夕陽ヶ丘苑
2013年10月02日(水)
介護予防事業所における口腔ケア従事者育成事業
10月2日(水)午後1時から3時まで特別養護老人ホーム夕陽ヶ丘苑にて、基礎講習会「口腔ケアを考える」を行いました。看護師、介護士 17人の参加があり、熱心に聴講し、相互実習にも積極的に取り組んでいました。また、拒否される方や含嗽困難な方の対応、舌苔とカンジダ菌の見分け方、硬くなった舌苔を軟らかくする方法、義歯安定剤の使い方など現場からの多くの質問、相談がありました。
レジュメ
用意するもの
各自 歯ブラシ、コップ、ガーグルベースン、スプーン、手鏡、プリン
施設 パソコン、プロジェクター、スクリーン、水、バケツ
医院 パワーポイントデータ、レジュメ、
資料(お口の管理手帳、嚥下体操、唾液腺マッサージ、)
口腔ケアグッズ(タフトブラシ、アイスマッサージ、口角鈎
はじめに 口腔ケアとは
1.本人・家族・介助者の口腔清掃
うがい、歯磨き、義歯の清掃、粘膜・舌の清掃
2.歯科衛生士による専門的な口腔ケア
①治療的なクリーニング(器質的な口腔ケア)
②口腔機能回復(機能的口腔ケア)
リラクゼーション(脱感作)、口腔周囲筋の運動訓練、
咳嗽(せき払い)訓練、嚥下促進訓練、発音・構音訓練
【口腔ケアの効果】
1.誤嚥性肺炎のリスク回避
2.風邪・インフルエンザのリスク回避
3.食べる意欲の改善
4.栄養状態の改善
5.認知症予防
A.口腔内状態と口腔機能
【ポイント】
・プラークと食物残渣は違う。
前者は清掃の問題、後者はリハビリ。
・麻痺側、使わない方が汚れる
口から食べていない経管栄養の方が汚れる
食べなくても清掃する
・うがいができるかどうかは口腔ケアの難易度の大きな目安
・下唇がスイッチ、上唇が1回量
・胃ろうでも誤嚥性肺炎は起きる
唾液は呑みこんでいる
・舌を口唇より前に出せない人は、下の総義歯を使えない
・入れ歯の効果
上の入れ歯入れるだけ唾を呑み込みやすくなる
入れ歯を上下入れて奥歯がしっかり咬めると、
お腹に力が入り上体を起こしやすい
a.歯肉
1.歯肉炎Gingivitis=Gingivitis without attachment loss
歯肉に限局した炎症で発赤、腫脹が見られ、無痛に出血します。
歯肉炎は非特異的感染であり、プラークの増加が原因と考えられます。
2.歯周炎Periodontitis=Gingivitis with attachment loss
レントゲンにて歯槽骨吸収が見られます。
歯の支持組織の破壊を伴う歯周炎では
特異的な感染が見られます。
歯周病原菌
Porphyromonas gingivalis
Tannerella(Bacteroides)forsythensis
Treponema denticola
Prevotella intermedia
Aggregatibacter(Actinobacillus)actinomycetemcomitans
などが考えられています。
①腎疾患
②糖尿病
b.舌
・舌苔は積もった状態ではなく、が伸びてブドウ球菌が付着したもの
・ガンジダは抗真菌薬(フロリードゲル経口用を1日5グラム、
3回に分けて7から14日塗布)
・地図状舌 ストレス
・舌静脈
c.口臭
d.口腔乾燥
e.口腔機能
・舌打ち、舌による口蓋の海苔剥がしなど
・ぶくぶく、ごろごろのうがい
・パタカの発声やアウベ体操
・食事時の姿勢
B.相互実習 2人一組
目を閉じて、スプーンでプリンを食べさせてもらう
歯ブラシにて下7番舌側と上7番の遠心を磨いてもらう
上唇小帯の痛みを体験
C.日頃の口腔ケアを適切に行うポイント
a.本人(介護者)が行うセルフケア
・誤嚥させない
・口腔ケアはできるだけ痛くないように気持ちよく
・保湿が大切(特に口唇)オーラルバランス等を利用する
・前歯部は鋭敏なので奧から歯ブラシを当てる
b.ケアしやすい姿勢と高さ
・座位が取れる方はその姿勢で
・ベットの方は背中を30~60度ぐらい少しずつ上げ、
膝を軽く曲げ、身体が足元へずれていかないように工夫する
・全くの寝たきりの方で、ヘッドアップに危険性があり水平位で
行う場合は誤嚥に特に注意し、健側を下にする
・術者の腰に負担のかからないように高さを調整する
c.歯科医師、歯科衛生士が行う専門的口腔ケア
d.口腔ケアグッズ
口角鈎
e.口腔ケアに伴うリスクの管理
奧から手前への清掃が基本
誤嚥を防ぐために姿勢が大切。口の健常側を下にする
舌の観察 舌苔、地図状舌、舌下部静脈
誤嚥は始めに起こりやすいので、10分以上前から口腔ケアの体勢を整えておく
食後30分ほど座位を保つ 直ぐに寝かせない
D.口から食べる支援と口腔リハビリ
最後に 重点対象者の診察と個々の歯科治療や口腔ケア計画の立案
①お口のトラブルがある(歯が痛い、入れ歯が合わない)
②口臭や舌苔、歯肉からの出血がひどくなってきた
③食物残渣が増えてきた、口腔内に麻痺がある
④うがいができない、経管栄養の方
⑤微熱を繰り返す、むせがひどい、呑みこみづらくなる
⑥食欲がない、体重が減少してきた
⑦入所間もない方
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