エッセイ
エッセイ
2022年04月30日(土)
4歳の男の子が急患で来院する。号泣していてよく分からないが、どこか歯が痛いらしい。付き添ってきた両親に話を聞こうとしたら、二人とも聴覚障害者だった。筆談で経過や様子を把握することになり、診断、治療、痛みからの解放にはかなりの時間を要した。手話通訳者が同行してくれたら良いのになあと思う。また、こんな話も聞く。「救急車で筆談を求められた。大量出血で意識がもうろうとしてできなかった。でも、手話通訳者が駆けつけてくれて、手話で会話ができて安心した」。 続きを読む
2017年12月22日(金)
次亜塩素酸ナトリウムの化学式を、大学生の頃「NaOCl」と習ったが、一般的には「NaClO」と表記していることに気が付いた。どうやら、歯科の世界ではNaOCl、一般的にはNaClOが使われているようだ。原子の並び順は、Na-O-Clとなっているが、化学の世界では、オキソ酸は中心元素を先に、酸素を後に書く決まりになっている。一般的な表記を受け入れ、これからも広い世界に目を向けて行きたいと思う。
2019年01月21日(月)
kojima-dental-office.net/20181213-4559
歯科技工士数は近年減少傾向にあり、特に若年者では著しい。歯科技工士学校の廃止や若い歯科技工士の離職率の高さが追い打ちをかけ、歯科技工士の高齢化が一段と進み、将来が危惧されている。国や厚生労働省は、長期展望に立った歯科技工士育成に力を注ぐべきである。一つの解決策に外国人歯科技工士の就労がある。しかし、留学生が日本の歯科技工士養成施設で学び国家試験に合格しても、外国人に対する歯科技工士の在留資格がないため、日本で歯科技工士として勤務できない。 続きを読む
2021年06月30日(水)
歯周疾患のため定期的に通院している患者さんが、医科大からの依頼により周術期管理もすることになった。周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)(手術前)280点を算定すると、それまで算定していた歯科疾患管理料100点と長期管理加算(か強診)120点、歯周病安定期治療(Ⅱ)(か強診)830点も算定できなくなる。次月には周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)(手術後)190点の算定となり、さらに減点となる。また、依頼されている入院前日や退院後に診療室で行う周術期等専門的口腔衛生処置92点も算定できないことになっている。 続きを読む
2016年11月15日(火)
歯冠修復物及び欠損補綴物を製作後、患者さんが理由なく来院しなくなった場合や患者さんの意思により治療を中止した場合に、装着予定日から起算して1月以上経過した時点で、歯科医院は保険者にその製作物の費用を未来院請求することができる。この製作物の保管期間は製作日から1年間となっている。 続きを読む
2020年06月22日(月)
国は無駄を省いて医療費を削減し、経済効率・採算を考えた、現状に適合した最適な医療システムを構築しようとしてきた。例えば、全国の病院のベッド数を2025年までに最大で15%減らす目標を2015年に立てた。重症患者を集中治療する高度急性期の病床を13万床、通常の救急医療を担う急性期の病床を40万床、それぞれ3割ほど減らす方針。これに沿って、毎年病院は統廃合されて、病床は減ってきた。しかし、今回の新型コロナウイルスの大流行によって、このシステムが危機管理に対して極めて脆弱であったことが明らかになった。 続きを読む
2024年07月16日(火)
医療器材の滅菌は大きく高温滅菌と低温滅菌に分類される。医療器材を滅菌するのにも最も安全かつ一般的な方法は高圧蒸気滅菌である。高温に耐えられない器材は低温滅菌(ガス滅菌)となる。
これまでプラスチック製品やゴム製品など熱に弱いものは、エチレンオキサイドガス滅菌、ホルマリンガス殺菌(滅菌では無い)を行っていたが、共に毒性が強く歯科医院での使用に際し不安があった。
低温過酸化水素ガスプラズマ滅菌は、将来のスタンダードになる。滅菌後に排出されるものが水と酸素であり、患者さんや働くスタッフにも優しい安全性の高い滅菌システムである。 続きを読む
2021年12月03日(金)
コロナの前であれば、今思えば何も考えずに楽しんでいた。気兼ねなく友と集まって、美味しいものを食べながら、わいわい楽しく他愛もない話をしたり、映画館や美術館へ自由に足を運んだり、ライブで感動したりしてした。わくわくスケージュールを立て、胸躍らせて旅に出かけていた。未知なる文明・文化、異民族や他宗教との関わり、自然や動物との共存、便利さではなくエコや歴史を重んじる理念にも触れてきた。そして何より、その土地ならではの食文化にも親しんだ。 続きを読む
2020年06月12日(金)
カード会社などの手数料(約3%)を考えると、現状では保険診療の窓口負担をキャッシュレス化することは困難である。また、ポイント付与に関する療養担当規則の問題もある。現金決済を維持しようとすると、どうしても必要となる釣り銭を準備しなければならない。今まで無料であった小銭への両替が有料になり、新たな負担が生じてきた。医療機関の窓口負担をキャッシュレスにするのであれば、カード会社への手数料をもっと下げる働きかけをすべき。同時に、窓口収入から目減りする手数料分を補填する仕組みを導入すべき。保険医協会として、保団連として何か対策の議論や運動をしなければならないと思う。 続きを読む
金パラ随時改定告示価格据え置きは理不尽(平成31年4月改定)
2019年05月22日(水)
歯科用金銀パラジウム合金(金パラ)が今年に入り高騰している。ほとんどの歯科医院は歯科材料店から金パラを30g単位で購入しているが、それが5万円を超え、消費税込みで6万円を超えたこともあった。市場価格と保険診療で定められた告示価格との乖離による逆ザヤが歯科医療を直撃している。 続きを読む