小島歯科医院 名誉院長ブログ

赤本勉強会2022

2022年09月04日(日)


 3日(土)午後6時半から9時までホテル金沢にて石川県保険医協会主催の「保険診療に詳しくなるための勉強会」が開催された。前回2年前はオンラインだったが、今回の赤本勉強会は、4年ぶりのリアル開催となった。久しぶりに出会う先生や初めて見る若い先生、30数名の参加があった。基準の全国統一化の取り組みとして始まった「支払基金・国保連が公表している審査情報提供事例」も掲載した画期的な完成版の『2022年度版歯科保険診療便覧』(茶本)が参加者には一足早くプレゼントされた。
 歯科部員5人が担当範囲をそれぞれの手法で報告した。吟味された検討内容の解説に対して質疑応答があり、大盛況な会となった。終了後も報告者の周囲で活発な意見交換が行われていた。特に、医学管理料、小児口腔機能管理料、フッ素洗口、歯周疾患に関する治療の取り組み方と保険請求の仕方。
 2022年歯科新点数検討会
kojima-dental-office.net/20220323-6199
 オンライン赤本勉強会2020
kojima-dental-office.net/20200716-5202
 小児口腔機能管理加算
kojima-dental-office.net/20180721-4227
 2016年赤本勉強会
kojima-dental-office.net/20160723-1691#more-1691
 支払基金・国保連が公表している審査情報提供事例
 社会保険診療報酬支払基金
www.ssk.or.jp/shinryohoshu/teikyojirei/index.html
 国民健康保険中央会
www.kokuho.or.jp/inspect/jirei/

メモ
1.休日加算
 ・ 日曜、祝日および12月29日から翌年1月3日までの期間に、急患などやむを得ない理由で診療を行った場合に加算する。お盆休みに急患を診た場合は時間外加算となる。
 ・平日に休診日があり日曜診療している場合は、休診日に急患を診た場合は時間外加算となり、日曜日の診療には加算はできない。
 ・時代と合わなくなっている。標榜している診療日や休診日の実態に合わせた加算にすべきではないか。
2.歯周疾患の基本的な流れ 赤本151ページ
 ・歯周外科治療をすると、再度のSRP等の後戻りはできず先に進むしかない
   いったんSPTに進めば、再度の歯周外科治療はでき、
   SRPで経過観察することもできる
 ・環境を整えて確実に良くなる時点で覚悟して歯周外科治療に挑むことになる

 今年の自分の担当は
第4章 検査、画像診断、投薬、麻酔
第5章 処置、リハビリテーション
第6章 手術
 参照
  ①『歯科保険診療の研究2022 年4 月版』(赤本)
   ②『2022 年改定の要点と解説』(紫本)
   参考に
    歯科保険診療便覧 2022年度(茶本)
   病院マップ
A.今回の主な改正点
第4章 検査、画像診断、投薬、麻酔
 1.口腔バイオフィルム感染症に対する検査の新設  赤本141ページ
 2.歯科用3次元エックス線断層撮影の対象の明確化
                   赤本90ページ、紫本71ページ
  ・複雑な解剖学的根管形態等を確認する特段の必要性が認められる場合
    pul、perでも算定可
   *【通知】(12)ホに追加
 3.うがい薬のみを処方する場合には処方箋に「治療目的」のコメント必要
赤本90ページ、茶本150ページ
  ・うがい薬単独の場合は原則算定できないが、治療目的であれば算定できる
第5章 処置、リハビリテーション
 1.咬合調整  赤本95ページ、紫本78ページ
   *区分の変更、整理
   *算定の間隔は、イ、ロ、ハは6ヶ月に1回、ニは3ヶ月に1回
   *区分が異なれば、同月内でもそれぞれ算定できる 【変更】
     イ.MC過高とハ.Mal、やイ.歯ぎしりとロ.歯周病
   *歯周病検査前もロ.は認められる
     【通知】(1)「歯周炎に対する歯(診断された)」が削除され、
       (4)ロ.は、歯周炎に罹患した患者に対して、
         歯周炎の治療を目的として行われる場合
   *一連の歯内療法や抜歯に伴う患歯の安静を目的として行う歯の削合は
     それぞれに含まれ別に算定できない
     【通知】(6)から(10)へ変更しただけで変わらない
   *P重防およびSPTを開始すれば算定できない
 ①各区分の整理
   イ 一次性咬合性外傷の場合
     ・病名 Brx 歯ぎしりの際の咬合干渉を削合 
     ・病名 MC 過高金属歯冠修復物等(他院制作に限る)の過高部を削合
     ・病名 咬合性外傷 過度の咬合圧を受ける天然歯
   ロ 二次性咬合性外傷の場合
      病名 P、咬合性外傷  歯周炎の治療を目的
   ハ 歯冠形態修正の場合
      病名 Mal、咬傷、歯牙鋭縁、挺出歯
     ・食物の流れを改善し歯周組織への為害作用を極力阻止する場合
     ・舌、頬粘膜の咬傷を起こすような場合等
   ニ レスト製作の場合
      病名 MT、義歯破折
     ・鉤歯と鉤歯の対合歯をレスト製作のために削除した場合
    ホ 第13部 歯科矯正に伴うディスキングの場合
       病名 顎変形症、咬合異常
     ・顎変形症又は厚生労働大臣が定める疾患に起因した
       咬合異常の歯の隣接面の削除
第6章 手術
 1.歯周外科手術 歯肉歯槽粘膜形成手術 赤本146ページ、紫本96ページ
   *歯周病の治療を目的としない歯肉歯槽粘膜形成手術は、
    歯周病検査が不要であることが明確になった。
   *【通知】(11)「歯周疾患の治療において」が削除になった
      病名が明確でなかったが、
     *支払基金が公表している審査情報提供事例 J063
      P病名なし。病名「歯根露出」「象牙質知覚過敏症(Hys)」
kojima-dental-office.net/20220408-6199
    歯科保険診療便覧 2022年度(茶本)244ページにも掲載
B.症例
第6章 手術
読み解くヒント
①切開、抜歯予定歯の感染根管処置、後出血処置、全身管理下の治療
 a.歯科治療時医療管理料(医管) 1日につき45点
   ・施設基準あり
   ・治療時における患者の全身状態の変化などを把握するため、
    患者の血圧、脈拍、経皮的動脈血酸素飽和濃度を経時的に監視し、
    必要な医療管理を行った場合に算定する。
   ・対象患者
    高血圧性疾患、虚血性心疾患、不整脈、心不全、脳血管障害、喘息、
    慢性気管支炎、糖尿病、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、
    副腎皮質機能不全、てんかん、
    慢性腎臓病(腎代替療法を行う患者に限る)の患者、
    人工呼吸器を装着している患者、在宅酸素療法を行っている患者
   ・医療管理の対象となる診療行為あり
 b.診療情報連携共有料(情共)120点 
   ・保険医療機関ごとに3ヶ月に1回
   ・慢性疾患を有する患者または全身的な管理が必要な患者に対し、
    医科に文書で検査結果や投薬内容等の診療情報の提供を求めた場合に算定する
 c.総合医療管理加算(総医)+50点 (*歯管に加算)
   ・施設基準が廃止【変更】
   ・医科から文書により患者の全身状態や服薬状況などの診療情報の提供を受け、
    必要な管理および療養上の指導などを行った場合、歯管に加算する
   ・対象患者
    糖尿病の患者、骨吸収抑制薬投与中の患者、感染性心内膜炎のハイリスク患者
    関節リウマチの患者、血液凝固阻止剤投与中の患者、HIV感染症患者【新】
参考に
 d.診療情報提供料Ⅰ(情Ⅰ) 月1回250点
   ・別の保険医療機関での診療の必要を認め、
    診療状況を示す文書を添えて紹介した場合に算定する
   ・(特)または歯科訪問診療料を算定している患者を
     地域歯科診療支援病院歯科初診料の届け出医療機関(病院マップ10ページ)
     医科の医療機関
    に紹介した場合に100点を加算する 
 e.情Ⅲ→連携強化診療情報提供料【新】150点
   ・医科からの照会に基づき返書した場合に算定する
   ・施設基準あり、届け出不要
     敷地内禁煙と妊娠している者の診療に関わる研修
     (診療時の留意点、頻度の高い合併症、画像検査の可否、
      胎児への影響に配慮した薬剤の選択)
   ・算定回数の変更【変更】
   ・「かかりつけ医機能を有する」医科保険医療機関は
     患者1人につき3月に1回に限り→ 患者1人につき月1回に限り
   ・他からの紹介は変更なく、3ヶ月に1回
   ・産科もしくは産婦人科を標榜する保険医療機関からの紹介で、
     頻回の情報提供を認める場合は「月1回」
③抜歯中止
 抜歯中止となった場合に算定できる項目と摘要欄記載
 a.抜歯の前処置として術野の消毒、麻酔を行い、抜歯の態勢に入ったが、
   脳貧血など患者の急変で抜歯を中止した場合、麻酔料と薬剤料が算定できる。
   摘要欄には、「患者の急変によりやむを得ず抜歯を中止」と記載する
 b.患者の体調急変でやむを得ず抜歯を途中で中止した場合、抜歯料が算定できる。
   摘要欄には、「患者の体調急変によりやむを得ず抜歯途中中止」と記載する
 c.抜歯にあたり骨の開削または歯根分離術を行ったが、
   やむを得ず抜歯を途中で中止した場合、抜歯料と難抜歯加算が算定できる。
   摘要欄には、「完全抜歯困難でやむを得ず抜歯中止」と記載する
 d.埋伏歯において完全抜歯が困難になり、
   やむを得ず抜歯を中止した場合、埋伏歯抜歯料が算定できる。    
   摘要欄には、「完全抜歯が困難となりやむを得ず抜歯中止」と記載する
 *抜歯中止後、改めて行った抜歯の費用は算定できる。

保険診療に詳しくなるための勉強会
 日時:2022年9月3日[土] 18:30~21:00
 会場:ホテル金沢( 金沢市堀川新町1-1)
 講師:石川県保険医協会 歯科部 講師団
 対象:会員、会員のいる医療機関のスタッフ (定員50人)
 テキスト:以下2点のテキストを当日必ずお持ちください。
  ①『歯科保険診療の研究 2022年4月版』(赤本)(会員には4月末に発送済み)
  ②『2022年改定の要点と解説』(点数検討会のテキスト)
<開催のご案内>
 この4月の歯科診療報酬の改定内容にもようやく慣れ始めたころと思いますが、制度のより正確な理解や複雑な所を整理するために、今年も赤本勉強会を企画しました。今回も、『歯科保険診療の研究』(赤本)と『2022年改定の要点と解説』(点数検討会のテキスト)をテキストに、今次改定の内容はもちろんのこと、算定の基礎から、算定方法が分かりにくいケースを掘り起こす内容も準備しています。
 日頃、周りに聞けない疑問点や厚労省への改善要望などをお持ちよりいただき、意見交換をしながら理解を深める機会になればと思っています。
 新入会の先生方をはじめ、多くの会員の皆様にご参加いただければ幸いです。
<参加費等の注意事項について>
会員、会員のいる医療機関のスタッフは無料。
医療関連企業の方は赤本(8,000円)を購入いただいた方のみご参加いただけます。
〇定員に達した場合には、申込締切日前に締め切らせていただきますのでご了承ください。
〇会場には駐車スペースがありますが、満車の場合には近くの有料駐車場をご利用ください。
〇申し込み締め切り 8月29日(月)赤本勉強会2022チラシ
<申込方法>   ①医療機関名、②参加者氏名を記入のうえ、
  下記FAX、メールもしくは協会ホームページの申込フォームからお申し込み下さい。
   E メールの場合: ishikawa-hok@doc-net.or.jp まで。
   申込フォームの場合:石川県保険医協会ホームページの【お問い合わせ】から。
    もしくは、右記のQR コードを読み取ると直接お申し込みもできます
主催・お問い合わせ
 石川県保険医協会
 〒920-0853金沢市本町2-11-7 金沢フコク生命駅前ビル7階
 電話 076-222-5373 FAX 076-231-5156
 Eメール ishikawa-hok@doc-net.or.jp

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