小島歯科医院 名誉院長ブログ

虫歯予防の考え方

2008年08月19日(火)


H17.10.5.A 虫歯を削って詰める修理より、原因を見つけて生活改善を目指す予防を優先します。先ず、よく話を聞き、本人やご家族の気持ちを理解し、本当のニーズを確認します。また、科学的な異常(疾患)でありませんが、これからどうなるのだろうかと思う不安(病気)にも取り組みます。そして、原因と結果に対する正確な情報を伝え、患者さんのリスクに応じたできるだけ負担の少ない方法を提案し、治療の良い点、悪い点を事前に説明します。
虫歯のなりやすさに応じた提案
 唾液を調べると虫歯のなりやすさが分かるようになりました。少し工夫しますと、脱灰している(白くなっている)歯もきれいな歯(再石灰化)になります。検査結果に基づいて、医療者側から見た最高の押しつけではなく、患者さんの気持ちを大切にし、それぞれの患者さんに応じたできるだけ負担の少ない方法を提案し、治療や生活行動にどんな優先順位を付けるのかカウンセリングし、優先順位を選択してもらいます。
 味の無いガムを5分間噛んでもらい唾液量を調べます。3.5cc以下の場合は唾液量が少ないと判定します。糖分の多いも何か食べると、口の中が酸性に傾き、PH5.5以下になると脱灰が進み、むし歯が始まります。ステファンカーブで分かるように、唾液が少なかったり、唾液の緩衝能が悪いと、中性に戻るまでに時間がかかります。特に、寝てしまうと耳下腺唾液が少なくなるので、食べてから中性に戻るまでに2,3時間かかります。そのため、食べた後、長く起きていないといけなくなります。寝る前2,3時間は飲食は控えましょう。特に、液体で糖分の多いもの(アメ類、ジュース、アイスクリーム)。
唾液の緩衝能1 菌量

 酸を塗ってある黄色の試験紙上に唾液を置いて唾液の緩衝能(酸を中和する力)を調べています。5分間で青くなれば唾液の力は強いですが、周りに黄色が残っていると少し弱いです。ほとんど青くなりませんと、虫歯になるリスクが高くいろいろな注意が必要になります。
 ミュータンス菌とラクトバチルス菌を培養して菌量を測定します。多いほうが虫歯になりやすいです。
脱灰 白く脱灰したところも、患者さん自身の努力とフッ素やMIペーストの利用により再石灰化を目指しています。また、定期健診と専門的なクリーニングを継続します。
「カリエスリスクコントロール療法」とは、高い齲蝕リスクが疑われる患者について、食習慣や齲蝕経験をはじめ必要に応じて唾液量の検査、齲蝕原性菌量、唾液の緩衝能などをもとに、その患者の齲蝕罹患リスクを判定し、患者とともにリスクコントロールプログラムをつくって再石灰化処置を行い、-定期間をおいて再評価と再石灰化処置をする齲窩発症前の一連のリスクコントロール療法です。実質的に、齲窩ができる前の患者の発症前治療と定期管理を行う療法です。
ミュータンス菌の数が多い場合
1. アメ、清涼飲料など糖濃度の高い食品飲食を避け、水、お茶、牛乳に変えます
2. 哺乳ビンでジュース、イオン飲料、乳酸飲料を飲ませません
    (特に飲みながら眠らせません)
3. 母乳も基本的には1才すぎたら断乳し、甘いものをなるべく早くに教えません
4. 1歳から4歳まで、口から口への母子感染に注意する
5. 間食は1日1回にし、だらだらと食べません
6. 乳臼歯及び第一大臼歯萌出時は特に甘いものを避けます
7. 朝と就寝前にフッ化物を使用します
8. キシリトールガムを食後に味がなくなってからも5分間咬みます
9. 洗口剤(クロロヘキシジン)とフッ化第一スズを使用します
10. 食後のブラッシングやフロッシングを徹底します
11. むし歯の好発部位である歯の咬合面の裂溝や隣接面(歯と歯の間)のプラークコントロールが必要です
 ラクトバチラス菌の数が多い場合
1. カリエス処置を行います
2. 不適合修復物を除去し、精度がよく清掃しやすい形態の修復物に変える
3. 糖濃度の高い物を飲まない(少しずつ小分けにするよりも一度に飲む方がよい)
4. 甘いお菓子などどうしても食べたい時は食後のデザートの形で少量摂ります
5. 缶コーヒーよりも自分で砂糖を入れて飲むコーヒーに変えて砂糖の量を意識する6. 食後のブラッシング、フロッシングを徹底します
7. 哺乳ビンを用いません
唾液の緩衝能が低い場合
1. 夕食後には、絶対食べません
2. 三度の食事をしっかりとり、食べる食べないのリズムをつけます
3. 唾液の分泌を促進するために食事は飲み物を飲まないでよく噛んで食べます
4. 就寝前に必ずフッ化物を使用し、再石灰化を促進します
     (上顎前歯と下顎すべての歯の唇側頬側では、唾液の流れの悪いために虫歯になりやすいですが、フッ素の効果が高いです)
5. キシリトールガムを食後に味がなくなってからも5分間咬みます
6. 糖濃度の高い食品の飲食を避けます
唾液分泌量が少ない場合
1. 夕食後、特に就寝前2時間は飲食を絶対しない
            (唾液量が0.7ml/分を超えれば1時間)
2. 三度の食事をしっかりとり、食べる食べないのリズムをつけます
3. 唾液の分泌を促進するために食事は飲み物を飲まないでよくかんで食べます
4. 常用している薬剤が唾液の分泌を抑制していないか調べる
5. 就寝前に必ずフッ化物を使用し、再石灰化を促進します
     (上顎前歯と下顎すべての歯の唇側頬側では、唾液の流れの悪いためにフッ素の効果が高いです)
6. キシリトールガムを食後に味がなくなってからも5分間咬みます
7. 砂糖を多く含む飲食物の摂取を避ける
8. 食後のブラッシング、フロッシングを徹底します

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