小島歯科医院 名誉院長ブログ

抜歯後に骨が露出

2009年04月07日(火)


 歯を抜いた後、傷が治らなかったり骨が露出する報告が増えています。骨粗鬆症などの治療薬を飲んでいることが原因と考えられます。また、歯ブラシの傷から起きることも報告されています。
 注意が必要。骨粗鬆症の薬と口の中とは関係ないとの自己判断は禁物。歯科医院に通院する場合は必ず飲んでいる薬を報告し、主治医に相談してください。

ビスホスホネート系薬剤について
A.ビスホスホネート系薬剤の適応症
 1.骨粗鬆症
  骨吸収抑制作用により骨量が増加し骨折率が低下します。
 2.乳癌などの骨転移
  骨痛と骨合併症を抑制します。
B.ビスホスホネート系薬剤は骨のハイドロキシアパタイトに親和性があり、
   血中に移行した殆どが骨に移行します。
C.国内で販売されているビスホスホネート系薬剤 - 製品名(製造販売)
  1.注射用製剤  
   アレディア(ノバルティスファーマ)
   オンクラスト(万有製薬)
   テイロック(帝人ファーマ)
      ビスフォナール(アステラス製薬)
   ゾメタ(ノバルティスファーマ)
  2.経口製剤
      ダイドロネル(大日本住友製薬)
      フォサマック(万有製薬)
   ボナロン(帝人ファーマ)
   アクトネル(味の素、販売はエーザイ)
      ベネット(武田薬品工業、提携ワイス)

顎骨壊死の発生頻度
 1.注射用製剤
   欧州骨粗鬆症ワーキンググループにおける報告頻度は「10万人年あたり95件」となります。10万人年とは総服用量を示し、5万人が2年間服用も2万人が5年間服用もこの表現になります。
 2.経口製剤
   米国口腔外科学会における報告頻度は「10万人年あたり0.7件」と算定しました。
 3.歯槽骨露出部は抜歯後、または口腔粘膜に対する外傷後に発現する頻度が最も高いです。また、注射用製剤投与患者に歯科外科処置を施行した場合、しない患者に比べ発現率は7倍以上になると米国口腔外科学会は報告しています。 

 ビスホスホネート系薬剤投与患者について
講師:宮田勝氏 石川県立中央病院歯科口腔外科診療部長
2009年04月04日
kojima-dental-office.net/20090404-2392

 顎骨壊死の今~BRONJからARONJに~ 2017年6月18日(日)
kojima-dental-office.net/20170618-3730
  講師 木藤 知佳志 氏(あすわクリニック院長・内科)
  講師 中西 剛明 氏(菜の花薬局・薬剤師)

 病院歯科口腔外科における顎骨壊死への対応と開業医へのアドバイス(動画)
講師  高塚 茂行 先生(公立松任石川中央病院 歯科口腔外科部長)
日時  2025年6月21日【土】18時30分~20時30分
ishikawahokeni.jp/osteonecrosis_of_the_jaw/

 

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