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抗血栓療法患者とビスホスホネート系薬剤投与患者

2009年04月04日(土)


歯科に必要な一般医学の講演会
– 基礎知識と最前線-
<シリーズ第1回>
抗血栓療法患者ならびにビスホスホネート系薬剤投与患者に対する
抜歯等の観血的処置の留意点と医科歯科連携のポイントを考える
講師:宮田勝氏 石川県立中央病院歯科口腔外科診療部長
とき:2009年4月4日(土)18時~21時
ところ:金沢都ホテル7階飛翔の西
対象: 会員医療機関の医師、歯科医師、スタッフ(定員50人)
参加費: 無料(ただし非会員は、5万円) ※定員になり次第、締め切ります
主催:石川県保険医協会歯科部

「歯科に必要な一般医学の講演会」シリーズがはじまります!
歯科治療は単に口腔のみを治療するのではなく、患者さんの全身状態に留意して行なうべきものであることは異論のないところです。特に全身疾患を有する患者さんの歯科治療においては、細心の注意を払う必要がありますが、どこまで留意すれば必要条件を満たすのか確信が持てないケースに遭遇することも多くなってきたと感じます。
  そこで、近年、治療技術などにおいて著しい進歩を遂げている医科領域の最新知識を吸収し、臨床に生かすための企画を計画しました。全身疾患といっても非常に範囲が広いと思いますが、今回は歯科部会が厳選した分野に絞り、また、その分野では第一級の医師・歯科医師講師をお迎えして講演会をシリーズ開催する予定です。
  第1回目は石川県立中央病院・歯科口腔外科診療部長、宮田勝先生をお迎えし、近年問題になっている血液抗凝固剤と観血処置ならびにBP系薬剤服用患者への対応について、講演をお願いすることになりました。
~多数のご参加をお待ちしております~

<抄録>                                講師:宮田勝
血栓塞栓症の予防・治療に用いられる抗血栓薬に、経口抗凝固剤と抗血小板薬があり、それぞれの代表薬は、ワルファリンとアスピリンである。抗凝固療法下での抜歯は後出血が懸念されるため、薬剤の投与中止あるいは減量して施行することが多かった。しかし、抜歯時にワルファリンを中止すると0.9%に血栓・塞栓症が生じ、死亡の転帰をたどるとの報告があり、ワルファリン中断による血栓・塞栓症発症が問題になってきています。
一方、ビスホスホネートは、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症や多発性骨髄腫による骨病変、乳癌、前立腺癌などの溶骨性骨転移、骨粗鬆症に対して投与され、骨量減少の改善に有用性の高い薬剤である。しかし、最近、発生頻度は低いものの、抜歯等の外科的侵襲を契機に顎骨壊死が生じる症例の報告が多くなされるようになりました。注射薬のみならず、経口薬でも生じており、欧米の報告に比べ、本邦では経口薬の比率が高い傾向があります。
患者さんに安全・安心な治療を提供するためには、医科・歯科の共通認識の構築が是非必要であります。
そのうえで、医師と歯科医師間で綿密な情報交換をおこないながら、治療を進めることが重要であり、合併症の発現を避ける必要があります。
会場の皆様と、両薬剤の投与患者に対する抜歯等の観血的処置の留意点と医科歯科連携のポイントについて考えてみたいと思います。  

A.抗血栓療法患者について
1.抗血栓療法を受けている患者さんに骨削を伴わない普通抜歯する場合は、血栓症のリスクを考えて原則的に休薬しない。
エピネフリンには、血小板凝集作用があるので、抜歯の際のエピネフリン添加のキシロカインの注射により、抗血小板薬(アスピリン)の作用は局所において減弱されるので、後出血がなく、抜歯が可能である。抗血小板薬は抗凝固療法(ワーファリン)より出血のリスクが少ない。
休薬3日後に血塞栓ができることが多い。
2.医科歯科連携
血圧が上昇して出血することが多いので、不安を与えないような医科歯科の共通認識(身体のことを考えて薬止めないで抜歯するいい先生だね)が必要である。
3.情報提供
   歯科からの情報
     骨削を伴わない低侵襲の普通抜歯
    1/8万エピネフリン添加キシロカインの局所麻酔
   医科からの情報          
           72時間以内のPT-INRデータ(2.5以下) 正常値0.8~1.2
           原疾患名と病状(安定しているか)
    投与薬剤
    高血圧、糖尿のコントロール状態
    血栓症の既往 
4.心内膜炎の予防として抗菌剤を1回投与しても、PT-INRは変わらない
   3~4日抗菌剤を飲むとPT-INRが大きくなり、出血しやすくなる
5.抗凝固療法と抗血小板療法
  抗凝固療法
      静脈血栓(赤色血栓)  心原性脳塞栓症、肺血栓塞栓症
    経口 ワーファリン  非経口 ヘパリン
  抗血小板療法
        動脈血栓(白色血栓)  心筋梗塞、狭心症
    アスピリン、パナルジン
6.抗血栓療法患者の抜歯
 血圧測定→浸潤麻酔→5分後血圧測定→抜歯→縫合、圧迫止血→20分後止血確認(安心感)→1週間後抜糸
参考として
抗凝固剤投与中の患者さんの抜歯
kojima-dental-office.net/20090409-838

B.ビスホスホネート系薬剤投与患者について
1.ビスホスホネート系薬剤投与と顎骨壊死の関連性について周知する
  BP系薬剤投与患者に発生頻度は低いが、顎骨壊死が生じる可能性がある
    発症すると難治性である
  蓄積性があり、3年以上投与でリスクは高まる
  
2.ビスホスホネート(BP)系薬剤投与予定患者に対する歯科対診の必要性
  抜歯などの歯科的外科処置に対する可能性の精査(出来るものは済ませておく)
    口腔衛生を保ち顎骨壊死のリスクを下げる
  3ヶ月に1度口腔内の定期健診でチェックする

3.BP系薬剤服用患者に対する歯科対診の必要性
    口腔衛生状態の確認
  顎骨の露出や口腔内の感染症状の確認
  今後の口腔内に対する外科処置の可能性

4.BP投与患者に抜歯などが必要な場合
  BP投与3年以上または3年未満でもコルチコステロイドを併用している場合は、抜歯前少なくとも3ヶ月以上そして処置部位の骨が治癒傾向を認めるまで、BP投与中止可能かどうか主治医と相談する。
  経口BP製剤投与期間が3年未満で危険因子がない場合は、顎骨の露出などのリスクは少ないことと、洗口液による洗浄と定期健診を説明して抜歯する。

5.顎骨壊死の危険因子
     コルチコステロイド療法、糖尿病、化学療法薬
  飲酒、喫煙
  口腔衛生の不良

6.BP系薬剤を投与されている患者に歯科医から主治医へ情報提供し、共通認識を深める
歯科からの情報提供
 顎骨の露出状態、口腔内の感染症状
 口腔衛生状態
 今後抜歯を含めた外科的侵襲の可能性について

医科からの情報提供
 主疾患の病名と病状
 BP製剤の投与開始時期と投薬期間
 ステロイド薬の併用状態
 糖尿病の既往について

参考として
抜歯後に骨が露出(ビスホスホネート)
kojima-dental-office.net/20090407-841

シリーズ「歯科に必要な一般医学の講演会」
<開催予定>
◇免疫・アレルギー
講師:東みゆき氏(東京医科歯科大学大学院教授)
とき:4月26日(日)9時半から12時半
◇心臓血管(脳血管、抗血小板薬に関する話も含む)
講師:名村正伸氏(金沢循環器病院院長)
とき:6月20日(土)18時から
◇血液免疫凝固(白血病や貧血、免疫について)
講師:小谷岳春氏(NTT西日本病院内科医長)
とき:未定
◇感染症(院内感染や予防、インフルエンザ感染症など)
講師:松島実氏(城北病院内科医長)
とき:未定
◇最新の癌の治療法と歯科医が留意すべき点
講師:斉藤典才・保険医協会理事(城北病院外科部長)
とき:未定
◇精神科疾患領域
講師:奥田宏氏(ひろメンタルクリニック院長)
とき:未定
※順不同
◆このほか、以下のテーマも検討中です。

<参加申込書>
■保険医協会の会員の有無
( ) 保険医協会の会員医療機関である
( ) 保険医協会の会員医療機関ではない
( ) この機会に、保険医協会に入会する
■医療機関名(            )
■参加者名(          )( 歯科医師・医師・スタッフ)
     (          )(歯科医師・医師・スタッフ)
■電話番号(          )

石川県保険医協会
金沢市尾張町2-8-23太陽生命金沢ビル8階
TEL 076-222-5373
FAX 076-231-5156
Email iskw_ono@doc-net.or.jp

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