小島歯科医院 名誉院長ブログ

新型コロナウイルス感染症のこれまでとこれから

2022年10月28日(金)


石川県の第一波から第七波までの感染拡大と収束のデータを解析
講 師  谷内江 昭宏 氏
 (金沢大学附属病院副院長、石川県新型コロナウイルス感染症対策専門家会議座長)
 講師への事前質問と回答
◆小島 登(小島歯科医院)
 待機期間が短縮されたり、県外への移動の自粛がないなど、社会は緩和の方向になっています。医療・介護の現場は同じように緩和できないと思いますがいかがでしょうか。
 職員が濃厚接触者の濃厚接触者になるなど、自宅待機の対象にはならないが心配なケースがあります。自宅待機を求められないのであれば、出勤してもよいと考えていいのでしょうか。
 回答 金沢大学附属病院 谷内江 昭宏
 これはそれぞれの事業所(病院、高齢者施設、クリニック)などの事情に応じて対応が変わって良いと思います。金沢大学附属病院の場合は、入院患者への感染を極力防ぐ目的で、拡大解釈をしてかなり厳しい自宅待機を行っていますが、一部の職種の場合は、休むことが難しく、検査で陰性を確認しながら勤務を続けています。
 ご指摘のような例では、基本的に無症状であれば出勤されて良いと考えます。懸念がある場合は抗原検査キットなどを利用しながら勤務を継続するのが現実的な方法かと思います。
 現在の自宅待機の判断はあくまで行政の仕組みの中での判断ですから、実際には個別のリスクを臨機応変に判断して柔軟に対応するのが良いと考えます。
 メモ
1)プロローグ
 ①新型コロナウイルスの感染拡大と収束 2022.10.11.
  ・世界  2019.11.武漢から始まり
    感染者;6億2,681万人
    死亡者;656万人(1.05%)
  ・日本  2020.2.3.Diamond Princess 号から始まり
    感染者;2,155万人
    死亡者; 45,511人(0.21%)
  ・石川県 第一例目2020.2.21. 
    感染者;16万5千149人
    死亡者;285人(0.17%)
   2020.4.3. 石川県医療調整本部
           2020.7.10. 専門家会議
           2020.10.7. いしかわクラスター対策班

2)石川県における第一波から第七波の特徴
 1.第一波;羆嵐  2020年4月
  ・感染者数 298人
  ・死亡者数 25人
  ・死亡率  8.39%
 ①医療が行える状況ではなかった
  ・一例目はPCRで診断確定まで5日間
  ・発症後約7日後に軽症と重症化の分岐点があるにもかかわらず、
   発症から診断(PCR検査結果)までに一週間以上かかる人がいた
   (保健所→帰国者・接触者外来→保健環境センターのハードル)
  ・4月中旬に最長10日以上の自宅待機者や宿泊療養が増えた
  ・済生会病院 ドライブスルー診療体制で光り
 ②死亡率が高い
  ・高齢者(80,90代)クラスターが多かった(石川県、北海道、群馬)
  ・首都圏や近畿圏からの人流が多い(石川県、北海道)
  ・他の都道府県と異なり、
    石川県内では20代を中心とした感染者のピークは見られなかった
 ③メッセージ
  ・行政と医療現場が連携して体制を整備することが必要
  ・早期診断・早期治療介入のための戦略的検査体制が必要
  ・高齢者施設におけるクラスター対策が重要
  ・石川県の地政学的特徴と感染拡大リスクを知ることが重要

 2.第ニ波;地域流行の疫学  2020年8月
  ・感染者数 512人
  ・死亡者数 24人
  ・死亡率  4.69%
 ①石川県内で2つの変異株の拡散
  ・金沢近郊 20代中心とした繁華街クラスター(東京の第2波系統)
  ・南加賀  70代中心としたカラオケクラスター(九州・西日本の第3波系統)
 ②非日常空間の地域クラスターから
    重症化リスクの高い医療機関での大きなクラスターへ
 ③メッセージ
  ・分子疫学が教えてくれたこと;流行地域からの人流制御が重要
  ・石川県版クラスター対策班による迅速な対応の整備の意義
  ・感染拡大を防ぐための地域クラスター制御の重要性

 3.第三波;クラスターの連鎖  2020年12月
  ・感染者数 1,078人
  ・死亡者数   14人
  ・死亡率   1.30%
 ①感染の日常化の始まり
  ・カラオケクラスターの連鎖
  ・家族・知人からの感染拡大の兆しが見え始めた
 ②入院調整の逼迫と入院を基本とする石川県の方針
  ・都会では自宅療養が大部分だったが、石川県はほとんどが入院
 ③メッセージ
  ・年齢階層毎に固有のハイリスク行動が感染拡大の契機となる
  ・感染の日常化と感染リスクの低い場所への感染拡大の兆候
  ・クラスターの連鎖が感染拡大を促進する
  ・重症化リスクの高い現場を守ることの重要性

 4.第四波;変異株と感染拡大  2021年4月
  ・感染者数 2,043人
  ・死亡者数   52人
  ・死亡率   2.55%
 ①α株の感染拡大死亡者数の増加
  ・急激な感染者数増加に対応できず、入院調整中と自宅やホテル療養が増加
 ②宿泊施設での再増悪
  ・発症1週間前後の見極めのための医療が重要
  ・入院経過良好にて7日前後に退院し、宿泊療養の約2日で急激に悪化し、再び入院
 ③メッセージ
  ・変異株による新たなパンデミックがもたらす感染拡大の規模
  ・1週間後に急激に増悪する症例の存在
  ・急速な感染拡大と病床の逼迫
  ・重症化リスクの高い高齢者の感染予防

 5.第五波;感染の日常化とワクチンの効果  2021年7月
  ・感染者数 4,032人
  ・死亡者数   14人
  ・死亡率   0.35%
 ①δ株による家族・知人間の感染拡大の急増
  ・学童の感染が止められない

 ②mRNAワクチンの効果
  ・感染者が急増したにもかかわらず、死亡者が減少
  ・特に高齢者の感染者が減少

 ③メッセージ
  ・デルタ株の病原性と強い感染性
  ・高齢者へのワクチン接種とその効果
  ・市中感染の急激な拡大と小児例の増加

 6.第六波;オミクロンシフト  2021年12月
  ・感染者数 52,289人
  ・死亡者数   64人
  ・死亡率   0.12%
 ①非日常から日常へ
  ・オミクロン株における受容体結合部先端の変異→感染性増大
  ・学童の感染が主になり、そこから家族、重症化リスクの高い集団へ
  ・日常の仲間の中に多数の感染者
  ・デルタ以前とオミクロンの世界は全く違う
  ・オミクロンシフト データを公表しても意味がなくなった
www.chunichi.co.jp/article/416528
 感染者の情報をまとめた石川県の発表資料から調査中の文字が消えた。欄自体が削除された。(2022年2月11日)
 ②死亡率が低下
  ・60歳代より若い人に死亡者が見られない
  ・高齢者の死亡率が低下
 ③メッセージ
  ・小児感染者の急激な拡大
  ・軽症例の増加と死亡率の低下
  ・高齢者施設・医療機関での感染拡大

 7.第七波;BA5 による新たなパンデミック  2022年7月
  ・感染者数 105,038人
  ・死亡者数   88人
  ・死亡率   0.08%
 ①市中感染
  ・爆発的な感染拡大
  ・石川県内の市町の地域格差がなくなり、珠洲でも感染者増
 ②死亡率が著しく低下 0.08%
 参考に
 新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの重症化率等について
www.mhlw.go.jp/content/10900000/000964409.pdf
 ③COVID-19 を受け入れ、本来の医療を取り戻すために
  ・発熱・咳嗽ある患者も一般患者も隔てなく一般の診療所(発熱外来)へ
  ・基本的感染対策、知識と経験、治療薬、ワクチン

3)エピローグ;with コロナの時代に向け
 ①感染拡大の主役はBA.5のまま
  ・第八波?:ドイツにおける感染再拡大しているが、BA.5の感染力が強いので
    他の株は拡大していない
  ・今後はBA.5がよたよたと感染が続く
 ②オーストラリアでの季節性インフルエンザ流行
  ・日本ほどマスクをしている国はないので流行しないかも
 ③我慢の感染対策→普通の感染対策

 ④COVID-19 感染拡大から教えられたこと
  ・都度つどの対応は、地域の実情に応じて柔軟に臨機応変に
    👉 自治体の状況を考慮しない『事務連絡』への一律対応の疑問
  ・医療者の主体的な関わりが重要
    👉 パンデミック対応で行政とどのように関わるか
  ・ポストコロナに向けて長期的に有効な体制(戦略)を
    👉 次のパンデミックを想定した仕組み作りが必要
  ・報道(情報)リテラシーの底上げが必要
    👉 困難状況を柔らかく寛容に乗り切るために
     情報をまことしやかに流し、混乱させる
  メディアリテラシー
   メディアから得た情報に対して、
   自分で考える、確認するといった行為を通して情報を見極めるスキル
www.geekly.co.jp/column/cat-webgame/2006_006/

 参考資料
①日本国内情報 
  NHK 特設サイト「新型コロナウイルス」:
www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data/
  厚労省 HP 空港検疫:
www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00086.html
  厚労省 HP 新型コロナウイルス感染症情報:
covid19.mhlw.go.jp
  国立感染症研究所:
www.niid.go.jp/niid/ja/basic-science/467-genome/9586-genome-2020-1.html
  東洋経済「新型コロナウイルス 国内感染の状況」:
toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/
  内閣官房「新型コロナウイルス感染症対策」:
corona.go.jp
  COVID-19 Japan(各都道府県情報):
www.stopcovid19.jp
②石川県内情報
  県内の最新感染動向(県庁 HP):
stopcovid19.pref.ishikawa.jp
  県内の患者発生状況(県庁 HP):
www.pref.ishikawa.lg.jp/kansen/coronakennai.html
  金沢市新型コロナウイルス感染症関連情報;
www4.city.kanazawa.lg.jp/11003/info/corona.html#info
③海外情報
  WHO HP:
www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/situation-reports/
  Worldometer COVID-19 CORONAVIRUS PANDEMIC:
www.worldometers.info/coronavirus/
  Our World in Data:
ourworldindata.org/coronavirus
  GISAID:
www.gisaid.org/phylodynamics/global/nextstrain/
  Updated Nextstrain SARS-CoV-2:
virological.org/t/updated-nextstain-sars-cov-2-clade-naming-strategy/581
  Outbreak Information:
outbreak.info/situation-reports
  Reuters:
graphics.reuters.com/world-coronavirus-tracker-and-maps/ja/
④非公開情報

 参考に
 新型コロナウイルス感染症のイロハ
kojima-dental-office.net/20210730-5596
 <2回シリーズ講演>
 第1回 2021年6 月 10 日[木] 19:30~21:00 ごろ
  「いまさら聞けない!?新型コロナの基礎知識」
 第2回 2021年7 月 29 日[木] 19:30~21:00 ごろ
  「新型コロナの最新情報」

緊急講演会「新型コロナ 第7波を越えて-これまでとこれから-」
講 師  谷内江 昭宏 氏
 (金沢大学附属病院副院長、石川県新型コロナウイルス感染症対策専門家会議座長)
と き  2022年10月27日(木)19:30~21:00
ところ  オンライン会議システム(Zoom) または 石川県保険医協会会議室
 ※保険医協会会議室での参加定員は 4 人です。定員に達しましたら、会議室での参加は締め切りますのでご容赦ください。
対 象  石川県保険医協会会員医師・歯科医師、会員医療機関のスタッフ
参加費  無料
申し込み 必要事項(医療機関名、氏名、参加形態)を明記し、チラシ裏面の参加申し込み書をFAXするか、申し込みフォームよりお申し込みください。
申込締切:10 月 24 日(月)
ishikawahokeni.jp/221027cov19
FAX:076-231-5156
主催   石川県保険医協会
 「第7波」は 6 月下旬から急拡大し、かつてない大きさとなりました。ピーク時には、全国の感染者数は1 日 26 万人、石川県においても 2 千人を超える日が続きました。病床、発熱外来は逼迫し、まさに波に呑まれるように、対応に苦慮された経験をお持ちの先生方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 これまでの感染拡大、新型コロナ対応などを総括していただくとともに、今後の可能性について谷内江昭宏先生にお聞きする講演会を企画いたしました。ぜひご参加ください。

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