がん化学療法の進歩と課題
2012年03月03日(土)
ー医科歯科連携を含めてー
内容 がん患者の歯科治療における留意点と最近のがん治療について
講師 元雄良治先生
金沢医科大学腫瘍内科学講座教授
集学的がん治療センター長
日時 平成24年3月3日(土) 午後6時
場所 ホテル日航金沢
主催 河北歯科医師会
メモ
1.集学的治療の中の化学療法の役割
①腫瘍内科学とは、
・がん患者を全身的にケアする臨床医学領域
参考)局所制御領域(腫瘍外科学、腫瘍放射線医学)
・臨床現場では
全身療法としての化学療法(がん薬物療法)を専門とする診療科
緩和ケアにも取り組む
②集学的がん治療センター
・様々な科と連携し、最良の治療を目指す
③例えば、乳がん治療
・診断
病理学的検査(免疫染色法)病変の確定診断や治療適応決定に有用
エストロゲンレセプター陽性であれば、ホルモン療法
HER-2陽性であれば、分子標的治療(ヒト化モノクローナル抗体)
・基本的な流れ
2.化学療法の最近の話題
①ホルモン療法
・メカニズム
・副作用
②抗がん剤
・作用の仕組み
・副作用とその対処
・肝がんにおける著効例
・生存期間の延長
・大腸がんではキードラックを使い切ることが重要
・通院による化学療法
抗がん剤治療開始後10~12日が底になる(ナディアと呼ぶ)
好中球500になる人もいる
③分子標的治療
・抗がん剤は空中散布のようなもの、分子標的治療は特定の標的に作用する
・作用機序
モノクローナル抗体 分子が大きく細胞膜を通過しない
低分子化合物 細胞膜を通過し細胞内で働く
・分子標的薬剤の一般名
-mab -nib が多い
・分子標的治療薬の変遷、展望
高分子は、マウス抗体からヒト抗体
低分子は組み合わせへ
3.骨転移治療の最近の話題
①骨転移の部位
②原発臓器別にみた骨転移頻度
大腸などは頻度が少なくても、総数が多いのでよく見られる
③骨転移の分類(タイプ)
・病理学的分類
溶骨型、造骨型、混合型、骨梁間型
・臨床分類
溶骨型、造骨型、混合型
④骨転移が増加する要因
・治療法の進歩によるがん患者の生存率向上
・がん罹患者数の増加
・画像診断機器の進化(PET/CT、whole body MRI)
骨シンチでは分からなかった骨転移がPET/CTで明らかになる
⑤骨転移の治療法
・従来の治療法
QOL確保を目的(局所療法):放射線治療、手術療法
鎮痛剤
抗腫瘍効果を目的(全身療法):化学療法、ホルモン療法
・新規治療法
ビスフォスフォネート(ゾメタ)
デノスマブ(ランマーク」
Sr89(メタストロン」
4.顎骨壊死について
医科歯科連携を含めて
①発症メカニズム
②頻度
③歯科治療と一時的休薬
- カテゴリー: がん患者を支える口腔管理