ムーシールド講演会 1
2009年02月15日(日)
「筋機能訓練装置・ムーシールドによる反対咬合の早期初期治療」
日時 2009年2月15日(日)午前9時~12時
場所 福井県歯科医師会 新館4階
講師 調布矯正歯科クリニック
柳澤宗光先生
主催 福井県歯科医師会
参考に
ムーシールド講演会 2
kojima-dental-office.net/20110313-2558#more-2558
当院の症例
3歳児の反対咬合
kojima-dental-office.net/20150601-2562#more-2562
5歳児の反対咬合
kojima-dental-office.net/20110304-769#more-769
メモ
1.早期治療
3歳児健診で下顎前突を見つけたら、早期に治療するように勧める。そして正常咬合にして上顎への阻害因子をなくしてから様子を見よう。
日本では3歳児の約4%が下顎前突である。そして、永久歯が萌出して治るかもと思っていても、自然治癒するのは6%である。また、治療開始時期が遅くなるほど正常な発育曲線からかけ離れていき、治療に長期間必要になる。
2.ムーシールドで下顎前突の何を治すのか
①強い上口唇圧を弱くする
②弱い下口唇圧を強くし、頤に緊張(皺)を作る
③低位舌を挙上し、嚥下時に舌が口蓋にしっかり付くようにする
④急峻な咬合平面を平坦化する
3.下顎前突を垂直的な見方で考える
下顎前突症例では下顎の6番の萌出がかなり早いために、下顎の6番が高い位置に萌出し咬合平面が傾斜するために、結果として下顎前歯が上顎より前方に位置するようになる。下顎前突を水平的に前方位に位置すると解釈し、後方へ下げる事を治療目的とするのではなく、垂直的な見方で下顎の6番を下げ咬合平面を平坦化して前歯の被蓋を改善するという発想にする。
4.ムーシールドの効能
下顎前突の3~5歳児に3~8ヶ月間ムーシールドで治療すると、上口唇圧を排除し、口唇圧のバランスを整える。そして、低位舌を改善し、高位で機能させ、逆被蓋が改善を促す。また、次の治療を容易にする。
5.要注意症例 難しい
①.バイトが浅い
②遺伝傾向が強い 父母に著しい下顎前突
③ターミナルプレーンが著しく近心位型
抄録
未だ、歯科界は、反対咬合の「治療開始時期」について、明確な解答を持っていません。また、「早期治療の是非」についても、混沌とした問題を抱えています。何歳からの治療開始を想定しているのか、明確にされないままに論じられています。しかし、問題はそれらの議論以前に、「早期からの治療方法、手段」に、基準を持たない点にあります。
私は、「3歳児健診で反対咬合であったら、治療開始できる」ことを目標に、「乳歯列期から治療できる装置」の開発を目指しました。それは、顎外装置を否定し、簡便で、しかも、幼児達に受け入れられる装置でなくてはならないと考えました。開発した筋訓練装置の最初の症例は、1985年日本矯正歯科学会(新潟)において報告する機会を得ました。 反対咬合の原因を、口腔周囲の軟組織上、筋機能に求めました。そして、一人の人間を考えた時、反対咬合が成立した極めて初期の段階で、医療介入することが重要であると考えました。その最初の介入を「早期初期治療」と位置づけました。逆被蓋の状態は、とりわけ、上顎にとって、正常な成長発育を妨げる行為であり、下顎骨には成長を促進させる行為であると考えることに矛盾はないと考えます。それら、正常な成長を阻害する因子から、解き放つ医療行為を「早期初期治療」と考えています。理論的には、その後、「Ⅰ期治療」「Ⅱ期治療」が存在します。とはいえ、永久歯の交換期まで、「被蓋が改善するか経過観察」するのではなく、乳歯列期に「被蓋を改善して経過観察」する事をお勧めしたいと考えています。また、ムーシールド療法が、「早期からの治療方法、手段」の一つとして、議論のたたき台に上ることを願っています。
略歴
1974年 日本大学歯学部卒
1974~82年 日本大学歯学部小児歯科学教室
1980年 歯学博士
1983年 調布矯正歯科クリニック開設
1990年 日本矯正歯科学会認定医
連絡先 福井県歯科医師会事務局 0776-21-5511
申し込みは2月7日(土)までに事務局へ
FAX 0776-27-5640
メール fda@fda.or.jp
- カテゴリー: 食育