内分泌クリーゼ
2013年02月27日(水)
2月27日(水)午後7時30分からホテル金沢にて「第27回よろず勉強会 こんな重症患者が歩いてくる その④」が開催された。今回の講師は、金沢医療センター(内分泌・代謝)の栗田征一郎先生。内分泌クリーゼについて症例を通して解説された。循環器疾患など地雷疾患の他にも一刻を争う疾患もあることを頭の片隅に思い浮かべて、非特異的症状や所見から疑い、ポイントを整理し、的確な検査を選択し、早期に診断へと導いていく思考回路を学んだ。
参考として
ある救急医グループによる地雷疾患番付表
kojima-dental-office.net/20120517-2170#more-2170
メモ
内分泌クリーゼ
内分泌疾患の病態に何らかの誘因が加わり、急激に生命の危機に陥った状態をさす
【ポイント】
早急に診断ができるか?
少なくとも、危険と感じ専門病院へ送る
(とにかく、非特異的症状や所見から疑わないと診断がつかない)
1.甲状腺疾患
・触診が大切(腫大や腫瘤)
・一般外来には、75人に1人は絶対見逃してはいけない甲状腺疾患
①甲状腺クリーゼ
・甲状腺ホルモンが多いと、頻脈(200/分の時も)、精神症状や下痢なども
未治療や放置例に多い
首の腫れに気付くことがポイント
診断が遅れると致死率が高い
・定義
・診断基準
・甲状腺中毒症
・甲状腺カラードップラー検査 バセドウ病と破壊性甲状腺炎との鑑別
②粘液水腫性昏睡
・甲状腺ホルモンが足りないと
・粘液水腫性昏睡 診断基準
2.糖尿病
①糖尿病ケトアシドーシス
・急性腹症(激しい腹痛・腹部板状硬)の鑑別に
糖尿病ケトアシドーシスも入れる必要がある
・所見 呼気のアセトン臭、深呼吸様呼吸(kussmaulの大呼吸)
・糖尿病ケトアシドーシスが解除すれば、すみやかに消失する
・原因 Ⅰ型糖尿病新規発症時または糖尿病治療中の血糖コントロール不良
②低血糖発作・昏睡
・糖尿病治療中の病歴を取れるか
・ブドウ糖投与が禁忌になることはない
・低血糖回復後の生活指導が大切
・ブドウ糖投与で、完全に回復しない場合は重篤な合併症がある
・高めの血糖コントロールの誤解を与えない
・警告症状なしにいきなり中枢神経系の機能不全に陥る
発作後3ヶ月間は低血糖の反応低下
3.副腎クリーゼ
・病歴聴取(ステロイド長期投与、下垂体の手術歴など)
・全身倦怠感、無気力、食欲低下、悪化すればショック状態
・うつなどと間違えられて入院することもある
・甲状腺ホルモンは副腎皮質ホルモン投与後に投与
こんな重症患者が歩いてくる その④
講師 金沢医療センター 内分泌・代謝 栗田征一郎先生
第27回 よろず勉強会 シリーズ見逃してはいけない!
とき 2013年2月27日(水)午後7時30分~午後9時
ところ ホテル金沢4階「風月の間」(金沢駅東口)
※今回の会場は「近江町いちば館」ではありませんので、ご注意ください。
対象 保険医協会会員(参加は無料です) チラシこんな重症患者が歩いてくる その④
申込み 2月20日までに下記にご記入いただき、FAXでお申し込みください。
(講師の先生への質問がある場合は、2月15日まで)
主催 石川県保険医協会
FAX用・参加申込書
医療機関名ご氏名
講師の先生に聞きたいこと(2月15日まで)
連絡先;石川県保険医協会
電話;076(222)5373 / FAX;076(231)5156
よろず勉強会「見逃してはいけない!」シリーズ第4弾です
今回の講師は、金沢医療センター(内分泌・代謝)の栗田征一郎先生です
テーマを特定をせずに、謎解き方式で日常診療の要点に迫る“見逃してはいけない!”シリーズの第4回目です。診療所には、実にいろいろな患者さんが訪れます。症状もいろいろ、訴えもいろいろの中で、わたしたちは治療に当たらなければなりません。時には専門外であることから、大切なことを見逃してしまうことも・・・。そんなときに、他科や専門外の知識があれば、患者さんの訴えをより深く聞き取れ、治療に活かすことができます。
この“見逃してはいけない!”シリーズでは、外来患者さんの主訴や何気ない会話の中から、決して見逃してはいけないことを学び合いたいと思います。今回の会場は「ホテル金沢」です。開始時間もいつもより15分遅いので、お間違えなく。ぜひ、たくさんの会員の先生方にご参加いただければ幸いです。
(学術・保険部)
第27回よろず勉強会報告記事
石川県保険医協会学術保険部主催の「第27回なんでも学術・よろず勉強会」が2月27日にホテル金沢で開催されました。この勉強会では「見逃してはいけない、こんな重症患者が歩いてくる」をテーマにシリーズ化しています。
今回は金沢医療センター内分泌代謝内科にご勤務の栗田征一郎先生に講師をお願いいたしました。ご講演内容は「内分泌救急」に関するものでしたが、豊富な臨床経験のなかから選りすぐられた症例をもとに甲状腺クリーゼ、糖尿病ケトアシドーシス、副腎クリーゼ等に関してとてもわかりやすくお話していただきました。
甲状腺クリーゼの症例は黄疸と下肢の浮腫を主訴に来院された患者さんで当初消化器疾患を疑われましたが、頻脈と前頚部の腫脹に気づかれたことが端緒となり診断に至ったものでした。治療開始直後に急激に心肺停止になったというお話が出たときにはフロアからはどよめきも起きていました。甲状腺疾患の正しい診断を得るにはまず「疑ってみること」が重要であると強調されていました。
糖尿病ケトアシドーシスでは腹痛を認める頻度が高く急性腹症の鑑別診断にあげておく必要があり、また逆に経過不良の糖尿病患者さんが腹痛を訴えたときにはケトアシドーシスを考えることはもちろんであるが急性膵炎や消化管穿孔などの疾患を見逃してはならないと教えていただきました。
副腎クリーゼの症例は汎下垂体機能低下に伴うものでしたがこれも「疑って」みなければ診断は難しいものです。また治療に際しては生命に直接かかわる副腎皮質ホルモンの補充が最優先でその次に甲状腺の治療を考えるべきとのことでした。
いずれも診断が難しく、また治療が遅れると取り返しのつかない結果を招く恐れのある疾患でもあり、講演後もフロアからは多くの質問がありました。
今後もこのシリーズを継続していく予定です。日常診療に直結し、すぐに役立つ内容となっていますのでお一人でも多くの会員の先生方に出席していただきたいと考えています。
- カテゴリー: 歯科に必要な一般医学