酵素が大人並みに
*膵臓は4歳頃完成し、インスリンを作れるようになる
幼児期からの砂糖、ジュース、甘いものは膵臓に負担をかける
歯が悪いと、炭水化物(糖質)が多くなり、タンパク質が不足する
3.ミュータンスレンサ球菌フリーの高校生が増加している
カリエスフリーの子供はミュータンスレンサ球菌フリー
縄文時代に乳歯齲蝕は存在しない(成人の根面齲蝕)
kojima-dental-office.net/20150426-2829
B.習慣性口呼吸について
1.診断基準(確立されていない)
就寝時に口が開いている
リラックス時に口が開いて白い歯が見える
富士山型のルーズな上唇 『ポカン口』
kojima-dental-office.net/20150510-1156
2.口呼吸≠習慣性口呼吸
・授乳している乳児は鼻呼吸だが、言葉を話すようになると口呼吸を覚える
口呼吸するのは人間だけ
口呼吸になると誤嚥の問題が生じる
・激しい運動をすれば補助的に口呼吸が始まる
・安静時でも口で呼吸している場合は習慣性口呼吸
3.前歯にむし歯や歯肉炎
乾燥により歯や歯肉を防護する唾液が不足する
噛む能力は生まれつき備わっているわけではなく、訓練によって身に付くものである。1.食事の時に飲み物を用意しない 2.食材のサイズを大きくする 3.素材を組み合わせる 4.姿勢を整える
kojima-dental-office.net/20090924-212#more-212
C.事故で歯が抜けたら
kojima-dental-office.net/20080818-906
1.脱落歯を乾燥させないように
2.歯の根をなるべく触らないように
3.脱落歯は牛乳(歯科保存液)の中へ入れて
4.なるべく早く歯科医院へ
・脱落歯は再植できる
・歯根のまわりの細胞が生きていれば成功する
・牛乳はPHが適し、浸透圧も適している。滅菌してある。
・牛乳がなければ、口の中(舌下)に入れて
症例
患者 9歳男性
初診 1987年3月9日
現病歴 学校の廊下で転倒し歯が折れたので、先生に引率されて来院する。
現症 全身状態及び顎顔面に異常はなかった。歯肉に裂傷があり、出血が多かった。
歯が唇測に傾斜し脱臼している。
診断 右上一番の歯牙脱臼及び歯肉の裂傷
参考に メスマウスMeth mouth(覚醒剤による口腔内)
ハイ状態の時には口の渇きに対応するため、糖分の多い飲み物を常に持ち歩き頻繁に口にする。そして、離脱症状として、時々目覚めて半覚醒状態で過食し、丁寧な歯磨きなどをしない。不衛生な口腔内環境が長期に続くと、確実に虫歯ができ、悪化し、広がる。歯痛があっても歯医者には行かず、代わりに覚せい剤を使用する。
薬物乱用防止教室
kojima-dental-office.net/20101109-512#more-512