オンライン赤本勉強会2020
2020年07月16日(木)
16日(木)午後7時半からズームによる石川県保険医協会主催「保険診療に詳しくなるための勉強会」が開催された。能登や小松方面など日頃見かけない先生方を含め、15名の参加があった。
パワーポイントデータを共有しながら、テーマを絞って1時間ほど解説した。休憩後、質疑応答となり、活発な意見交換ができた。心配していたトラブルもなく素晴らしい会となった。最後に皆さんから感想やご意見をいただいた。新たな形も好評であり、今後の幅広いニーズが感じられた。
赤本勉強会2018
kojima-dental-office.net/20180721-4227
歯科診療報酬改定のまとめ 2020年
kojima-dental-office.net/20200321-4824
令和3年度における指導監査等について
www.okinawa.med.or.jp/html/kaigo_iryo/iryo/pdf/r030130-2i.pdf
テキスト
①『歯科保険診療の研究2020 年4 月版』(赤本)
②『2020 年改定の要点と解説』(紫本)
参考に
歯科保険診療便覧 2018年度(茶本)
医療法・点数表等 改定のポイント 2007年4月
医療安全管理対策の基礎知識 (2019年6月改訂版)
レジュメ
テーマ
A.歯周病重症化予防治療(P重防)
B.口腔機能発達不全症
C.口腔機能低下症
D.医療法の再確認と院内感染防止対策
E.事前質問
A.(新)歯周病重症化予防治療(P重防)
日本歯科医学会発信の基本的な考え方 3月30日
www.jads.jp/basic/index.html
「歯周病の治療に関する基本的な考え方」
1歯以上10歯未満 150点
10歯以上20歯未満 200点
20歯以上 300点
a.基本事項 赤本146ページ 紫本76ページ
1.対象患者
・歯管を算定している
特疾管(歯周病に関する治療計画を含む)または歯在管
・2回目以降の歯周病組織検査で、歯周ポケットが4ミリメートル未満
*P混検では認められない
*乳歯列もP重防の対象とすべきではないか
・部分的に歯肉に限局する炎症症状を認める状態
又はプロービング時の出血が見られる状態
2.算定原則
・1口腔につき月1回算定する。
・3ヶ月に1回
3.算定要件
・歯周病検査結果の要点や治療方針などについて管理計画書を作成する
・その文書を患者に提供し、写しをカルテに添付
4.算定開始後の取り扱い
・歯周病検査で4mm以上のポケットを認めた場合は、
P重防を一旦解除して歯周基本治療が算定できる
・3ヶ月に1回、SPTとP重防は歯周病検査をした上で双方向に移行できる
*SRP等を以前に算定していれば、P重防からSPTへ移行できるが、
スケーリング止まりであれば、
P重防を一旦解除して歯周基本治療をすることになる。
b.検討事項
1.混合歯列期における歯周病検査をどうするか
P混検80点 P基検 1~9歯50点 10~19歯110点 20歯以上200点
・永久歯が10歯以上あれば、P基検を算定すべきか
*そもそも乳歯も検査、染め出し、スケーリングしているのに
検査歯数が永久歯に限定していることに疑問を感じる
2.症例検討 赤本156ページ
パノラマX-Ray算定はPとの鑑別診断のため
(骨吸収を認めずで確認)
病名は「単G、Pの疑い」か?
B.口腔機能発達不全症
日本歯科医学会発信の基本的な考え方 3月30日
www.jads.jp/basic/index.html
「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」
(新) 小児口腔機能管理料 100点
a.改正点 赤本27ページ 紫本39ページ
1.歯管の加算から独立した
・歯管と同日でなくても算定できる。
けれども歯管(特疾管)の算定は必要
・歯管の文書料が算定できるようになる
2.対象者が離乳完了前と後の2区分となった 赤本27,28ページ
・離乳完了前のチェックリストが追加になった
3.口腔機能発達不全症の評価基準が明確化
・それぞれの区分で必須項目が明らかに
離乳完了前では食べる機能に、離乳完了後では咀嚼機能に1項目が必要
・食べる・話すの項目を合わせて2項目以上あれば、
口腔機能発達不全症として歯管が算定できる
・上記の2項目を含めて3項目以上あれば、小児口腔機能管理料が算定できる
4.準備する記録用紙 赤本254~256ページ
・指導・管理記録簿(離乳完了前)
・指導・管理記録簿(離乳完了後)
・指導・管理記録
5.(新) 小児口唇閉鎖力検査(1回につき) 100点
・年齢、性別に応じた平均値を参考にする
・疑い病名でも算定可。
・3月に1回に限り算定
・口唇閉鎖力の平均値は
「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」を参照
b.検討事項
1.症例検討 赤本42ページ
・F洗は歯管の加算なので同日、小機能は独立したので異日でも可
・チェックシートを使い評価基準にて小機能を確定し、
管理計画を立てる(赤本45ページ)
2.どのような指導や訓練をするのか
・「お口の機能を育てましょう」を活用する
①離乳完了(1歳頃)前の対応
哺乳時の姿勢
口唇閉鎖の獲得
一口量の学習と手づかみ食べ
②離乳完了(1歳頃)後の対応
正しい姿勢で椅子に座る(踵を床にしっかりつける)
食べ物を飲み物で流し込まない
虫歯を治して、よく噛む習慣を身につける
(様々な形の食材を前歯で噛みきり、奥歯ですりつぶす)
舌打ちなどで舌を持ち上げる
口唇を閉じて食べ物を取り込み、飲み込む
鼻呼吸
C.口腔機能低下症
日本歯科医学会発信の基本的な考え方 3月30日
www.jads.jp/basic/index.html
「口腔機能低下症に関する基本的な考え方」
(新) 口腔機能管理料 100点
a.改正点 赤本28、84ページ、紫本41ページ
1.歯管の加算から独立した
・歯管と同日でなくても算定できる。
けれども歯管(特疾管)の算定は必要
・歯管の文書料が算定できるようになる
2.舌圧検査の算定頻度が6月に1回→3月に1回に変更
b.基本事項
1.対象患者
・65歳以上の口腔機能低下を認める患者
*65歳未満でも
脳卒中やパーキンソン病など全身的な疾患があれば可
(レセプト摘要欄に疾患名を記載)
・歯管の対象は、評価項目7項目のうち3項目以上
(検査がなくても可)
*無歯顎でも病名は口腔機能低下症であり、歯管を算定できる
・口腔機能管理料の対象は、評価項目7項目のうち3項目以上であり
咀嚼能力検査、咬合圧検査、舌圧検査のうち1つを算定していること
(前2つは施設基準あり)
EAT-10
www.maff.go.jp/j/shokusan/seizo/kaigo/pdf/eat-10.pdf#search=%27EAT+10%27
2.算定要件
・口腔機能の評価及び管理計画を策定・説明し、
指導・管理についての記録を文書で作成
3.準備する記録用紙 赤本257~259ページ
・口腔機能精密検査
・口腔機能・管理計画書
・口腔機能・管理指導記録簿
c.検討事項
1.咀嚼能力検査
①口腔機能低下症の診断を目的として行った場合に算定
継続的な口腔機能管理を行っている場合は6ヶ月に1回
②有床義歯新製の場合は、装着前に1回、
装着日以降月に1回(装着月から6ヶ月以内)
・対象は義管困難な場合と
左右第2大臼歯を含む臼歯が4歯以上欠損している場合
(智歯は含まない)
2.症例検討 赤本215ページ
・T.コンデと歯リハは同月でも算定できる。
ただしその月義管は算定できない
歯リハを算定していなければ義管を算定できる
・咀嚼能力検査の活用
グルコース溶出量100mg/dl未満を咀嚼機能低下とする
3.口腔機能の低下を認める在宅療養患者には算定できない
赤本56ページ
・歯在管を算定した月は口機能は算定できない
・咀嚼能力検査等は算定できる
*在宅への考え方に矛盾を感じる
D.医療法の再確認と院内感染防止対策
初診料、再診料の増点 赤本15ページ 紫本31ページ
*「初診料の注1に係わる施設基準」の見直し
・職員研修の実施が追加
医療法に規定される医療安全管理における院内感染防止対策
・7月に地方厚生局へ報告
・常勤歯科医師が4年に1回以上義務づけられていた
院内感染防止対策に係わる院外研修会の報告が4年ごとに届出になっていたが、
年に1回の7月報告になった。研修の修了証の添付は不要になった。
a.医療法の基礎知識
1.日本の医療保障制度体系
医療提供体制の整備を前提に、医療サービスの保障がなされている
①医療提供体制 都道府県の医療対策課、保健所が管轄 立入検査
医療機関や医療従事者の質の確保のために公的関与を行っている
・医療機関に対する公的関与→医療法
・医療従事者に対する公的関与→歯科医師法、歯科衛生士法
②医療サービスの保障 地方厚生局が管轄
・医療保険制度(健康保険、国民健康保険など)
・公費負担医療制度
b.医療法の変遷
1.2007年4月1日施行の改正
医療機関の管理者は医療の安全を確保するために
「指針等の策定」、「体制の確保」、「職員・従業員教育の実施」が義務づけされた
①医療安全
②院内感染対策
③医療品安全管理
④医療機器安全管理
2.2017年9月から
医療ガス(酸素など)を使用する医療機関は、
日常及び定期点検記録の2年間保存と
「医療ガスに係わる安全管理のための職員研修」が求められた
3.2020年4月から
エックス線装置等を備えている医療機関は
「診療用放射線に係わる安全管理」の実施が義務づけされた。
①医療放射線安全管理責任者の設置
②安全利用指針の策定(2019年6月号には未収載)
③放射線診療従事者への研修
④被爆線量の管理及び記録(比較的線量の大きな医療機器)
医療安全管理対策の基礎知識(2019年6月改訂版)83ページ参照
c.医療法で現在義務づけられているもの
1.全ての医療機関
①指針等の策定
・医療安全指針
・院内感染対策指針
・医療品業務手順書
・医療機器保守点検計画
当院では、下記のものも担当者を決めてパソコンデータで管理
・医療事故報告書
・ヒヤリハット報告書
・院内感染マニュアル
・医薬品管理簿
・新規導入医療機器記録表
・医療機器保守点検記録表
・医療機器修理記録表
②職員研修会の実施
医療安全管理と院内感染対策(2つ一緒でも可)の研修会は年に2回
・研修計画表
・研修実施記録
2.医療ガスを使用する医療機関
①医療ガス設置の保守点検指針の策定
②日常点検及び定期点検の記録(2年間保存)
③職員研修(年に1回)とその記録
3.エックス線装置等を備えている医療機関
①医療用放射線安全管理責任者(常勤歯科医師)の配置
②診療用放射線の安全利用のための指針(具体的事項は未定)を策定
③職員研修(年に1回)とその記録
E.事前質問
a.P重防を算定すると、再初診が算定しづらくなるか
変わりはない
歯周疾患による拘束はあるが、P重防による縛りはない
解説
1.2020年改定で「初診料を再度算定する場合の通則」が変更になった
紫本17ページ、32ページ 茶本8ページ
「推定される」が削除
歯管又は歯在管を算定している患者で、歯周疾患等の慢性疾患があり、
明らかに診療が継続している「と推定される」場合は初診料を再び算定できない
従来通りで変更なく、再診で行う。
*再初診が算定しにくい環境がつくられたが、
今まで通りで新たな事象は初診となる
2.初診料算定の原則
①患者の傷病について歯科医学的に初診といわれる診療行為があった場合に算定する
②患者が任意に診療を中止し1月以上経過した場合は、
同一病名又は同一症状であってもその際の診療は初診として取り扱う
③歯管又は歯在管を算定した場合は、
患者が任意に診療を中止した日から2ヶ月を超えていれば初診として取り扱う
④初診として取り扱わない場合(②③の例外規定)
イ 抜歯後印象採得まで1ヶ月以上経過している場合
ロ 歯周疾患等の慢性疾患である場合等であり、
明らかに同一の疾患又は負傷に係わる診療が継続している場合
b.P治療の流れについて
解説 赤本151ページ
1.歯周治療の基本的な流れ
①検査→処置→検査
②4mm以上の歯周ポケットがあり病状が安定していなければ再SRP
③FOp等の歯周外科へ進むとSPTへ一方通行
④上下のP重防は別物と考える
2.SPT
①病状が安定している4mm以上の歯周ポケットが認められる
②全顎4mm未満の歯周ポケットになればP重防となる
お知らせ「オンライン赤本勉強会2020」
保険診療に詳しくなるための勉強会
例年開催している『歯科保険診療の研究』と『2020 年改定の要点と解説』をテキストにした「赤本勉強会」について、今般の新型コロナウイルス感染症感染予防の観点から、今回は試行的にオンラインにて開催することとなりました。
今次改定の特徴的なポイント(口腔機能管理料評価の再編、歯周病重症化予防治療(P 重防)など)及び事前質問のテーマに絞って開催を予定しております。
新入会の先生方をはじめ、多くの会員の皆様にご参加いただければ幸いです。
日時:2020 年7 月16 日[木] 19:30~21:00
会場:オンライン会議システム「Zoom」で開催
講師:石川県保険医協会歯科部員
対象:石川県保険医協会会員
定員:先着20人
主催・お問い合わせ
石川県保険医協会
〒920-0902 金沢市尾張町2-8-23 太陽生命金沢ビル8 階
電話076-222-5373
E メールishikawa-hok@doc-net.or.jp
参加申込方法
①医療機関名【必須】、②参加者氏名【必須】、③事前質問をご入力のうえ、
メールもしくは協会ホームページの申込フォームからお申し込み下さい。
E メールの場合: ishikawa-hok@doc-net.or.jp まで。
申込フォームの場合:石川県保険医協会ホームページの【お問い合わせ】から。
もしくは、右記のQR コードを読み取ると直接お申し込みもできます
申込締切: 7 月6 日(月)※事前質問がある場合は6 月15 日(月)必着!
定員に達した場合、上記より前に締め切ります。お早めにお申し込みください。
テキストはこの2 冊!
当日は以下2 点のテキストをお手元にご用意下さい。
①『歯科保険診療の研究2020 年4 月版』(赤本)
(会員には4 月末に発送済み)
②『2020 年改定の要点と解説』(紫本)
(会員には3/25 に発送済み)
参考に
歯科保険診療便覧 2018年度(茶本)
医療法・点数表等 改定のポイント 2007年4月
医療安全管理対策の基礎知識 2019年6月
- カテゴリー: 保険診療