5歳児の反対咬合
2011年03月04日(金)
当院では幼児から小学生の食べる機能を支援している。食事の姿勢や食べ方、食形態、口唇閉鎖等々である。その中で、反対咬合ではムーシールド、歯の萌出スペース不足ではT4Kも一つの選択肢として考えている。一番の変化は舌の可動範囲増ではないかと思う。舌が口腔底によどんでいるような反対咬合の幼児に、ムーシールドを2,3ヶ月夜間に装着していると、舌尖が口蓋乳頭部にしっかり当てることができるようになり、舌打ちがうまくできるようになり、前歯部の被蓋が改善してくるようである。飲み物がなくても奥歯でしっかり噛んで食事ができるようになり、唾液の分泌量も増えていく。食事時間も短くなり、発音が明瞭になったり、口呼吸から鼻呼吸の変化もある。
参考として
ムーシールド講演会 1
kojima-dental-office.net/20090215-2556
ムーシールド症例
6歳児の反対咬合
kojima-dental-office.net/20120820-2579
症例
患者 5才女児
初診 平成22年11月15日
主訴 歯並びを治したい
現症 乳歯列の反対咬合
咬み合わせると下顎前歯によって上顎前歯覆い隠される
鼻づまり
経過
11/15 口腔周囲の肉眼的所見や機能状態とムーシールドやその他の治療法を説明
11/24 模型作製、セファロX線撮影
12/9 口腔内写真
唾液量 0.5ml/5分
舌打ち音がクリアではない、タ・ラの発音が弱い
診査、検査の結果と治療方針の説明
ムーシールド開始
トレーニングの解説
踵を床にしっかりつけて姿勢正しく、よく噛んで食べる
舌打ちと上顎前歯で下唇を噛む練習
ムーシールドを入れて唇を閉じて鼻呼吸の練習
平成23年
2/21 唾液量 4.5ml/5分
舌打ち音がクリアになる
ムーシールド朝まで外れなくなる
12/1 両側A脱落
両側下顎DEにCRを添加して咬合挙上する
平成24年
1/31 左上顎1番が口蓋側に萌出
3/15 リンガルアーチ装着
4/26 左上顎1番が正常になる
9/13 両側1番が唇側、右上2番が口蓋側、臼歯部が咬合しない
リンガルアーチを除去し、よく咬んで食べるように指示
夜間にムーシールド装着
平成25年
2/28 リンガルアーチ再び装着
5/18 両側2番を唇側へ
6/29 リンガルアーチ除去、夜間にムーシールド装着
平成26年
2/8 カムゾウくんを利用した咀嚼能率訓練
5/24 臼歯部が空いてきた
6/14 夜間、チンキャップ装着開始
8/2 臼歯部が噛んでくる
平成27年
1/31 臼歯部がしっかり咬合する
平成28年
1/9 咬合が安定する