小島歯科医院 名誉院長ブログ

周術期口腔ケアの有効性を検証する

2012年11月04日(日)


―医科歯科連携を進めるために―
と  き  11月4日(日) 午前10時~12時30分
ところ  ホテル金沢 4階 エメラルド
講  師  大田 洋二郎 氏   静岡県立静岡がんセンター 歯科口腔外科部長
対 象:医師、歯科医師、その他の医療関係者
    ※ 保険医協会の会員以外の方もご参加いただけます
    (定員100人。定員になり次第締め切ります)
参加費  無 料 (申込 必要)大田講演会 申込書
主催  石川県保険医協会

メモ
 医師、歯科医師、歯科衛生士と、金沢大学付属病院、金沢医科大学、金沢医療センター、県立中央病院などからの多数の看護師さんと合わせて70名以上の参加があり大盛況だった。
 今年1月29日に開催された大田先生の講演会に追加されたもの
kojima-dental-office.net/20120129-2262

1.病院内の口腔ケア体制の構築
  ①病院内のシステムとしてがん治療に口腔ケアを導入する
    ターゲットを絞る
     ・強い化学療法(好中球1000以下)
     ・頭頸部放射線(化学放射線療法)
     ・頭頸がん・食道がん手術
ターゲットを絞る

  ②口腔有害事象・トラブルが起きたら、その日必ず診察
     ・看護師より直接依頼OK(これは他の病院では困難)
  ③口腔ケアリンクナース制度と多職種がん専門レジデント制度(歯科衛生士)
  ④多職種カンファレンス

看護師より直接依頼OK 多職種カンファレンス

2.口腔ケアの効果
  ①スピロヘータ、運動性菌、紡錘菌が居なくなる
   ②口腔ケアが効果ある疾患
   ・頭頸部がん(進行がん再建)清潔・不潔域の混在
   ・胸部 食道がん
     3領域郭清、開胸、開腹手術を行う患者
   ・人工呼吸器管理患者
  (・口腔不衛生の高齢者消化器系手術)

スピロヘータ、運動性菌、紡錘菌が居なくなる 口腔ケアが効果のある疾患

3.口腔粘膜炎
  ①起こしやすい抗がん剤
    5-FU、TS-1
口腔粘膜炎を起こしやすい抗がん剤 口腔粘膜炎の疼痛

  ②疼痛コントロール
   ・口腔粘膜炎の疼痛は侵害受容性疼痛であるから、
    ステロイド軟膏塗布は効果なく、NSAIDs鎮痛剤を使う
    但し、分子標的薬の時の患部にはステロイド軟膏を塗布する。
      病態も異なりアフタ様を呈する。
分子標的薬による口腔粘膜炎 口腔粘膜炎

   ・グレード3は入院させる
   ・シスプラチンとNSAIDsを併用すると、
    腎機能がダブルで悪くなり口腔粘膜炎が強く現れる
  ③がん治療と食事のアプリがある

がん治療と食事

4.BP製剤投与時の口腔管理
  ①口腔内診査、清掃、感染巣除去
  ②顎骨壊死ではなく、骨髄炎で見つける(ステージ0)
    ・粘膜腫脹・発赤
    ・排膿・瘻孔形成
    ・疼痛
  ③発見しても慌てない
    抗菌薬の長期投与(1年くらい)
  ④抗ランクル抗体でも起きる

5.次期がん対策推進基本計画
  ・歯科医師などとの連携
  ・口腔ケアなどのがん医療に専門的に関わる歯科医師
  ・口腔ケアのガイドラインの策定へ向けたプロジェクト研究
  ・県、市町村に下りてくる

次期がん対策推進基本計画

<案内文>   医師、歯科医師、コ・メディカルのみなさんへ
 手術、放射線や抗がん剤治療時に於ける、エビデンスを持った口腔ケアの重要性をお話しして頂きます。患者さんの苦痛を和らげ、ひいては入院期間の短縮にもなります。
 今年7月にBS-TBSで放送されました「ヒポクラテスの誓い」
www.mouth-body.com/hippocraticoath/archive/006/index.html
をご覧になった先生もおられると思いますが、今回ご講演いただく静岡がんセンター歯科口腔外科部長の大田洋二郎先生は、長年にわたり、がん治療の口腔ケアに戦略的に取り組んでこられ、この分野のパイオニア的存在です。がん緩和病棟でも口腔ケアを精力的に推進されており、患者の権利・尊厳を守るべく、最期まで自然な形で食事ができることを目標に掲げて取り組まれており、今回は医科・歯科連携に意義深い講演となると思います。
 ぜひ、医科の先生方に、ご参加いただきたくご案内いたします。
 言うまでもなく、歯科医師や歯科衛生士の皆様にとっても、具体的な口腔ケアの実践は避けて通ることのできないきわめて重要な手技です。全ての歯科医療従事者にもお聞きいただきたい内容となります。また、大田先生は「口腔ケアリンクナース制度」を立ち上げ、実際の口腔トラブルの最前線に立つ看護師に口腔ケアの普及を推進されておられ、看護師の皆様にとっても明日から現場で役立つ内容になるかと思います。
         ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
 今年の歯科診療報酬改正では周術期の口腔機能管理が新設されましたが、普及・維持には医科・歯科の連携が欠かせません。先生は既に口腔ケアを通じて院内の医科の先生に絶大なる信頼を得ており、この連携に関する有意義なご提案をいただけるものと思います。先生は、「患者さんが口から食事をとり、それが病気を乗り越える源になる」とおっしゃっておられます。長年のご経験に基づく、エビデンスを持った口腔ケアの重要性をお話しいただけるまたとない機会です。会員をはじめとする多くの医療従事者の皆様のご参加を期待します。

※医療機関名(団体名)、電話番号、参加者名と職種をご記入のうえ、電話、FAX、メールのいずれかの方法でお申し込みください。
石川県保険医協会
 金沢市尾張町2-8-23 太陽生命金沢ビル8階
 TEL 076-222-5373 FAX 076-231-5156
 Email ishikawa-hok@doc-net.or.jp

 今回の歯科診療報酬改定に伴い新設された周術期口腔機能管理関連の点数算定に必要な情報提供文書を保団連歯科社保部会等での検討を通じ、作成されましたのでお知らせします。
※周術期口腔機能管理計画書
hodanren.doc-net.or.jp/books/12kaitei/sika-koukuu-keikaku.pdf
※周術期口腔機能管理報告書
hodanren.doc-net.or.jp/books/12kaitei/sika-koukuu-houkoku.pdf
 また、上記の2点とは別に、紹介・引受医療機関の間での情報交換に利用する情報提供文書も作成途中ですので、完成しましたら、保団連ホームページ右下の「出版物のご案内」の「その他の出版物」に掲載される予定です。
hodanren.doc-net.or.jp/nyuukai/syuppann.html

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