口腔機能発達不全症 対象を機能だけではなく形態も
2024年11月30日(土)
約50年前まで歯並びの「叢生」はあまり見られなかった。しかし、約30年前から永久歯に見られるようになり、10年ほど前からは3歳児健診でも、下顎の乳前歯で叢生が見られるようになってきた。
保険医協会では、2004年6月の「噛まない子」「噛めない子」の問題提起に始まり、2005年10月からは食育プロジェクトの活動を開始した。陰圧になりやすい飲み物用の狭い口から、いろんな物が食べやすい広い口へ移行せず、歯が内側に傾いたままで口の中も狭く歯がデコボコに生えている。これらの大部分は、乳幼児期の口腔機能発達不全と考えられる。咀嚼の発達は舌の動きと口唇閉鎖が基本となる。「何をどれだけ」食べるかという「栄養素栄養学」から、機能の発達のために「どのようにして」食べるかという視点を持つようになった。
2018年4月の診療報酬改定によって、歯科疾患管理料に小児口腔機能管理加算が新設され、「噛まない」「飲み込みが下手」等の症状が「口腔機能発達不全症」として、歯科医院で指導訓練が可能になった。
2020年4月改定では歯科疾患管理料の加算から独立し、小児口腔機能管理料として再編されるとともに「小児口唇閉鎖力検査」が保険導入された。2022年4月改定では対象が15歳未満から18歳未満までに拡大。2024年6月改定では、施設基準の「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」が廃止となり、「口腔管理体制強化加算」へ改変。それに伴い、小児口腔機能の管理計画に基づく指導及び訓練は、小児口腔機能管理料から独立し、歯科口腔リハビリテーション3を算定することになった。
しかし、対象が口腔「機能」のみをターゲットとし、依然として「形態」に対しては全く触れられていない。正常な口腔機能の獲得・形態的な成長を促すためには、唾液量測定や咀嚼能率測定(咀嚼能率スコア法)などの口腔機能検査、そして診断に基づく適切な訓練や補助装置を用いた形態的な育成治療までを保険診療でできるように診療報酬上の改善をねばり強く求めていく。
3歳児の不正咬合が増えている 2023年10月17日
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「噛まない子」「噛めない子」 2004年06月15日
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小児口腔機能管理加算 2018年07月21日
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口腔機能発達不全症の訓練と治療を保険診療で 2020年03月04日
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