のぼるくんの世界

のぼる君の歯科知識

エッセイ

エッセイ

歯と口腔の健康づくり推進計画や食育推進計画に「口の働きを育てる」施策を

2025年08月10日(日)

 歯並びの叢生は、約50年前まではあまり見られなかったが、診療室で約30年前より永久歯に見られるようになり、約10年前より乳歯にも見られるようになってきた。3歳児健診でも、下顎の乳前歯で叢生が見られるようになった。
 2022年10月11日公表した厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会 歯科口腔保健の推進に関する専門委員会の報告書によると、歯科口腔保健の推進に関する基本的事項19項目の中で、唯一悪化しているのは「3歳児の不正咬合」であった。この原因は、添い乳と食姿勢や食べ方、鼻閉などによる口腔機能発達の仕方にあると推測され、それらを学ぶ機会が重要である。 続きを読む

お大事に

2006年04月15日(土)

 4月から新保険業法や電気用品安全法が施行されたが、国民の生活を良くするためになっているのだろうか。仲間の助け合いを長年続けていた共済を、無理矢理に営利目的の保険と同じ取り扱いにして、存続できないように規制した。そのため、国民は、将来設計の変更を余儀なくされ、不安が増すばかりである。また、メーカーが古い製品の責任が持てないとのことで、学生街にあるリサイクルショップでの、卒業生と新入生の中古家電製品の売買を規制した。そのため、学生の利便性が失われ、粗大ゴミも増えていく。 続きを読む

マイナンバーカードを「任意」のままで、事実上の「強制」に

2024年11月05日(火)

 現行、「マイナンバー」は強制、「マイナンバーカード」の取得は任意だ。マイナンバーは、国民の情報を一元的に管理することができない仕組みで、それぞれの行政機関が個人情報を分散して管理している。また、役所での業務や、電子申告時の国税庁への申請といった、限られた場所でしか使われない。しかも、政府が全力を挙げてがっちりガードしているので、もし情報漏れが起きたら、政府が全責任を負う。
 しかし、マイナンバーカードは、ハンコに例えるなら実印と認印を混在させた摩訶不思議な物になっている。いろんな用途に拡大しやすくするためにセキュリティをゆるく設計されている。マイナンバーカードは、リスクも分かった上で、自己責任で取得したのだから、情報漏れなどのトラブルについて政府は責任を負わない。 続きを読む

医師や歯科医師の働き方改革

2022年07月19日(火)

 2021年3月に「世界経済フォーラム」が、政治・経済・教育・健康の4項目で国内の男女格差を測る「ジェンダー・ギャップ指数」を発表した。日本は156カ国中120位であり、先進国では最下位、多くの新興国・途上国より低かった。政治分野で女性の進出が遅れていることが、日本の総合順位が低い最大の理由である。
 ジェンダー・ギャップ指数2021
www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2021/202105/202105_05.html
 妊娠・出産は「生物学的性差」に基づいている。ただし育児は女性だけではなく、男性にもできる。社会には今なお「育児はママの仕事」という意識が根強く残っている。「男性でもできるのに、女性しかできないとされていること」、逆に「女性もできるのに、男性しかできないとされていること」、このような思いこみや決めつけが「ジェンダー・ギャップ」を生む。 続きを読む

新型コロナウイルス感染症の1年

2020年12月25日(金)

  2月3日にダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に着岸し、検疫を実施した。翌日、乗客にSARS-CoV-2 RNAが検出され、乗客、乗員全員が船内隔離された。乗員1,068人, 乗客2,645人の計3,713人が搭乗していた。その後4月15日までに確定症例712例が確認され, 少なくとも14例の死亡が、また, その他に検疫官や船会社の医師ら外部から対策に入った9人の感染も確認された。乗員の中では食事担当スタッフ(5.7%)は他スタッフ(0.7%)に比べ累積罹患率が有意に高かった。3月1日にすべての乗客、乗員の下船が完了した。新型コロナウイルスが国民的な関心事となったのは3月からだった。4月7日に緊急事態宣言が出された。 続きを読む

近代医学は誤解と誤謬を是正しながら築き上げられている

2022年07月04日(月)

 新型コロナウイルスによる感染拡大が始まった当初、治療薬のない現実を考えると、おそらく世界中の感染拡大と戦っていた医療従事者の大部分が、感染拡大をなんとか最小限とするために、そして何より重症化や死亡を抑制するために、ワクチン接種推奨を共有していた。
 2020.3.18.新型コロナウイルス感染症
kojima-dental-office.net/20200219-4888 続きを読む

口腔機能発達不全症 対象を機能だけではなく形態も

2024年11月30日(土)

 約50年前まで歯並びの「叢生」はあまり見られなかった。しかし、約30年前から永久歯に見られるようになり、10年ほど前からは3歳児健診でも、下顎の乳前歯で叢生が見られるようになってきた。
 保険医協会では、2004年6月の「噛まない子」「噛めない子」の問題提起に始まり、2005年10月からは食育プロジェクトの活動を開始した。陰圧になりやすい飲み物用の狭い口から、いろんな物が食べやすい広い口へ移行せず、歯が内側に傾いたままで口の中も狭く歯がデコボコに生えている。これらの大部分は、乳幼児期の口腔機能発達不全と考えられる。咀嚼の発達は舌の動きと口唇閉鎖が基本となる。「何をどれだけ」食べるかという「栄養素栄養学」から、機能の発達のために「どのようにして」食べるかという視点を持つようになった。 続きを読む

余裕は無駄ではない

2020年06月22日(月)

 国は無駄を省いて医療費を削減し、経済効率・採算を考えた、現状に適合した最適な医療システムを構築しようとしてきた。例えば、全国の病院のベッド数を2025年までに最大で15%減らす目標を2015年に立てた。重症患者を集中治療する高度急性期の病床を13万床、通常の救急医療を担う急性期の病床を40万床、それぞれ3割ほど減らす方針。これに沿って、毎年病院は統廃合されて、病床は減ってきた。しかし、今回の新型コロナウイルスの大流行によって、このシステムが危機管理に対して極めて脆弱であったことが明らかになった。 続きを読む

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