口腔機能育成が上下6番のすれ違い咬合や交叉咬合を改善
2023年09月26日(火)
すれ違い咬合とは、上顎6番が頬側に、下顎6番が舌側に著しく傾斜して、垂直的な咬合位が失われている状態。
交叉咬合とは、歯が歯並びの途中で交叉してしまっている噛み合わせ。一般的には、左右どちらか片側の上顎奥歯が下顎奥歯の内側にある状態。添い乳や頬杖をつくなどで歯列の同じ側に圧力が加わることが原因と考えられる。
両方とも、臨床的問題点は、咬合の不安定、咬合高径・咬合平面の乱れによって、咀嚼障害(咀嚼能率の低下、咬合力の低下)、嚥下、発音がしにくい、顎関節症の原因になりやすい(下あごの運動障害、痛み、音)、全身への影響(胃腸障害、肩こりなど)などが挙げられる。したがって良好な予後の獲得が難しい症例となることが多い。
今回、食姿勢や食べ方による口腔機能の改善が、咬合を安定させた症例を経験した。上顎の成長を促すような処置は10歳前後までに行うことが望ましい。今後も定期健診を続け、見守っていきたい。
参考に
しっかり噛む工夫
kojima-dental-office.net/20090924-212
上顎と下顎の成長スピードの違い
上顎の成長を促すような処置は10歳前後までに行うことが望ましい
kojima-dental-office.net/19850608-5481#more-5481
添い乳の弊害について
kojima-dental-office.net/20131009-208
T4Kによる上顎アーチの改善
kojima-dental-office.net/20220811-3588#more-3588
症例 1
患者 9歳4ヶ月
初診 2022年7月6日
主訴 歯並び相談
現症 上顎6番が頬側へ傾斜し、下顎6番としっかり咬合していない
特に、左側はすれ違い咬合
上下3~3番が叢生、及び同部位の歯間乳頭部歯肉が発赤、腫脹
食事中にクチャクチャ音がする
舌打ちの音がクリアではない
治療計画 プラークコントロールの定着
食姿勢や食べ方の改善
T4K装着及び舌の機能訓練
経過
7/6 カウンセリング
7/8 歯周基本検査、染め出しによるブラッシング指導
プラークチャート 73%
7/9 口腔内の現状と口腔機能、食姿勢や食べ方との関係をお話しする
9/10 口腔内診査、口腔機能検査
T4Kによる治療開始
2023年
1/21 左右上下の6番が咬合するようになる
左右上下の4,5番は萌出中
食姿勢や食べ方と口腔機能は改善する
4/22 下顎きれいなアーチになる
7/22 左右上下の4~6番がしっかり咬合する
T4ALARGEに変更する
症例 2
患者 7歳11ヶ月
初診 2023年3月8日
主訴 歯並び相談
現症 ・上顎前歯が叢生
特に右上Cが右下Cより口蓋にあり交叉咬合になっている
右上2番が口蓋側にあり、1番と重なり合う
・前歯のかみ合わせが浅い、正中離開
・臼歯部は左側は正常咬合だが、右側は交叉咬合
上顎歯列弓が下顎に比べて小さい
・舌先が細く、先端から1.5cmの所から上に反り返る
・舌打ちの音がクリアではない
・上口唇が山形で口呼吸
・シャシュショの発音が気になる
・イカリングが食べられない、パンの耳を食べない
治療計画 プラークコントロールの定着
食姿勢や食べ方の改善
T4K装着及び舌の機能訓練
経過
3/22 口腔内診査、カウンセリング
口腔内の現状と口腔機能、食姿勢や食べ方との関係をお話しする
歯周基本検査、染め出しによるブラッシング指導
プラークチャート 70%
4/12 口腔機能検査
T4Kによる治療開始
5/31 上顎両側1番が接触
両側臼歯部が起き歯列拡大傾向にて前歯部が開咬になってくる
プラークチャート 91%
7/20 右上1と2番の重なりが少しよくなる
イカリングが食べられるようになる
プラークチャート 57%
9/26 右側臼歯部の交叉咬合が改善傾向
右上Cが唇側へ移動し、下顎のCとの関係よくなる
風前ガムが膨らむようになる
プラークチャート 15%
大きな食材を前歯で食いちぎる食事指導
指しゃぶりによる開咬
kojima-dental-office.net/20170209-3614#more-3614
- カテゴリー: T4K