小島歯科医院 名誉院長ブログ

シンポジウム「子どものスマホ依存を考える」

2023年10月28日(土)


ishikawahokeni.jp/sumaho2023/
 スマホ依存は表面に出ている症状であり、その背景にあるものは、本人自身の特性、本人と家族や学校との関係性など。安心安全ではないリアルから仮想空間への逃避。スマホを取り上げれば苦しみだけが残る。
 不登校・学校不適応・ひきこもりの結果として、スマホ依存になっている。「スマホ依存の結果として、日常生活に支障が出ること」は、実際にはほとんどない。
 不登校(年間30日以上)が、子どもが減っているのに増えている。
    ・小学生 20人に1人
    ・中学生 77人に1人
 朝起きようとすると、立ち上がれない起立性調節障害(OD)が、軽症例を含めると、小学生の約5%、中学生の約10%。約半数が不登校になる。怠けているわけではない。症状は午前中に強く、午後には軽減する。起きづらい朝でも横になっていればスマホは使用できる。スマホの長時間使用により睡眠が障害され、更に症状が悪化する。
 パネリスト

小児科医/中村 利美 氏(とどろき医院・医師)
精神科医/奥田 宏 氏(ひろメンタルクリニック院長)
小児科医/三上 真理子 氏(城北病院・小児科)
司会/井澤 朗(井沢内科医院院長、学校医)
 参考に
 樋口進氏講演会「ネット・ゲーム依存」 2022年3月6日(日)
kojima-dental-office.net/20220407-6252
 ネット・スマホ依存症教育 2019年12月12日
kojima-dental-office.net/20191212-4807
 依存症の勉強会 2019年9月26日
kojima-dental-office.net/20190926-4706

 帰りに ソンリッサへ。
kojima-dental-office.net/blog/20231029-17639#more-17639
メモ

 A.石川県こころの健康センター
www.pref.ishikawa.lg.jp/fukusi/kokoro-home/kokoro/top.html
 1.スマホ依存
 スマホ依存は表面に出ている症状であり、その背景にあるものは、本人自身の特性、本人と家族や学校との関係性など。スマホを取り上げれば苦しみだけが残る。
 2.スマホ依存は2次性
  不登校・学校不適応・ひきこもりの結果として、スマホ依存になっている。
  「スマホ依存の結果として、日常生活に支障が出ること」は、実際にはほとんどない。
  安心安全ではないリアルから仮想空間への逃避

 B. 精神科医/奥田 宏 氏(ひろメンタルクリニック院長)
 ・アンデシュ・ハンセン著「スマホ脳」
kojima-dental-office.net/blog/20220201-15327#more-15327
 脳のシステムは同じ速度で発達するわけではない。衝動に歯止めをかけ、報酬を先延ばしにできる前頭葉は、成熟するのが一番遅い。25~30歳になるまで完全に発達しない。
 ・荻野晃也著「健康を脅かす電磁波」
kojima-dental-office.net/blog/20211027-14968
 欧米では、「危険な可能性が高いのなら慎重に回避しようではないか」という「慎重なる回避思想」「予防原則思想」が広まっている。しかし、日本は、健康への悪影響が完全に確定しないかぎり、政府もマスコミも報道しない。それでは、「危険性が証明される」までは「安全だと宣伝している」ことになる。
 ・オンラインカジノ
www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/blog/bl/pkEldmVQ6R/bp/pnAJ5jkxpq/
 スマホを通じたさまざまなゲームに慣れ親しんだ世代が、境界なしにギャンブルに誘導されていく。35歳以下の比率が、ヨーロッパでは42%、それに対して日本は54%と高い。さらに1人当たりのギャンブルの負け金額が日本は高い傾向にある。ヨーロッパは若者にギャンブルをさせないとか、身元確認といった規制があることや、ライセンスを取る時に、上限の賭け金額なども規制をかけているところが多い。日本はある意味“野放し”。

 C.小児科医/中村 利美 氏(とどろき医院・医師)
 1.起立性調節障害(OD)
   ・思春期に好発する自律神経機能不全の一つ
   ・たちくらみ、失神、朝起き不良、倦怠感、動悸、頭痛などの症状を伴う
   ・症状は午前中に強く、午後には軽減する
  ①不登校 年間30日以上
    ・子どもが減っているのに増えている
    ・小学生 20人に1人
    ・中学生 77人に1人
  ②有病率
   ・軽症例を含めると、小学生の約5%、中学生の約10%
   ・重症は約1%
   ・ODの約半数が不登校
  ③スマホとOD
   ・起きづらい朝でも横になっていればスマホは使用できる
   ・不登校で家にいる時間が長いので、スマホの時間も長い 
   ・スマホの長時間使用により睡眠が障害され、更にOD症状を悪化させる
  ④サブタイプ
    (1)起立直後性低血圧(軽症型、重症型)
    (2)体位性頻脈症候群
    (3)血管迷走神経性失神
    (4)遷延性起立性低血圧

 2.スマホ依存は赤ちゃんの時から
 スマホに子守をさせないで(日本小児科医会)
www.jpa-web.org/dcms_media/other/smh_leaflet.pdf
   ・赤ちゃんと目と目を合わせ、語りかけることで、
     赤ちゃんの安心感と親子の愛着が生まれる。
   ・親子が同じものに向き合って過ごす絵本の読み聞かせは、
     親子がともに育つ大切な時間。
   ・散歩や外遊びなどで親と一緒に過ごすことは
     子どもの体力・運動能力そして五感や共感力を育む。
 参考に
 島根県保育協議会 令和3年度食育推進研修会レジュメ 4ページ
kojima-dental-office.net/20211211-6090
  b.口腔機能の獲得
  ①アイコンタクト(スキンシップと話しかけ)
 愛着障害
 子どもは生まれてから5歳ぐらいまでに、親や養育者との間に愛着を形成し、これによって得られた安心感や信頼感を足がかりにしながら、周囲の世界へと関心を広げ、認知力や豊かな感情を育んでいくという成長過程をたどる。子どもの未来を守るためにも、幼少期の親子関係をしっかり築くことが非常に重要。
 愛着障害とは、こころを落ち着けるために戻る場所がない状態。愛着障害がある子どもは、成人してからも健全な人間関係を結べない、達成感への喜びが低く、やる気や意欲も起きない。
  愛着障害と発達障害の違い
 愛着障害は発達の遅れ、特に認知や言語習得の遅れを併発するため、症状からだけでは発達障害と区別が付かない。発達障害の子は、成長とともに症状が落ち着く傾向にあるのに対し、愛着障害は、適切なケアを施さないと症状が改善されない。

 3.スマホ依存にならないために大人がすべきこと
   ①子どもの手本になる
    ・大人も子どもの前でスマホを利用しない
   ②子どもと向き合う
    ・子どもが自ら考えられるように
    ・スマホ利用のルールを決める

 4.子どもの話の聴き方
   ①一生懸命に聴く 能動的傾聴
    ・子どもの目を見て、遮らず、否定せず、頷きながら真剣に話を聴く
   ②気持ちの言葉を繰り返す 反復的傾聴
    ・「楽しかったんだね」「辛かったんだね」
     「その時どんな気持ちだった?」
   ③「話してくれてありがとう」
    ・話して良かった
   ④一緒に考える
    ・考える主体は子ども
    ・大人の考えを押しつけない
    ・行動の選択肢を提案する
 参考に
 歯科衛生士のためのヘルスカウンセリング
kojima-dental-office.net/blog/20210911-14907#more-14907
 ヘルスカウンセリングの基本姿勢
 観察、傾聴、確認、共感を常にとり続けなければならない。

 D.小児科医/三上 真理子 氏(城北病院・小児科)
 1.フィルタリング
it-trend.jp/filtering/article/442-0039
 主に未成年者の違法・有害なウェブサイトへのアクセスを制限し、安心してインターネットを利用できるよう手助けするサービス。
 2.治療の基本
 ・本人が自分の意思で行動を変えていくように援助する。継続的に我慢強く診ていく。
 3.予防対策
 ・使用開始を遅らせる
 ・使用時間を少なくさせる
 ・全く使用しない時間を作る
 ・家族の使用も減らす
 ・リアルの生活を豊かにする

シンポジウム「子どものスマホ依存を考える」
 金沢城の石垣に、「野面積(のづらづみ)」と「打込接(うちこみはぎ)」が会場から見える。遠くにお城も。
shirobito.jp/article/554
と き  2023年10月28日(土)16:30~18:30
ところ  KKRホテル金沢 鳳凰の間
対 象  医療・福祉関係職、学校関係職の方(定員100人)
参加費  無料 チラシ シンポジウム「子どものスマホ依存を考える」  
申込方法  参加申込フォームまたは FAX 用参加申込書によりお申し込みください。
主催 石川県保険医協会
 〒920-0853 石川県金沢市本町 2-11-7
   金沢フコク生命駅前ビル 7 階
 TEL 076-222-5373(平日 9:00~17:00)
 FAX 076-231-5156
後援 石川県、金沢市、金沢市教育委員会、石川県医師会、石川県歯科医師会、
石川県小児科医会、石川県医療ソーシャルワーカー協会、石川県社会福祉士会、
石川県精神保健福祉士会

開催にあたって
 スマホの世帯保有率は2019年に8割を超え、またコロナ禍においてオンライン授業の導入、外で遊ぶ機会の減少などにより、スマホの使用機会が急速に増えました。メリットも多くありますが、一方で、スマホ使用をやめたくてもやめられない、「スマホ依存」に陥った子どもたちがいます。
 ネットゲームでリアルな対人関係よりも、仮想空間で承認欲求が満され病みつきになるケース。SNS の普及により友人との交流が学校内だけでなく帰宅後も続き、いつでもどこでも返信・「いいね」の反応をしなければならない緊張状態となり、スマホを手放せなくなってしまうケース。結果、朝起きられない、友人とのトラブルなどの問題が深刻化しています。これまでの「依存」はアルコールや薬物など大人がなるものでしたが、スマホ依存は子どもたちもが陥ってしまいます。
 このシンポジウムでは、まず子どもたちの状況を共有し、学校現場の現状、どのように学校医や医療従事者が関わるかなど意見交換する場としたいと思います。

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