赤本勉強会2024
2024年09月28日(土)
28日(土)午後6時半から8時半まで地場産 本館3階にて石川県保険医協会主催の「保険診療に詳しくなるための勉強会」が開催された。久しぶりに出会う先生や初めて見る若い先生、30数名の参加があった。歯科部員4人と事務局員が担当範囲をそれぞれの手法で報告した。特に、医学管理や施設基準の詳細項目はどんどん難解となり、しっかりその都度対応することの大切さと、「口管強」への取り組みが歯科医院経営に欠かせなくなることもを実感した。また、10月から開始される長期収載品の選定療養に対する処方箋のチェックやレセプトの適応欄記載に憤りを感じた。在宅医療では、最初にしっかり記録をとることと、患者さん・家族、ケアマネジャー、歯科医師、歯科衛生士が一堂に会し、今後を相談すること。歯冠修復、ブリッジでは、様々な補綴物の適応についての整理と、事前承認ブリッジの解説があった。書面掲示する事項をウェブサイトに掲載しなければならなくなった(経過措置 2025年5月31日)。後半に自分が担当した範囲を記載。
「外安全1」の施設基準にある「歯科ヒヤリ・ハット事例収集等事業」への登録を
www.med-safe.jp/dental/
登録完了した歯科医院が掲載されている
(参加登録歯科診療所数:14639施設 2024年8月31日現在)
参考に
2024年歯科新点数検討会
kojima-dental-office.net/20240426-7270
赤本勉強会2022
kojima-dental-office.net/20220904-6444
夕方に備えて「とんかつ ぶんぷく 金沢ベイ店」で腹ごしらえ。
kojima-dental-office.net/blog/20240327-19001#more-19001
保険診療に詳しくなるための勉強会
日時:2024年9月28日[土] 18:30~20:30
会場:地場産 本館3階、第4研修室
講師:石川県保険医協会 歯科部 講師団
対象:会員、会員のいる医療機関のスタッフ (定員50人)
テキスト:以下2点のテキストを当日必ずお持ちください。
①『歯科保険診療の研究 2024年6月版』(赤本)
②『2024年改定の要点と解説』(点数検討会のテキスト)
参加費:無料
参加申込方法:赤本勉強会2024チラシ
主催:石川県保険医協会
本年 6 月の歯科診療報酬の改定内容について、制度のより正確な理解や複雑な所を整理するために、今年も赤本勉強会を企画しました。
今回も、『歯科保険診療の研究』(赤本)と『2024 年改定の要点と解説』(点数検討会のテキスト)をテキストに、今次改定の内容はもちろんのこと、算定の基礎から、算定方法が分かりにくいケースを掘り起こす内容も準備しています。
日頃、周りに聞けない疑問点や厚労省への改善要望などをお持ちよりいただき、意見交換をしながら理解を深める機会になればと思っています。
新入会の先生方をはじめ、多くの会員の皆様にご参加いただければ幸いです。
★現在、秋以降の「赤本勉強会 in 能登」開催に向けて、日時・会場等の調整を行っています。企画の具体化ができ次第、『石川県保険医新聞』、保険医協会ホームページ等でご案内します。
参考に
2024年歯科新点数検討会
kojima-dental-office.net/20240426-7270
赤本勉強会2022
kojima-dental-office.net/20220904-6444
赤本勉強会2024
ママとこどものはいしゃさん 内灘院
小島歯科医院 名誉医院長 小島登
担当範囲
4章 検査、画像診断、投薬、麻酔
5章 処置、リハビリテーション
6章 手術
7章 歯周治療
A.注意すべき変更点
B.症例
A.注意すべき変更点
4章 検査、画像診断、投薬、麻酔
1.歯科用3次元エックス線断層撮影の対象の明確化(2022年の改定)
・複雑な解剖学的根管形態等を確認する特段の必要性が認められる場合
pul、perでも算定可
2.麻酔
①生活歯髄切断と抜髄を行う際に使用した麻酔の薬剤料が算定できるようになった
3.処方箋料
①ジェネリックと先発品との差額徴収
2024年10月から長期収載品が、一定条件に当てはまる場合は選定療養の対象となり、価格差の4分の1を患者負担となる。子ども医療費助成制度等の公費負担は、保険給付分の窓口負担金に対する助成であるため、保険給付外となる今回の差額徴収分は助成対象外となり、自費扱いとなる。消費税もかかる。無料になれた患者さんとトラブルになることが懸念される。ただし、選定療養にならないようにするには、処方箋に「後発品への変更不可」とし、レセプトの適応欄に理由を記載する必要がある。
石川保険医新聞8月号
「対象医薬品リストについて」
www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html
鎮痛剤や抗菌剤が含まれている。今後増えていく。
ボルタレン錠25mg、ロキソニン細粒10%
ジスロマック錠250mg、ジスロマック細粒小児用10%、ミノマイシンカプセル100mg、クラビット錠500mg、クラビット細粒10%など
「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について 令和6年7月12日
www.mhlw.go.jp/content/12400000/001275316.pdf
後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について 省令・告示
www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html
66ページ
長期収載品について、医療上の必要性があるため「変更不可」欄に「レ」又は「×」を記載して、医療上の必要がある等により、選定療養の対象とならない場合は理由を選んでレセプトの「摘要」欄に記載する
173ページ 別表Ⅰ
・長期収載品と後発医薬品で薬事上承認された効能・効果に差異があるため
・患者が後発医薬品を使用した際、副作用や、他の医薬品との飲み合わせによる相互作用、長期収載品との間で治療効果に差異があったため
・学会が作成しているガイドラインにおいて、長期収載品を使用している患者について後発医薬品へ切り替えないことが推奨されているため
・剤形上の違いにより、長期収載品を処方等の必要があるため
・後発医薬品の在庫状況等を踏まえ後発医薬品を提供することが困難なため
5章 処置、リハビリテーション
1.加圧根充Ni-Tiロータリーファイル加算150点の要件緩和
・必須だった手術用顕微鏡が不要になった
・施設基準が外れ、届け出も不要
・歯科用3次元エックス線断層撮影装置を用いて根管治療を行った場合
・他院で撮影した歯CTの画像診断結果を用いた場合も算定できる
他院に対価を支払い、歯CTも算定できる
2.同一初診内の再度のシーラント
・歯管または特疾管を算定している患者
・6月を経過した日以降に咬耗や歯ぎしり等で再度必要になった場合に算定できる
3.外傷歯の保護を目的とした口腔内装置
・受傷から1年以内であり、暫間固定を行った18歳未満の患者
・受傷日を記載。
他院で処置が行われた場合は、その時の状況を聞き取り、カルテに記載する
・日常生活時と運動時の外傷歯保護のための装置をそれぞれ算定できる
4.歯科口腔リハビリテーション料3(1口腔につき)
①口腔機能の発達不全を有する18歳未満の患者の場合 50点 月2回
・小児口腔機能管理料または歯科疾患在宅療養管理料を算定する患者
・口腔機能の獲得を目的として、
管理計画に基づき療養上必要な指導及び訓練を行った場合
②口腔機能の低下を来している患者の場合 50点 月2回
・口腔機能管理料または歯科疾患在宅療養管理料を算定する患者
・口腔機能の回復又は維持を目的として、
管理計画に基づき療養上必要な指導及び訓練を行った場合
参考に 歯科衛生実地指導料 口腔機能指導加算10点
・口腔機能の発達不全を有する患者又は口腔機能の低下を認める患者
*小機能や口機能管理料を算定しなくても、病名があれば算定できる
チェックリストの3項目以下でも歯管対象であれば可
口腔機能発達不全症の管理(指導・訓練) 赤本122ページ
口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方(令和 6 年 3 月 日本歯科医学会)
www.jads.jp/assets/pdf/basic/r06/document-240402-2.pdf
【口唇閉鎖力】
・標準値を越えるまで口唇トレーニングを行い、口唇閉鎖力の増強・維持が確認できたら口唇トレーニングを終了する。
・受動的訓練として手指で口唇周囲をつまむ、つまんで押し上げたり、下げたりするなどで口輪筋の走行に対し垂直・水平方向へ筋肉を他動的に伸展・収縮させる。
【舌圧改善】
舌の口蓋への押し当てる力を向上させる下記の訓練をする。
・器具(ペコぱんだ、あげろーくん等)を使う。
・口腔筋機能療法 MFTを行う。
・ガムトレーニング:ガムを丸めてスポットに押し付けるトレーニングを行う
【咀嚼機能】
ステージ4以降は主に下記の対応を行う。
・咀嚼時の口唇閉鎖不全がある場合は、口頭での指示を行い、口腔周囲筋の訓練を行う。
・咀嚼時の舌運動不全がある場合は、口腔筋機能療法(MFT)を行う。
【嚥下機能】
・ステージ 2以降を対象として、摂取している食品を用いて成人嚥下を獲得するための嚥下訓練を行う。
【構音機能】
・吸指癖・舌突出癖などの習癖が認められた場合は、筋機能訓練などの習癖除去法を指導する。
口腔機能低下症の症状と管理方法の例 赤本122ページ
【栄養状態】
・摂取可能食品,摂取食品の多様性の評価・指導
・食事内容や食形態の評価・指導
・お食事手帳や食事記録アプリを活用した食事指導
【口腔衛生状態不良】
・舌ブラシ等を用いた舌の清掃指導
【口腔乾燥】
・唾液腺マッサージ
・口腔体操
・含嗽・口腔保湿剤の指導
【口唇の運動機能の低下】
・「パ」の繰り返し発音訓練
・口唇の運動訓練(口角牽引,口唇突出など)
・吹き戻し(ピロピロ笛)を用いた訓練
・無意味音音節連鎖訓練
【口唇の筋力の低下】
・抵抗訓練(りっぷるとれーなー(松⾵)・ボタンプル訓練など)
・頬のふくらまし訓練
【舌の運動機能の低下】
・可動域訓練
・舌の運動訓練(前⽅や左右への突出運動など)
・構音訓練 無意味音音節連鎖訓練 早口言葉
・「タ」,「カ」の繰り返し発音訓練
【舌の筋⼒の低下】
・抵抗訓練(ペコぱんだ(ジェイ・エム・エス)など)
・舌圧測定器を用いた訓練
【咬合力・咀嚼機能の低下】
・チューイングガムやグミゼリーなどを用いた咀嚼トレーニング
・咀嚼回数の増加等の咀嚼指導
・歯ごたえのある食事の摂取等の食事指導
・摂取食品多様性の増加の指導
【嚥下機能の低下】
・嚥下体操 開口訓練 頭部挙上訓練 嚥下おでこ体操
・嚥下の間接(食物をもちいない)訓練
・嚥下の直接(食物をもちいる)訓練
7章 歯周治療
1.P重防への移行
・SPT開始後、再評価のための歯周検査の結果が4mm未満になった場合、
SPT実施月から3ヶ月目以降にP重防を算定する。*指導時にご注意
口管強加算+120点算定できなくなる
・口管強の届け出医療機関は、SPT実施月の翌月からでもP重防を毎月算定できる。
2.歯周病処置
・「歯周ポケット内に特定薬剤を注入する場合」から「使用する場合」に変更され、
テトラサイクリン・プレステロン歯科用軟膏やヒノポロン口腔用軟膏など使用可能 3.P重防とエナメル質初期う蝕管理料を算定する場合
エナメル質初期う蝕管理をしている場合は、歯清を2ヶ月に1回(口管強の届け出医療機関は毎月)算定できるが、P重防も合わさると、包括されているため算定できなくなる。これまでは、P重防もかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所のエナメル質初期う蝕管理加算も歯清が包括されていたが、今回の改正で、歯清が、P重防では包括され、エナメル質初期う蝕管理料では包括されすなくなったので、食い違いが生じるようになった。両方とも包括するか、両方とも切り離すか、どちらかに統一しないと矛盾が生じる。
B.症例
5章 処置、リハビリテーション
①感染根管処置、Ni-Tiロータリーファイル 123ページ
・破折ファイル片除去時に歯CTを算定しもいいかなと思う
・Ni-Tiロータリーファイルは、根充時ではなく、実際に使用する根管拡大・形成時に算定できるようにしてほしい。
②外傷歯の保護を目的とした口腔内装置 128ページ
・受傷日を必ず記載する
・受傷から1年以内であり、暫間固定を行った18歳未満の患者
・日常生活時と運動時の外傷歯保護のための装置をそれぞれ算定できる
7章 歯周治療
①混合歯列期の歯周治療(5歳) 157ページ
・初診月にP混検を算定し、次回来院時にスケーリング予定部位の乳歯が脱落して永久歯が萌出している場合はどのように算定していますか
また、次回の検査時に永久歯が萌出して歯式が変更になった場合もどうしていますか
②P重防 158ページ
・レセコンを過信すべきではない
例えば自院で使用しているミックの場合
3ヶ月後の予約が、たまたま9月末になってしまい、P重防が算定できず、
うっかり基本検査と歯清をポチッと押してしまい
レセプトチェックに引っかからず請求してしまうと
10月以降、P重防も基本検査も算定できず、にっちもさっちもいかなくなる
厚労省への改善要望【案】
医療保険
1. 1. フッ化物洗口加算
今回の改定で、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所のエナメル質初期う蝕管理加算260点が削除された。名称変更となった小児口腔機能管理料の注3に規定する施設基準では、これまで包括されていたフッ化物歯面塗布処置(F局)や機械的歯面清掃(歯清)が独立し算定できるようになったが、フッ化物洗口加算のみが復活せず、闇に葬られた。さらに、施設基準の届け出のない診療所にも拡大する絶好のチャンスも失った。フッ化物洗口加算の対象者がう蝕多発傾向者のみに逆戻りし、う蝕予防効果の高い方法を保険診療から遠ざけることになった。
2. P重防とエナメル質初期う蝕管理料を算定する場合
エナメル質初期う蝕管理をしている場合は、歯清を2ヶ月に1回(口管強の届け出医療機関は毎月)算定できるが、P重防も合わさると、包括されているため算定できなくなる。これまでは、P重防もかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所のエナメル質初期う蝕管理加算も歯清が包括されていたが、今回の改正で、歯清が、P重防では包括され、エナメル質初期う蝕管理料では包括されすなくなったので、食い違いが生じるようになった。両方とも包括するか、両方とも切り離すか、どちらかに統一しないと矛盾が生じる。
3.混合歯列期において、検査やスケーリングの算定対象部位が永久歯のみに限定されている。乳歯も同じように扱われるべきではないか。
4.補管の対象と対象外について
・3/4冠、4/5冠、FMC、前装MCの単冠が補管の対象外になった。
・全てのブリッジ、非金属冠、チタン冠、前装チタン冠、CAD/CAMは対象のままとした。
*金パラからチタンへの誘導、患者さん第一に考えるのではなく、経済を優先させた。
5.コンビネーションインレーにおいて
金属インレーの場合は、充形128点+充填+印象+咬合となり、
CAD/CAMインレーの場合は、修形120点+印象+咬合+充填となっている。
はて?
6.歯科技工士連携加算1,2
前装MC、前装Tic、前歯部の歯CAD製作にあたって、印象採得を行う際に、色調採得や口腔内の確認を連携したときに、単冠では算定できるが、6歯を超えない前歯部ブリッジでは算定できない。矛盾を感じる。
また、赤本195ページに、6歯以上のブリッジでは色調は歯科技工士連携加算に含まれ別に算定できないとあるが、『2024 年改定の要点と解説』(紫本)にも『歯科保険診療の研究』(赤本)本文にもそのような記載はない。
介護保険との給付調整
1.訪問歯科衛生指導料
終末期の悪性腫瘍などで緩和ケアを受けている患者の場合は医療保険では月8回になったが、より必要とする居宅の介護保険では居宅療養管理指導費を月6回と少なくした。
2.口腔衛生管理加算(施設が算定する)の矛盾
歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、入所者に対し、口腔ケアを月2回以上行い、介護職員に対し口腔ケアについて技術的助言及び指導を行う。通常月4回または月1回が多い。
本加算は、医療保険において歯科訪問診療料が算定された日に属する月であっても算定できるが、訪問歯科衛生指導料が算定された日に属する月においては訪問歯科衛生指導料が3回以上された場合には算定できない。
- カテゴリー: 保険診療