2021年度活動報告と2022年度活動方針(案)
2022年03月02日(水)
石川県保険医協会 第48回定期総会
2021年度活動報告
はじめに
協会活動の基本スタンスに確信を持つことができた1年であった。
「憲法25条で国民に保障されている、生命権・必要な医療にアクセスする権利などの人権を国に保障させること、この理念を徹底した先にある「本物の」社会保障の実現を目指して活動を進めること」
<総会記念企画に込めた思い>
東京電力福島第一原発事故発生から10年
kojima-dental-office.net/blog/20210314-14512#more-14512
原発・いのち・みらいプロジェクトチームの10年間の活動の延長線上にある、目指すべき未来を見据えた「通過点」として位置づけるものである。
2016年活動報告及び2017年活動方針案
kojima-dental-office.net/blog/20170326-7228
Ⅰ 2021年度の協会活動の概括
(1) 新型コロナウイルス感染症対策を中心に
保険医協会の基本的なスタンス
日常診療支援があってこそ、地域医療が豊かなものになり、その小さな積み重ねがやがては社会保障制度の改善につながる。
ア 保険医の日常診療を支え、充実させる活動
①会員からの診療報酬算定等に係る質問への対応
②診療報酬のコロナ特例や各種支援制度を保険医新聞やホームページなどにて広報
・昨年度作成した支援制度マップを随時更新して最新の情報を提供
・「乳幼児感染予防策加算」「感染症対策実施加算」については、
協会オリジナルの解説資料を作成して情報提供。
③「歯科保険診療便覧」も、コロナ特例への対応等の「追補版」を作成し、情報提供
④ 保険医新聞に、谷内江昭宏氏のインタビュー記事を掲載、最新の知見の情報提供
⑤歯科学術講演会に「歯科診療所における感染防止対策」を複数回開催した。
・新型コロナウイルス感染症のイロハ 2回 谷内江昭宏
kojima-dental-office.net/20210730-5596
・コロナに負けない歯科診療室の感染対策と最近のトピックス 高木純一郎
kojima-dental-office.net/20210826-5891
・訪問診療での歯科感染対策のポイント~コロナ禍を踏まえた歯科の関わり~ 長谷剛志
kojima-dental-office.net/20211219-6117
イ 地域医療における活動
①学校健診後治療調査
・調査結果を取りまとめた報告書を作成
・その内容を地元マスコミに記者発表、子どもの健康をめぐる実態に大きな反響
・問題意識のもと、養護教諭や学校医などを招いた座談会(保険医新聞掲載)を開催
②コロナ禍と介護現場
・通所サービス事業所、施設・居住系サービス事業所に対して影響調査を実施
三宅会長が石川県の高橋医療対策課長、瀬戸長寿社会課長と懇談
・オンラインにて「新型コロナと介護現場-リレートーク」を実施
kojima-dental-office.net/20211114-6138#more-6138
ウ 社会保障・医療保障施策の改善運動
①コロナ禍が浮き彫りにした医療提供体制の脆弱性
・新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、地域医療の「余裕のなさ」を明らかに。
・診療報酬改善運動と患者負担の軽減に向けた運動をセットで取り組む
②コロナ禍と人権保障
・社会保障セミナー「新型コロナウイルス感染症と人権」を開催
(2)新型コロナウイルス感染症対応以外の取組みを含めて
①社会保障・医療保障制度の改善運動
・75歳以上患者の2割負担化を阻止する活動
・保険でより良い歯科医療の充実を求める患者署名
② 2022年度の診療報酬改定への対応
・保団連北信越ブロックとして、医科歯科それぞれに診療報酬改善を求めて厚労省と懇談
kojima-dental-office.net/20210611-5852#more-5852
・診療報酬改定案に対して中医協へ、患者に保険で十分な医療を提供できる診療報酬となるパブリックコメントを提出
③ 2021年度は介護報酬単独改定の年
・改定内容を会員にわかりやすく伝えるために「新介護報酬検討会」を開催
kojima-dental-office.net/20210521-5558
・見直し内容の周知を目的として、歯科介護報酬便覧を協会オリジナルで発刊
kojima-dental-office.net/20210825-5904
④ Webを活用した講演会
・金沢地区以外の会員参加や全国の協会会員の参加など、新たな可能性も開かれた
・よろず勉強会では、一般外来で遭遇するベーシックなテーマ
下肢静脈瘤-専門医からのメッセージ 遠藤將光
kojima-dental-office.net/20210603-5643
外来でここまで診られる心不全-新薬を活用して 下島正也
外来で隠れ肝硬変を早く見つける! 高田昇
・歯科部の学術講演会
デジタルデンティストリーの到達点と展望 北道敏行
kojima-dental-office.net/20211028-5998#more-5998
・医療福祉部の在宅医療講演会
排便ケアの取組からみる地域包括ケア
⑤食育パンフレットの普及
・ 普及推進のため、5月に購読者アンケートを実施
kojima-dental-office.net/20200503-5190
⑥石川県の医療費助成活動
・「子ども医療費助成制度の現物給付化」が県下すべての自治体において実現
⑦原発・いのち・みらいプロジェクト
・片山夏子氏(東京新聞福島特別支局長)を迎えて講演会・懇談会
「東電福島原発事故 作業員の10年間~一人ひとりの声を記録して~」
・内部勉強会、保険医新聞連載
⑧共済活動
・保団連や休保共済会では各制度の改善に向けて具体化が進展
⑨機関誌文化部
・迅速な情報提供という意味でホームページの活用が大きく進んでいる
・各種講演会の申込みについてもWebを経由したものの割合が確実に増えている
・本年度はゴルフコンペを再開
【第2号議案】 2022年度活動方針(案)
はじめに
<総会記念企画に込めた思い>
「ネット・ゲーム依存」
講師 久里浜医療センター院長 樋口進氏
kojima-dental-office.net/20220114-6252
もともとこの企画は、学術保険部会において、会員ニーズを踏まえ、日常診療における身近な課題をテーマに取り上げる「よろず勉強会」の活動の中で具体化され、2020年度の総会記念講演として予定していた。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大のなかで開催を見送っていた。
今回の企画にあたっても、2020年に企画した際とネット活用環境がまったく異なっていること、とりわけ子どもをめぐるネット環境が激変したことも当然意識しており、講師からはタイムリーな話題提供もいただけることと考えている。
また、昨年度に力を入れた「学校健診後治療調査」の取りまとめの中から、子どもの健康に対する問題意識が高まり、コロナ禍における子どものネット依存の現状把握の必要性も高まり、今回の総会記念企画にもつながった。
ア 患者負担増に対する運動
①医療保険における患者自己負担と税・保険料負担の峻別の必要性である。
「応能負担原則」は、税・保険料負担であり、窓口負担増ではない。
②高齢者と現役世代の負担の「公平」性についてである。
1割負担の現制度下でも後期高齢者の年収に占める窓口負担の割合は現役世代のそれよりも上回っている。
③今まさにコロナ禍において負担増を議論すること自体の問題である。
政府が具体化すべきは、コロナによって疲弊した国民に対する生活保障施策と地域医療を支えるための医療提供体制施策である
イ 診療報酬改定と「機能分化」施策 -外来機能分化策を中心に
①施設基準の強化により、高度急性期病床を下位基準病床へと転換を促すこと
②在宅療養支援診療所への資源投入と、高齢者の集住化に対応した「効率的な」報酬体系の整備
③かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所など「重装備」の診療所への重点評価
④「紹介状のない大病院外来受診の患者への定額負担」制度の拡大とそのための外来機能分化施策
ウ 次期診療報酬改定において-一般開業医に影響を及ぼす論点
① オンライン診療の拡大
コロナ禍においてオンライン診療の必要性が高まり一定の役割を果たしてきたことは否定しないが、これらはあくまでも緊急避難的なものであり、制度の恒久化にあたっては医療安全の観点からより慎重な検討を必要とすると考える。
② リフィル処方の導入
長期処方のリスクをしっかりと認識することが肝要であり、リフィル処方箋の活用には慎重を期すべきである。
③ 診療データの利活用
レセプト診療データを活用して、医療費適正化につなげようという施策が進行中である。
・生活習慣病管理料などの際のデータ提出を行った場合に加算点数が創設されている。
・マイナンバー制度には、国民一人ひとりの給付と負担の「可視化」側面がある。
エ 協会の日常活動の重要性と本年度の方針のまとめ
本年度も、医科歯科一体という協会の強みを生かしながら、学術保険部、歯科部、医療福祉部、経営共済部、機関紙文化部それぞれの角度から、また、時には共同で知恵を出し合い、会員に、そして広く社会にアピールする取組みを、地道に粘り強く進めていきたい。
(1) 医療制度、社会保障制度の改善をめざす活動
① 新型コロナウイルス感染症の感染拡大への対応について
・感染防止対策支援金の申請について、保険医新聞・ホームページ等を通じて広報
・診療報酬改定に伴うコロナ特例による経過措置の存廃などを会員に情報提供
・コロナ禍において患者に十分な治療を提供できているか実態把握を行い、必要に応じて自治体等に要望する。
・情勢の急変に柔軟に対応して、要請・企画等の具体化を進めていく。
② 医療保障、社会保障の拡充をめざす活動
ア 医療保障、介護保障の拡充
・2022 年度の10 月に予定されている75 歳以上高齢者の2割負担化法の施行阻止に向けた運動を継続する。
・2022 年の診療報酬改定の内容について、会員医療機関に対する周知を徹底する。
・不合理是正要求に保団連とともに取り組み、北信越ブロックとして厚労省との懇談を継続していく。
・「金銀パラジウムの逆ザヤ問題」の抜本的解決に向けて、保団連とともに取り組みを継続していく。
イ 社会保障の拡充
・社会保障制度改革について運動を支える理論を地元若手研究者とともに学習する。
ウ その他の社会保障制度関連
・マイナンバー制度がはらむ問題点についての政策宣伝を強めていく。
・生活保護基準の引下げに対する訴訟運動に一層力を入れていく。
・「障害者総合支援法」の見直しを求める関係団体の運動に協力していく。
③ 地域の医療・福祉を改善する活動
ア 地域医療、地域福祉を改善する活動
・石川県の障害のある人の医療費助成制度について
対象に精神障害者保健福祉手帳2級まで拡大を求める。
・石川県の子ども医療費助成制度について
自己負担のない完全窓口無料化と対象患者の拡大に向けて運動を継続する。
イ 保険で良い歯科医療を運動
・養護教諭との懇談や関連企画の開催など、子どもの口腔崩壊改善に向けた運動に医科歯科一体となって取り組む。
④「原発・いのち・みらい」活動について
・原発・いのち・みらいプロジェクトを中心にして、事故が原因で甲状腺がんになったとして東電に損害賠償を求めている裁判(2022年1月提訴)について、積極的な情報収集を行い、原告支援について検討する。
・講演会や内部勉強会を企画し、「命」を中心に据えた持続可能な共生社会への情報共有と情報発信の場としても活用する。
(2) 保険医の生活と権利を守り、第一線医療の充実と発展をめざす活動
① 保険診療の充実をめざす活動
ア 医科・歯科共通
・医科・歯科ともに新点数検討会を開催する予定 医科は3会場
<新点数検討会等の開催計画>
・医科新点数検討会
白山会場:3月26日(土)午後7時、白山市松任学習センタープララ
金沢会場:3月27日(日)午前10時、石川県地場産業振興センター
七尾会場:3月27日(日)午後2時、矢田郷地区コミュニティセンター
・医科新点数運用説明会
金沢会場:4月24日(日)午前10時、石川県地場産業振興センター
七尾会場:4月24日(日)午後2時、矢田郷地区コミュニティセンター
・歯科新点数検討会
3月23日(水)午後7時 ホテル金沢
kojima-dental-office.net/20220118-6199
② 審査・指導・監査の改善を求める活動
・会員からの指導に係る相談に積極的に対応する。
・ 石川県における集団的個別指導や個別指導、適時調査について、東海北陸厚生局に開示請求を行い、会員に情報提供する。
③ 第一線医療の充実と発展をめざす活動
ア 医科・歯科共通
・「よろず勉強会」は、見逃してはいけない重症患者例や糖尿病の最新治療などがテーマ候補として挙げられている。
・依存への理解を深める企画を具体化していきたい。
イ 歯科
・医科歯科隣接医学講演会のシリーズ化に向けて議論を開始している。
ウ 地域医療活動の推進
・出版物の発行
「病院マップ」
「福祉マップ」
・「子どもの健康」をめぐる諸課題に多彩な取組を検討したい。
・医療的ケアを必要とする人たちの実態を学ぶ取組について具体化を図りたい。
(3) 憲法の理念に基づき、生存権や人権を生かし、平和憲法を守る活動
①石川県保険医協会として
・最大の健康被害である戦争に至る可能性をなくすため、必要な活動に取り組んでいく。
② 核戦争を防止する石川医師の会事務局団体として
・県内の小中学校等への漫画『はだしのゲン』および英語版『Barefoot Gen』の普及に取り組む。
・「唯一の戦争被爆国日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」活動に取り組む。
・「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」(9月26日)を開催する。
・ 2022年3月にオーストリアのウイーンで開催予定の第1回核兵器禁止条約締約国会議や、同年8月に開催予定のNPT再検討会議に向けて、行政への働きかけや機運を高めるため運動、学習を進める。
③ 九条の会・石川医療者の会事務局団体として
・石川保険医新聞「シリーズ 憲法を生きる」の連載をより充実したものにしていく。
(4) 組織を拡大・強化する活動
① 会員増加の取組み
・役員による働きかけ・声かけと、事務局による未入会員訪問を強化する。
・保険医協会の診療報酬改定対応の充実ぶりをアピールして会員増につなげたい。
② 財政活動
・現在事務所が入居しているビルが取り壊されることとなり、本年度中に事務所を移転する。新事務所への移転により敷金の支払いが必要なことから、特別積立金を必要額取り崩す(なお、敷金は協会の資産であることに変わりはない)。
③ 経営・共済活動
・2022年8月1日より免責日数を短縮する制度改善が行われるため、その広報・宣伝に努めるとともに、会員の不安に寄り添えるよう丁寧な募集活動を行う。
④ 機関紙・文化活動
ア 機関紙活動
・新型コロナウイルス感染症対策に関する支援制度や診療報酬特例などの解説記事等を掲載する。
イ ホームページ
・新型コロナウイルス感染症に関連する医療機関向け支援制度や診療報酬の取扱い等について、迅速に分かりやすい情報提供を行う。
ウ 文化活動
・コロナ禍における新たな試みとして、Web等を通じたリモート企画の可能性を追求していく。
⑤ 役員体制・事務局体制
・ 部員の増員に当たっては、Web会議の有効活用も視野に入れる。
・部会活動が活発になることにより、次世代を担う役員の増員につなげていく。
・女性会員にとっても魅力的な事業を追究する。
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