予防接種のための免疫学②
2017年07月11日(火)
免疫グロブリンと多様性
・Toll-Like Receptors
*抗体の多様性と可塑性の仕組み
・赤ちゃんが生き残る仕組み
講 師 谷内江昭宏氏(金沢大学医薬保健研究域医学系 小児科学教授)
と き 2017年7月11日(火)午後7時半~午後9時
ところ 石川県保険医協会・会議室
対 象 会員医師、会員歯科医師(定員20人、参加費無料)
ワクチン接種によって感染機会が少なくなってきたので、社会全体として免疫力が弱くなっている。例えば、水痘にかかる人が少なくなり、帯状疱疹になりやすくなる。母親の免疫記憶を受け継ぐ赤ちゃんにも影響が出始めている。また、その病気自体が少なくなるとルーティーンとして検査しなくなる。ツベルクリン反応を調べなくなり、結核を見落としたり、診断も遅れる。一方向からだけではなく、様々な観点からワクチンについて考える必要がある。
メモ
前回のおさらい
①自然免疫と獲得免疫
参考に
予防接種のための免疫学①
免疫学総論ー基礎の基礎
kojima-dental-office.net/20170425-3711
②病原体によって働く免疫システムがちがう
重症化する時は、その免疫部分に問題があることも(免疫異常症)
免疫システムには得意不得意がある
1.Toll-Like Receptors
自然免疫を作動させる働きがある
①共通構造を認識 = おおざっぱ
抗原抗体反応(決まったペプチドを認識)のようなガチガチではない
②インフラマソームによる炎症制御機構
2つの回路からの刺激がないと炎症が起きないようになっている
センサー1からの刺激で前駆物質まで
センサー2からの刺激で炎症が起きる
暴走を防ぐ
2.抗体の多様性形成
獲得免疫
免疫グロブリン
・構造 重鎖(長い)と軽鎖(短い)
可変部(抗原結合部位)と定常部(抗体機能決定部位)
・機能 病原体が小さければ中和、大きければオプソニン化して貪食
・役割分担 初期感染 IgM
消化器・気道 IGA
全身(血液) IgG
①遺伝子
・遺伝子と蛋白が1対1では抗体産生を賄いきれない
・B細胞だけが遺伝子の4つの領域からそれぞれ1つを選択し、
遺伝子として再編成できる。それによって多様な抗体を産生
②重鎖・軽鎖の組み合わせ
潜在能力を持っている
③接合部の多様性
④抗原特異性の微調整
遺伝子ができあがっても変位を起こしやすくできている
3.赤ちゃんが生き残る仕組み
①免疫の記憶と発達
・母からもらう免疫の記憶
母親がはしかなどに感染していない事により少なくなっている
・自分で創る免疫の記憶(免疫発達)
②未熟
・基本スペックのみ
・使いこなしたパソコンよりも、新のパソコン
最初はもたもたしていても、どのような環境にも柔軟に適応できる方が強い
頑固で融通が利かない状態になると、環境の変化に対応できない
- カテゴリー: 感染対策・免疫