のぼるくんの世界

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避難所運営 台湾、イタリア、日本との比較

2024年11月04日(月)


 災害関連死を防ぐために重要な“避難所環境”。ところが、日本では雑魚寝状態のところが多い。被災者の命と健康を守るための“避難所”はどうあるべきか。解決のヒントは、海外の避難所にある。
 日本とイタリアとの大きな違いは、避難所の運営主体が誰かということと避難所が標準化されているかいないかということ。避難所運営が、日本では被災自治体、イタリアでは被災者以外(国とボランティア)。
 日本では、内閣府の“避難所運営ガイドライン”はあるが、努力義務なので自治体間の格差がある。動ける人がいる避難所はなんとか運営ができているが、高齢者が多く、動ける人が少ないところでは機能せず、避難所ごとに差が出てしまう。
 イタリアの場合は、国際基準・スフィア基準があり、避難所の運営でルールや基準を守ることは国や基礎自治体の義務であり、守らない場合は法律で罰則がある。また、支援を受ける権利をみんなで保障しようとする考え方が国民に共通認識としてある。訓練を受けたボランティアが約30万人、12時間以内に被災地に向けて出発できるように、フェスなど普段から国や州・県・市と連携して動ける仕組みがある。
 防災について語り合おう。みんな無事を知らせる「黄色の布」を家の前に掲げる運動を広めたい。
 黄色いハンカチ作戦
www.city.minoh.lg.jp/bousai/sonae/jishin/kiiro.html

 参考に
 1.内閣府の“避難所運営ガイドライン”
www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/1604hinanjo_guideline.pdf
  ・避難所生活は住民が主体となって行うべきもの
  ・「スフィア・ハンドブック」は今後の我が国が参考にすべき国際基準
  ・「質の向上」を目指すことは、避難所運営のための支援・調整を担う市町村の責務
  ・避難所の運営をバックアップする体制の確立は、市町村の災害対応業務
  ・避難者の健康維持を支えるためには
    「医療・保健・福祉」の専門職能団体と顔の見える関係を構築
  ・チェックリストを活用し、市町村がマニュアルを策定

 2.“快適な避難所”の迅速な開設を目指して イタリアと台湾に学ぶ
 (NHK2024.10.31.)
www.nhk.or.jp/bousai/articles/32050/
 【台湾の避難所】
   ・地震発生後4時間で避難所を整備完了
     発生から1時間で市と各支援団体をつなぐSNSグループが立ち上がり、
       必要な物資の情報交換が始まる。
     2時間後にはテントを設置、
     3時間後には被災者を受け入れ、
     4時間後にはほとんどの設備が整っていた。
   ・ミッションのポジショニング化、支援を分担
     支援の内容が重ならないように得意分野に特化して支援活動を行う
 【イタリアの避難所には明確な基準がある】
    ・標準化された基準があり、それを実現するために法律を作り、仕組みを整えた
    ・役割分担が明確
      国が人とモノを整え、ボランティアが避難所の設置や運営を担う
    ・12時間以内に被災地に向けて出発できるように、
      ふだんから国や州・県・市が連携して動ける仕組み
    ・間隔を空けたベッドを設置したテント(最大6人が寝られる)
    ・テントやトイレなど必要な資材は、国が全国の拠点に整備
      トイレとシャワーが備え付けられたコンテナ(お湯も使える)
      停電や断水に備え、発電機や給水車も
    ・料理を作るのは、シェフなどの訓練を受けた人たち
      調理場のコンテナには、オーブンにスライサー、冷蔵庫まで備え付けられ、
      パスタをゆでる設備もある
  【イタリアの避難所運営は、「スフィア基準」】
    ・居住空間の広さ:一人あたりのスペースは最低3.5平方メートル
    ・トイレの数:20人に1基の割合で設置
      男性:女性 1:3
       トイレにかかる時間が、女性は男性の3倍必要になるから
    ・洗濯施設1か所につき100人
    ・入浴施設1か所につき50人
  【明日を守るナビ 台湾、イタリアに学ぶ】
www.nhk.jp/p/ashitanavi/ts/698KRW7VJW/episode/te/RJ717ZW8RQ/

 3.スフィア基準を分かりやすく解説!
  「避難所だから仕方がない」を変えるガイドライン
bousai.nishinippon.co.jp/729/
 スフィア基準とは、難民キャンプや避難所の『最低基準』を定めた国際基準
 【スフィア基準がかかげる2つの基本理念】(スフィアハンドブック 4頁)
   ①被災者は、尊厳ある生活を営む権利があり、支援を受ける権利がある
   ②災害による苦痛を減らすために、実行可能なあらゆる手段をとらなければならい
 【人道憲章がしめす被災者の3つの権利】(スフィアハンドブック29頁)
   ①尊厳ある生活への権利
     被災者の生存権や適切な生活水準への権利。
     日本の憲法25条1項に近い
     「すべての国民は、文化的で最低限度の生活を送る権利を有する」
   ②人道支援を受ける権利
     ①を達成するために必要不可欠な適切な生活水準への権利
     十分な食料と水や衣服、避難所や健康に必要な要素を含む
   ③保護と安全への権利
     避難所での生活が、だれにとっても安全でなければならない
 【被災者の権利を守るための4つの原則】(スフィアハンドブック 36頁)。  
     (権利保護の原則)
   ①人々の安全、尊厳、権利の保障を高め、人びとを危害にさらさない
   ②ニースに応じた支援を、差別なく受けられるようにする
   ③身体的または精神的な影響を受けた人々の回復を支援する
   ④みずからの権利を主張できるようにする
 【質の高い支援を提供するための9つの規範】(スフィアハンドブック 50頁)
      (人道支援の必須基準)
   ①人道支援は状況にあわせて適切に実施されている
     公正にニーズやリスクを把握する
   ②変化する状況にあった、効果的な人道支援がおこなわれている
     専門支援団体が介入するまでは、専門外の支援分野でも支援する
   ③人道支援が地域の対応力を高め、負の影響を未然に防いでいる
     支援に依存する危険性を避け、
      初期段階から段階的な引継ぎや支援終了に向けた計画を立てる
   ④人道支援は人びとの意見に基づいておこなわれる
     特にジェンダー、年齢、多様性を有する配慮が必要な人びとに、
     意見がだしやすいような環境をつくる
   ⑤苦情や要望を積極的に受入れ、適切な対応をしている
     性的搾取、虐待の防止に対する組織の誓約や、
     人道支援組織の職員に要求される行動やふるまいについて、
     人びとが十分に理解している
   ⑥人道支援は調整されており、相互補完的である
     人道支援は、自治体および国などを補完するものである
   ⑦人道支援従事者は継続的に学習し、改善している
     人道支援に関する学びや改善について、
     同じ分野で活動する関係者、団体間で共有できるよう努める
   ⑧職員は効率的に職務をおこなえるよう、自らもサポートを受けられる
     職員のスキルや能力の向上を支援する方針を整える
   ⑨資源は管理され、本来の目的のために責任を持って活用されている
     予算に対する支出をモニタリングし、報告する
 【命を守る4分野「給水・衛生」「食料」「避難所」「保健医療」】
   ①給水、衛生および衛生促進(※90頁) 
   ②食料安全保障と栄養(※158頁)
   ③避難所および避難先の居住地(※238頁)
   ④保健医療(※290頁)

 4.スフィアハンドブック 2018 人道憲章と人道支援における最低基準
jqan.info/wpJQ/wp-content/uploads/2019/10/spherehandbook2018_jpn_web.pdf
  2018年第4版は約400ページに及ぶ。
   目次
 スフィアとは ?………………………………………………………………………………………… 1
 人道憲章…………………………………………………………………………………………………..27
 権利保護の原則………………………………………………………………………………………..33
 人道支援の必須基準(CHS)…………………………………………………………………..49
 給水、衛生および衛生促進………………………………………………………………………89
 食料安全保障および栄養……………………………………………………………………….157
 避難所および避難先の居住地………………………………………………………………..237
 保健医療………………………………………………………………………………………………..289

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