口の健全な育成について
2007年05月22日(火)
生後7~8ヶ月、おすわりができる頃になりますと、舌の上下運動で上顎と舌でつぶして「もぐもぐ」食べるようになります。そして、9~11ヶ月、歯固め遊びをし始める頃になりますと、舌の左右運動ができるようになり、上下の歯ぐきで「かみかみ」つぶして食べるようになります。
しかし、離乳中期(舌食べ)に、顎が左右対称にもぐもぐと動く様子を「噛んでいる」と勘違いして、舌で潰せない硬すぎる食物を与えますと、比較的食欲のある子は「丸飲み」に、ない子は「飲み込まぬ」になりやすいようです。そして、年長児(3歳以降)になっても、「あまり噛まない」「食べ物を流し込む」などを訴えたり、6歳頃の永久歯に生え替わる頃に、歯並びに問題が生じたりします。 続きを読む
2024年06月24日(月)
基本的な食べる働きは、生後11か月から1歳半頃に育つ。応用編は6歳頃までかかる。遅れても必ず食べる働きは習得できる。
但し、前提条件がある。情報が入りやすい体と心が形成されていること。そのためには、アイコンタクト(スキンシップと話しかけ)が必須である。子どもと見つめ合い、優しく全身を触ることが必要。ところが、母親がスマホを見ながら目を合わさず母乳やミルクを飲ませていると、過敏で情報が入りにくい子どもになりやすく、以下の2つが次のステップへ移行せず、食べる働きが育ちにくい。最近、原始感覚が優位な子や随意運動が獲得できない子が増えている。 続きを読む
2018年11月08日(木)
触覚には、二つの神経伝達ルートがあります。一つは、生体の防御や危険回避を行う原始感覚系の神経回路であり、もう一つは、対象物の大きさや性状や形などの識別を行う識別感覚系の神経回路です。
生まれてしばらくは、原始感覚系の神経回路が優位にあるために、子どもは不意に顔や身体を触られることを嫌がります。次第に識別感覚系を獲得していきます。その時に大切なのが、アイコンタクトです。子供と見つめ合い、優しく全身を触れることで、情報が入りやすい体と心が形成されていきます。ところが、目を合わさない母親の行動は、過敏で情報が入りにくい子供になりやすくなります。母子の信頼形成に時間がかかる子は、不安も大きく環境適応が遅くなります。特に敏感なお子さんは、大きくなっても後ろから不意に触られるとビクッとします。 続きを読む
2023年02月25日(土)
当院では幼児から小学生の食べる機能を支援している。食事の姿勢や食べ方、食形態、口唇閉鎖等々である。その中で、反対咬合ではムーシールド、歯の萌出スペース不足ではT4Kも一つの選択肢として考えている。一番の変化は舌の可動範囲増ではないかと思う。舌が口腔底によどんでいるような反対咬合の幼児に、ムーシールドを2,3ヶ月夜間に装着していると、舌尖が口蓋乳頭部にしっかり当てることができるようになり、舌打ちがうまくできるようになり、前歯部の被蓋が改善してくるようである。飲み物がなくても奥歯でしっかり噛んで食事ができるようになり、唾液の分泌量も増えていく。食事時間も短くなり、発音が明瞭になったり、口呼吸から鼻呼吸の変化もある。
4前歯が生えそろう、8歳前後からムーシールドからプレオルソタイプⅢに変更し、16歳頃まで日中1時間のかみ合わせる練習により咬合を安定化させる。 続きを読む
2008年09月02日(火)
2022年12月06日(火)
最近、味覚に過敏な子どもが増えているように思える。歯ブラシ指導に使う赤染液を「イチゴ味ではなくフドウ味にしてほしい」と要望する。歯をクリーニングする時の歯磨き剤も「イチゴ味が嫌い、ぶどう味がいい、青リンゴ味がいい」とか様々な味に敏感。実際の食べ物でも、イチゴを食べない子どもは味が苦手と言う。
味覚過敏の原因は、発達障害、とくに自閉特性がある方に多く見られる症状。けれど、「味覚過敏=発達障害」とは限らない。味覚過敏と好き嫌い、味覚障害とは違う。 続きを読む
2007年05月22日(火)
食具を使わせたらよいかの1つの目安は、物の硬さに応じて握り、握りつぶさなくなった時期でしょう。手づかみで食べることによって、1歳半頃になりますと、上肢、手指と口の動きの協調運動ができるようになり、スプーンなどの食具を用いて食べられるようになります。スプーンの口に入る位置ははじめ口角ですが、上手になってくると口の正面からになります。 続きを読む
2023年09月26日(火)
すれ違い咬合とは、上顎6番が頬側に、下顎6番が舌側に著しく傾斜して、垂直的な咬合位が失われている状態。
交叉咬合とは、歯が歯並びの途中で交叉してしまっている噛み合わせ。一般的には、左右どちらか片側の上顎奥歯が下顎奥歯の内側にある状態。添い乳や頬杖をつくなどで歯列の同じ側に圧力が加わることが原因と考えられる。
両方とも、臨床的問題点は、咬合の不安定、咬合高径・咬合平面の乱れによって、咀嚼障害(咀嚼能率の低下、咬合力の低下)、嚥下、発音がしにくい、顎関節症の原因になりやすい(下あごの運動障害、痛み、音)、全身への影響(胃腸障害、肩こりなど)などが挙げられる。したがって良好な予後の獲得が難しい症例となることが多い。
今回、食姿勢や食べ方による口腔機能の改善が、咬合を安定させた症例を経験した。上顎の成長を促すような処置は10歳前後までに行うことが望ましい。今後も定期健診を続け、見守っていきたい。 続きを読む
2018年04月10日(火)
スコア法のサンプルシートと、グルコース濃度との比較
「食べる」「話す」働きが十分に発達していない子どもたちが増えている。生えるスペースが不足していて歯がデコボコになっていたり、口呼吸で上唇が山形になっていたり、舌打ちがうまく出来ず食べる時に「クチャクチャ」音がしている。
できるだけ早い時期(3歳から10歳頃まで)に食べる働きのチェックをお勧めする。問題があれば、食姿勢や食べ方の改善で回復可能と考えている。
食べる働きの検査は、咀嚼能率スコア法または咀嚼能力検査により評価する。 視覚的に分かりやすいのは咀嚼能率スコア法であり、明確な数字比較ができるのは咀嚼能力検査である。 続きを読む
2011年12月10日(土)
矯正を内に秘めた中高年が増えているが、そのほとんどの方は、煩わしさからあきらめている。ゆっくりでもいいから、目立たなく苦痛の少ないことを望んでいる。
上顎2番の舌側転位の患者さんに対して、以前はリンガルアーチに補助断線を付けて治療していたが、食事など日常生活にかなり苦労があった。今回、床型エキスパンションを夜間に使用し、日中に1時間ほど筋機能訓練用のT4Aを入れて口唇閉鎖と鼻呼吸、舌運動の練習した。違和感なく治療を続けることができ、実施後3か月ほどでかなり改善した。側方拡大することにより口の中が広くなり、T4Aの効果も相まって前歯も前方へ拡大してきた。その後、床型エキスパンションを中止し、夜間もT4Aへ切り替えた。上下臼歯部の咬合も安定してきた。 続きを読む