小島歯科医院 名誉院長ブログ

デジタルデンティストリーの到達点と展望

2021年10月28日(木)


講師:北道敏行氏( 兵庫県・姫路市きたみち歯科医院院長)
 『月刊保団連』2 0 2 1 年5 月号~8 月号「歯科医院でのC A D /C A M 活用のポイント」(全4回)歯科医院でのCADCAM活用のポイント 1 歯科医院でのCADCAM活用のポイント 2 歯科医院でのCADCAM活用のポイント 3 歯科医院でのCADCAM活用のポイント 4
 デンタルマガジン 2020年3月1日発行 172号 SPRING
 口腔内スキャナーの現状と注意点~プライムスキャンを使用した臨床~
pdf.dental-plaza.com/dentalmagazine/no172/172-1/?id=pageLink01

メモ    報告記事(山口先生)
 歯科界もデジタル技術を主流とした体系に。印象採得からIOS(口腔内スキャナー)は、ベルト式エンジンモーターからエアタービン、縫製冠から鋳造冠以来の大転換かもしれない。

1.メガフィラーの原理(併用型コンポジット充填)
 コンポジットレジン充填は、ボンディング剤の優れた接着性能により歯とレジンが一体化し、重合収縮のしわ寄せがエナメルクラックを生じさせ二次カリエスを引き起こすようになった。その欠点を補うために、その層を薄くし重合収縮を抑えることを考えた。ポーセレンがコンポジットレジンに比べ弾性および熱特性が天然歯エナメル質に近いところに着目し、充填の補助とした。
  ・窩洞より150~200μ小さいセラミックブロック(インレー)を
   コンポジットレジンで接着する
  ・重合収縮や辺縁閉鎖性を向上させる
  ・熱膨張も抑制する
 【本来持つ弾性、強度をを再現する】
  ・エナメル質には物性の近いセラミックス
  ・象牙質には物性の近いコンポジットレジン
  ・接着技術によりエナメル象牙境を再現

2.IOS(口腔内スキャナー)の選択
 ①歯科医院のスタイルから考える
  ・自院完結型であれば高価格帯を選ぶ
  ・技工所にアウトソーシングするのであれば低価格帯
 ②性能はほとんど同じ
  ・フルアーチになると、精度に差が出る
  ・臼歯部は直線的で誤差はないが、前歯部は湾曲があり誤差が出やすい
  ・歯肉縁下を撮るときは高価格帯
 ③定量的可視光誘起蛍光法 トリオス4
  ・歯牙(小臼歯及び大臼歯)表面や咬合面にブルーライトを当てると、
    う蝕の程度を分類表示。緑の蛍光を発する。
    う蝕病原菌の代謝物、ポルフォリンは赤色の蛍光を発する。
 ④ソフトウェア開発

3.IOS(口腔内スキャナー)での撮り方
 ①重ね合わせる枚数が少ないほど誤差が少なく精度がよくなる
  ・三角計測法の機種では、
   「影」ができないように様々な角度から連続的に撮影する必要がある。
    撮影枚数が多くなり重ね合わせを繰り返すので誤差が出やすい。
  ・共焦点法の機種では、
    ピントの合ったものだけを結像していくので誤差が出にくい。
    術者の熟練度に結果が左右される。
    撮影のコツは対象歯との距離を一定にカメラをゆっくり動かす。
 ②目的別撮影経路  
  ・一般的には、頬粘膜など可動領域の影響を受けやすい部位を後にする
    口蓋側→咬合面→頬側
  ・修復物を優先の時は、咬合面→頬側→口蓋側
    隣接面歯頸部では、スキャン用のオレンジ色のウェッジや歯肉収斂粘土を使用
  ・開口量が少ないときは、撮影しやすい5番くらいまでをスキャンして、
    後で奥の方に移り前の方と重ねる

4.アナログとデジタルとの比較
  ・IOS(口腔内スキャナー)による印象精度・再現性は従来法と同等かそれ以上
  ・作業工程が極端に少なくなり、誤差がほとんどなくなる
  ・製作に必要なコストも削減される
  ・作業時間も短縮される

5.合着と接着の違い
 ①適度な隙間(セメントスペーサー)が異なる
   ・接着は50~100μ、合着は20~30μ
   ・セラミックは50~100μだと割れないが20~30μにすると割れる
 ②形成を合着型デザイン→接着型デザイン
   ・構造上の一体化のため維持力や摩擦力は必要なくなる
     支台歯長は4mmなくても可
     テーパーはやや緩く5~10° 
   ・単純な形
     丸く仕上げる
     移行部は緩やかに角がない
   ・加工機のバーの直径を考慮する
     窩洞幅が2.5mm以上(超えない峡小部はコンポジットレジン充填)
     ジャンプマージンを作らない  超音波プレパレーション
     切端部に丸み  狭いと削り出せない
   ・マージンは歯肉縁上に
     歯面処理が確実にできる
   ・残しても良い歯質の厚みは窩洞の深さ以上

6.不快症状を起こさないために
  ・形成歯面の処理を適切に
  ・咬合紙を噛ませてから形成する
    CO、CRをマージンラインら外す
  ・セラミックの厚みによる光量低下
  ・機能咬頭の内側の干渉

7.セメントの選択
  ・縁上マージン  防湿可能  接着性レジンセメント
  ・縁下マージン  簡易防湿  4-META

8.CAD/CAMマテリアルの選択基準
 ①歯肉縁上あるいは縁下でマテリアル選択は異なる
  歯肉縁下にマージンがあれば曲げ強度350Mpaが必要
 ②歯肉縁上は接着(歯面処理が確実)
  歯肉縁下は合着(セルフアドヒーシブセメントの選択)
 ③対合歯の種類
  対合歯に縁下マージンのFMCが装着されていれば、
   将来、曲げ強度350Mpaが入ることも考えて選択する
 ・高密度多結晶焼結体  470Mpa以上  ジルコニアなど  縁下でも可
 ・強化型グラスセラミックス 160~250Mpa  縁上に

歯科オンライン講演会
日時:2021年10 月28 日(木)19:00~21:00
会場: オンライン/Zoomミーティング(定員100 人)
    または石川県保険医協会会議室(定員8 人)  
対象:全国の保険医協会会員医療機関の歯科医師およびスタッフ
主催:石川県保険医協会
参加申込方法 メールもしくは協会ホームページの申込フォーム
 ①医療機関名、②参加者氏名、③参加方法を入力
申込締切:10月20日(水)  北道敏行先生講演会チラシ
♦ Eメールの場合ishikawa-hok@doc.net.or.jp まで
♦ 申込フォームの場合 石川県保険医協会ホームページの【お問い合わせ】から。
お問い合わせ先 石川県保険医協会歯科部
ishikawahokeni.jp/
 〒920-0902 金沢市尾張町2-8-23 太陽生命金沢ビル8 階
 電話076-222-5373  FAX 076-231-5156  E メールishikawa-hok@doc.net.or.jp

ご案内
 近年、補綴臨床において日進月歩のスピードで進化を遂げている分野がデジタルデンティストリーです。IOS(口腔内スキャナー)、CAD/CAM システムを応用した補綴物製作がどんどん我々の日常臨床にも導入され始めています。
 高精度の補綴物をデジタルシステムによって迅速に製作することや、精度の高い接着システムを組み合わせることで、患者さんにより良い歯科医療を提供できると考えられます。そこで、デジタルデンティストリーの「現在の到達点」と「これから、どこに向かうのか」について考えるための学術講演会を企画しました。
 今回、デジタルデンティストリー分野のトップランナー北道敏行先生を招聘することができました。この分野における最新の知見を石川県保険医協会の先生方と是非とも共有したいと考えております。多数の先生方のご参加をお待ちしております。

2022年歯科診療報酬改定に向けた主な検討内容
kojima-dental-office.net/20210916-5996
(3)歯科医療(8月4日中医協総会にて検討)
ウ.主な意見
・患者に現在の口腔の状況を客観的に示す観点から、新しい検査法の導入についても検討が必要。

デジタル印象採得装置(口腔内スキャン)
 CEREC、iTero、TRIOS、3M
shikai-no-mikata.com/intraoral-scanner-maker
 モリタ
pdf.dental-plaza.com/dentalmagazine/no172/172-1/
 GC
www.gcdental.co.jp/sys/data/item/1605/
 松風
www.shofu.co.jp/pickup/trios/

 *モリタのアクイオス(口腔内スキャナー)が今年8月末に薬事承認
   来年の4月~6月の販売に向けて、準備を進めている

北道敏行先生の主なご経歴
日本臨床歯科C A D C A M 学会副会長、IS C D 国際コンピュータ歯科学会公認国際セレックトレーナー、株式会社モリタC A D /C A M インストラクター、株式会社白水貿易C A D /C A M インストラクター、イボクラビバデントJa p a n インストラクター、ウルトラデントJa p a n プロダクトアドバイザー、アマンギルバッハβテスター、V IT A C A D /C A M インストラクター、日本臨床歯科C A D /C A M 学会コースインストラクター、広島大学客員講師(~2 0 1 8 )、モリタデジタルソリューションセンターインストラクター

 

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