小島歯科医院 名誉院長ブログ

3.9.8.

2021年09月08日(水)


【1】島田淳「顎関節症の診かたと運動療法の実際」
【2】選定療養に導入すべき事例等に関する提案・意見募集の結果(速報)について
【3】中和抗体薬「ロナプリーブ」(カシリビマブ/イムデビマブ)について
【4】新型コロナウイルス感染陽性者の重症化リスク因子への対応等
【5】学校で新型コロナウイルスの感染が確認された場合の対応ガイドライン
【6】“ワクチン・検査パッケージ”の活用
【7】医療従事者である濃厚接触者に対する外出自粛要請の対応について
【8】動画コンテスト「選挙に行こう」を開催
【9】世界が尊敬する日本人100
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【1】島田淳「顎関節症の診かたと運動療法の実際」
(日本歯科医師会雑誌 令和3年8月号)

講演会「顎関節症の最新の考え方と治療法-世界標準的視点から-」
kojima-dental-office.net/20190929-4664#more-4664
 顎関節症は、自然経過の良好な疾患であり、初期治療として適切な対応を行えば、そのほとんどが早期に症状が改善することが分かってきた。よって顎関節症の初期治療においては、症状改善のための咬合調整、咬合再構成、歯科矯正、外科治療などの侵襲的で不可逆的な治療を選択するのではなく、良好な自然経過を促進するもの、保存的な可逆的治療を選択することが推奨される。日本顎関節学会では、ガイドラインの中で、顎関節症における初期治療として症状改善のための咬合調整をおこなわないことを推奨している。初期治療では、プロフェッショナルケアは良好な自然経過を助けるためのセルフケアを合わせて行うべきである。
 運動療法は、可動域の拡大や痛みに対して即時的な効果があり、患者から気持ちよかったと感想を得ることが多い。関節可動域運動の改善においては、組織の柔軟性・伸展性を向上させるストレッチングが最も重要である。それは、原則として静的な(反動を用いない)方法で行う。顎関節では下顎頭の滑走を意識して最大可動域まで動かす必要がある。
 参考に
 保団連北信越ブロックとしての厚労省交渉 2021
 2020年4月の保険改正で「顎関節症による急性クローズロックの解除、または慢性クローズロックによる開口制限の改善を目的に、 徒手的授動術を行った場合に、徒手的授動術 イ単独の場合 440点」が新設された。しかし、開閉口時に顎関節、咀嚼筋への痛みを訴える患者に実施する、運動療法(筋マッサージ・ストレッチや顎関節ストレッチ)に対する評価がなされていなかった。2021年6月の保団連北信越ブロックとしての厚労省交渉にて「運動療法」を新設してほしいと要求した。エビデンスを付けた日本歯科医学会からの要望を出してほしいとの回答を得た。
【2】選定療養に導入すべき事例等に関する提案・意見募集の結果(速報)について
(中医協資料 総 - 3 3.8. 2 5)
 選定療養に追加すべきものに関する提案・現行の選定療養の類型の見直しに関する意見の募集を行った。
【寄せられた意見】
歯科 :57 件
 ・プレオルソ
 ・「著しく歯科診療が困難な者」に対するトレーニング
 ・ノンクラスプデンチャー
 ・歯科口腔内デジタル印象
 ・口腔内スキャナーを用いた歯周検査時の歯垢染出し検査の代用導入
など
【3】中和抗体薬「ロナプリーブ」(カシリビマブ/イムデビマブ)について
www.mhlw.go.jp/content/10900000/000826605.pdf
(第50回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年9月1日))
www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00294.html
 参考に 抗体カクテル療法
kojima-dental-office.net/20210730-5596
 緊急事態宣言地域・まん延防止等重点措置地域を中心に、都道府県の選定した医療機関に一定数を事前配布済み。
※ 緊急事態宣言・まん延防止等重点措置地域以外からの地域についても意向に応じて事前配布。(計33都道府県)
 医療スタッフの体制を確保した宿泊療養施設等(臨時の医療施設化)においても投与を可能とし、東京都、茨城県、大阪府、福岡県、長崎県で開始済み。埼玉県で開始予定。
 投与後の観察体制の確保等の一定の要件を満たした医療機関による外来投与などについても取組を開始(8/25~)。
【4】新型コロナウイルス感染陽性者の重症化リスク因子への対応等
www.mhlw.go.jp/content/10900000/000823697.pdf
(第49回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年8月25日))
www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00294.html
※1 重症化リスク因子:慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、慢性腎臓病、悪性腫瘍、肥満、喫煙、免疫抑制(※2)
※2 臓器移植、免疫抑制剤、抗がん剤等の使用その他免疫機能低下のおそれ
【5】学校で新型コロナウイルスの感染が確認された場合の対応ガイドライン
(文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 令和3年8月 27 日)
www.mext.go.jp/content/20210827-mxt_kouhou02-000004520-1.pdf
<濃厚接触者等の候補の考え方>
 校内の濃厚接触者等の候補の範囲は、感染者の感染可能期間(発症2日前(無症状者の場合は、陽性確定に係る検体採取日の2日前)から退院又は療養解除の基準を満たすまでの期間)のうち当該感染者が入院、宿泊療養又は自宅療養を開始するまでの期間において以下の①又は②いずれかに該当する児童生徒等及び教職員とします。
①濃厚接触者の候補
・感染者と同居(寮等において感染者と同室の場合を含む)又は長時間の接触があった者
・適切な感染防護なしに感染者を介護していた者
・感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つば等)に直接触れた可能性の高い者(1メートル以内の距離で互いにマスクなしで会話が交わされた場合は、時間の長さを問わずに濃厚接触者に該当する場合がある)
・手で触れることの出来る距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策なし(※)で、感染者と 15 分以上の接触があった者(例えば、感染者と会話していた者)
※必要な感染予防策については、マスクを着用していたかのみならず、いわゆる鼻出しマスクや顎マスク等、マスクの着用が不適切な状態ではなかったかについても確認する。
②濃厚接触者周辺の検査対象となる者の候補
・感染者からの物理的な距離が近い、又は物理的な距離が離れていても接触頻度が高い者等(感染者と同一の学級の児童生徒等)
・大声を出す活動、呼気が激しくなるような運動を共にした者等(感染者と同一の部活動に所属する児童生徒等)
・感染者と食事の場や洗面浴室等の場を共有する生活を送っている者等(感染者と同一の寮で生活する児童生徒等)
・その他、感染対策が不十分な環境で感染者と接触した者等※学校において上記①②の候補の速やかな特定が困難な場合は、判明した感染者が 1 人でも、感染状況によっては、原則として当該感染者が属する学級等の全ての者を検査対象の候補とすることが考えられる。
【6】“ワクチン・検査パッケージ”の活用
ワクチン接種が進む中で日常生活はどのように変わり得るのか?
www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/taisakusuisin/bunkakai/dai7/vaccine_nichijou.pdf
(内閣官房 新型コロナウイルス感染症対策分科会 令和3年9月3日(金))
www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/taisakusuisin.html
 “ワクチン・検査パッケージ”はワクチン接種歴及びPCR等の検査結果を基に、個人が他者に二次感染させるリスクが低いことを示す仕組みである。しかし、検査の陰性やワクチン接種歴は他者に二次感染をさせないことや自らが感染しないことの完全な保証にはならない。
【基本的な考え方】
・“ワクチン・検査パッケージ”を適用したとしても、マスク着用などの基本的な感染対策を当分継続しつつ、行動制限の緩和は段階的に状況に応じて進めること。
・感染リスクが高い場面・活動やクラスターが発生した際の重症者の発生や地理的なインパクトが大きい場面・活動に適用すべきこと。
・国や自治体が利用する場合には、事業者などの意見も聞いた上で適用すること。
・イベントなどでの適用にあたっては技術実証も活用すること。
留意点
〇“ワクチンパスポート”という言葉が海外渡航に関して使用されているが、国内でこの言葉を用いると、“パスポート”という言葉がそれを保持しない人が社会活動に参加できないことを想起させ、社会の分断に繋がる懸念がある。したがって、国内では“ワクチンパスポート”という言葉は使用すべきではないと考える。
〇また、ワクチン接種歴等の利用にあたっては、個人情報の保護に注意した議論が必要である。
【7】医療従事者である濃厚接触者に対する外出自粛要請の対応について
www.mhlw.go.jp/content/000819920.pdf
(第48回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年8月18日))
www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00294.html
 東京都をはじめ感染者が急増している地域において医療提供体制を確保するため、誰もが症状に応じて必要な医療が受けられるようにするための緊急的な対応として、医療従事者について、家庭内感染等により濃厚接触者となった場合、下記の要件及び注意事項を満たす限りにおいて、医療に従事することは不要不急の外出に当たらない。
【要件】
○他の医療従事者による代替が困難な医療従事者であること。
○新型コロナウイルスワクチンを2回接種済みで、2回目の接種後 14 日間経過した後に、新型コロナウイルス感染症患者と濃厚接触があり、濃厚接触者と認定された者であること。
○無症状であり、毎日業務前に核酸検出検査又は抗原定量検査(やむを得ない場合は、抗原定性検査キット2)により検査を行い陰性が確認されていること。
〇濃厚接触者である当該医療従事者の業務を、所属の管理者が了解していること。
【注意事項】
○他の医療従事者による代替が困難な医療従事者に限る運用を徹底すること。
【8】動画コンテスト「選挙に行こう」を開催
compe.sterfield.jp/hodanren/
(全国保険医団体連合会)
 国政選挙・地方選挙投票率の低迷が続く中、医科・歯科医10万7千人の会員を擁する全国保険医団体連合会(東京都渋谷区、会長 住江 憲勇)は、多くの国民に選挙への関心を喚起し投票を促すことを目的に、動画コンテスト「選挙に行こう」を開催します。
(出口治明著「自分の頭で考える日本の論点 3」)
kojima-dental-office.net/blog/20210207-14608#more-14608
論点21  民主主義は優れた制度か
 d.民主主義を機能させるためには投票率を上げることが必要
 どんな社会にも、現状の政治システムから利益を得ている既得権益層が2割ぐらい存在する。制度上優遇を受けたり補助金をもらったりしている人たちは、政権与党の後援会を組成する。
 日本では、国政選挙の投票率は5割前後だから、仮に有権者が100人いたとすると、後援会が推す候補者を当選させようとすれば、後援会20人以外に5票獲得すれば過半数となる。後援会組織を持たない新人は5倍の25票獲得しなければ当選できない。だから新しい血が政界に入りにくい。
 一方、投票率8割のヨーロッパでは、後援会が推す候補でも過半数40票までに20票上積みしなければならない。後援会なしの立候補者も40票だが、その差が2倍となり、当選の可能性が高くなる。G7で世襲政治家が5割を超えている国は日本だけで、他の国は1割にも満たない。
■コンテストの開催趣旨
 選挙というと話題になるのが投票率。国内の選挙投票率は低下傾向で、一昨年(2019年)の参議院選挙は48.8%とついに5割を割り込みました。2021年7月に行われた都議選の投票率は42.39%で、過去2番目の低さとなっています。このことは、国民の半数以上の思い、願いが政治に反映されていないということを示しています。
 昨年来のコロナ禍で、検査体制の脆弱さ、病床の不足や医療従事者の疲弊など「医療崩壊」と言われる事態が起きています。私たちは、こうした問題の一つ一つが、これまで医療や社会保障を抑制してきたことで起きた矛盾だと考えています。
 選挙は、これからの日本の医療と社会保障をどう立て直すのかを決める絶好の機会です。このことに多くの人に関心を持ってもらい、投票に行っていただきたいと思っています。
そこで、私たちは、「選挙に行こう」をテーマにしたインパクトのある動画作品を募集し、一般に公開していくこととしました。
 内容や表現方法に条件や制約はありません。自由な発想、自由な表現で、投票へのモチベーションアップにつながる作品をお待ちしています。
   賞
グランプリ  1本 30万円
準グランプリ 2本 10万円
佳作     10本 3万円
【9】世界が尊敬する日本人100
(雑誌『ニューズウィーク日本版』 2021年8月17日号)
www.newsweekjapan.jp/magazine/338212.php
 免疫学者から歌舞伎役者、ユーチューバーまで世界が認めた日本の天才・異才・鬼才100人
Heroes & Icons 世界できらめく新時代のヒーローたち
 市川海老蔵(歌舞伎俳優)/吾峠呼世晴(漫画家)/松山英樹(プロゴルファー)/田根剛(建築家)/CHAI(ロックバンド)/猪子寿之(ウルトラテクノロジスト集団チームラボ代表)/BLACK(ヨーヨーパフォーマー)/竹内まりや(シンガーソングライター)
Artists & Entertainers 想像力とカリスマ性で限界を突破する
 リナ・サワヤマ(シンガーソングライター)/Fumiya(ユーチューバー)/東信(フラワーアーティスト)/杉野公彦(ラウンドワン代表取締役社長)/中原圭子(撮影監督)/志村けん(コメディアン)/菊野昌宏(独立時計師)
Challengers 新たな地平を拓く挑戦者たち
 ときど(プロゲーマー)/中村哲(ペシャワール会現地代表)/阿古智子(東京大学大学院教授)/小澤マリア(バー経営)/ジム・タニモト(元日系人収容所収容者)/ゴジラ(怪獣)/原昌宏(技術者〔デンソーウェーブ主席技師〕)/岩崎明子(免疫学者)/ヒカル・ナカムラ(チェスプレーヤー)
Rest of the Best 国境を超えて世界を動かす逸材たち
 安藤忠雄(建築家)/服部匡志(フリーランス眼科医)/川上未映子(作家)/ハム太郎(ハムスター)/三原慧悟(ユーチューバー)/大谷翔平(メジャーリーガー)/高田賢三(ファッションデザイナー)/ユウタ(Kポップアイドル)/濱口竜介(映画監督)/井上尚弥(プロボクサー)/杉良太郎(俳優)ほか

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