小島歯科医院 名誉院長ブログ

第5回食育講演会

2009年02月22日(日)


骨の劣成長をT4Kで治す
<第1部>
 成長発育と原因の除去に重点を置いた不正咬合治療への試み
  講師:福岡雅氏( 愛知県日進市aux歯科クリニック)
<第2部>
 歯科からすすめる食育
  ~口腔機能はハード・食べ物はソフト。お口を育てるのは歯科の仕事です!~
  講師:宮坂乙美氏

        第5回食育講演会のまとめ
                                           報告者  金沢市八日市
                                                                                                         ながと歯科小児歯科医院
                                            長門 佐
 2月22日(日)、金沢都ホテルにおいて【第1部】『成長発育と原因の除去に重点をおいた不正咬合治療への試み』、【第2部】『歯科からすすめる食育~口腔機能はハード・食べ物はソフト。お口を育てるのは歯科の仕事です!~』をテーマに、愛知県日進市開業・歯科医師/福岡雅先生、大阪府茨木市開業医勤務・歯科衛生士/宮坂乙美先生のお二人を講師に迎え、第5回食育講演会を開催した。
 参加者は歯科医師31名、歯科衛生士・歯科助手31名の62名であった。予想を上回る参加があったことは口腔機能や食育に対する関心の高さをうかがわせた。
 福岡先生は以前自分自身が重度の下顎前突であり、大学卒業後矯正治療から下顎骨切断手術、さらには再度矯正治療を受けたことで、患者側の経験もいかして講演された。
 生活様式の変化、食の軟食化による咀嚼・嚥下機能の低下による不正咬合の増加や、本来の鼻呼吸ができず口呼吸による不正咬合の増加を指摘し、現在の歯科医療は不正な形態に対しての技術や装置であり、結果に対しての事後処置・対症療法にすぎない。正常な咬合発育を阻害する悪習癖・異常機能を正常化することこそ、原因療法であり予防であると述べた。
さらに、口腔筋機能トレーナー「T4K」等を使用した多くの症例を見せ、舌の挙上訓練や口腔周囲筋の訓練により、顎骨の劣成長が正常に発育する様子を示した。特に、双子姉妹でトレーナーを使用した姉と使用しなかった妹の症例では、数ヶ月の間で両者に大きな差が出たことは驚きであった。
宮坂先生は歯科衛生士の立場から、口腔機能の重要性を食育と結びつけ、捕食・咀嚼・嚥下を担うのは口腔であり、いくら食べ物に気を遣っても口腔機能が正常でなければ食育にならないと指摘した。また、子どもたちが軟らかい食べ物を好み、朝食を食べないこと、食べ物購入の決定権を子どもが持つことや母親の食習慣の偏り等の問題についても触れた。
さらには歯牙萌出=咀嚼ではなく、授乳期・離乳初期・離乳食中期・後期・完了期に合わせた食物の形状や食べさせ方が重要であり、正常な咀嚼・嚥下のためには、口唇閉鎖をしながらの嚥下獲得が必要であると講演された。
我々歯科医師は歯の萌出後の機能ばかり考えがちであるが、歯の萌出以前の機能獲得にも目を向けるべきであり、萌出後もその形態にとらわれず正常な機能獲得・咬合発育を阻害する原因を早期に発見して取り除き、子どもたち本来の成長促進に貢献する必要があると考えさせられた次第である。

メモ
福岡先生
「不正咬合にいろいろあっても基本的には骨の劣成長があるだけで実はそんなにいろいろない」「だからトレーナー一つで大体は治る」
 1.6,7番のすれ違い咬合を見逃さない
 2.7番が咬合するまで定期診査する
 3.側方歯列群交換後には、欧米に比べて幅が広いのでニュータイプトレーナーを使用する
 4.下顎前突の時には、上下前歯で下口唇を、また、上顎前突では上口唇を噛む訓練をする
 5.舌のトレーニングの要点は舌尖をスポットに当てて水を飲めるようにすることです
 6.4番の捻転や上の3番のみが唇側に転位している場合はトレーナーのみでは治らない

宮坂先生
1.食べ物購入の決定権を子供から親へ
2.おっぱいをやりながらメールを打つのではなくお子さんの様子を見る
3.左右交互にだっこをしてミルクを飲ませ、非対称を作らない
4.うつぶせ寝をできるだけ避け、添い寝も左右差を作らないように位置関係を入れ替わる
5.食事中は、足の裏が床面にきちんと付くようにする。犬食いを避ける
6.格子模様をつけた布の前に立たせて写真を撮り普段の姿勢を見る
7.離乳初期のスプーンはくりの浅いものを選ぶ
8.赤ちゃんの上口唇を降りてくるのを待ち捕食機能を育成する
9.仕上げ磨きを嫌がるお子さんには口唇周囲のマッサージで脱感作する
10.口蓋に焼き海苔をつけてはがしゲームをする
11.透明なコップで水飲みをさせて舌や口腔周囲筋の動きを観察する
12.食源性低血糖  砂糖などの摂取により急な血糖値の上昇が過剰なインスリンにより元の状態よりも低い血糖値を招くこと

食育プロジェクト    第5回講演会
<第1部>
 成長発育と原因の除去に重点を置いた不正咬合治療への試み
  講師:福岡雅氏( 愛知県日進市aux歯科クリニック)
      愛知県保険医協会会員
      愛知県歯科医師会会員
      愛豊歯科医師会学校歯科保健担当理事
<第2部>
 歯科からすすめる食育
  ~口腔機能はハード・食べ物はソフト。お口を育てるのは歯科の仕事です!~
  講師:宮坂乙美氏
      大阪府茨木市医療法人中村歯科歯科衛生士
      日本食育協会認定食育指導士
      DHP認定嚥下トレーナー歯科衛生士
と き:2009年2月22日(日)9時~13時半ごろ
    ★第1部と第2部の間に、15分ほど休憩時間をとります。
     特に昼食はご準備しておりません。ご了承ください。
ところ:金沢都ホテル 5階 兼六の間 (金沢駅東口正面)
      電話076-261-2111
参加対象:歯科医師、歯科衛生士
参加費  :無料(ただし、非会員医療機関からのご参加は5万円となります)
主催  :石川県保険医協会
<歯科医師、歯科衛生士の皆様へ>
 「う蝕と歯周病は本来稀な疾患」とはR.C.Page先生の名言ですが、『食生活と身体の退化』(原著W.A.Price、邦訳:片山恒夫)を紐解けば、「不正咬合」も稀で、疾患の発症年齢を考えれば「不正咬合こそ」稀有な存在であったと分かります。成長期の不正咬合は、それを惹起している悪習癖や異常機能を一つ二つと減らし、 生体本来の機能を引き出してあげれば、ほぼ治ってしまうし、う蝕や歯周病よりも簡単に予防でき、早期であればあるほど治療も簡単であると考えています。もちろん予防なので100%確実という訳にはいきませんが、子供がやる気でありさえすればおおむねその満足域には到達します。最終的に歯科矯正専門医に診ていただくことになったとしても、かなり改善しているので治療期間の短縮や抜歯の回避には貢献できると思います。
 Australiaの歯科医師Dr.Chris Farrellが考案したTrainer Systemは、これといった技術がなくても患者Sideにも医療Sideにも不正咬合の治療を大幅に楽にします。(福岡先生)今回は、Trainerによる治療を手掛けてきた歯科医師・福岡雅先生、そして歯科衛生士・宮坂乙美先生をお招きしました。福岡先生には不正咬合治療の観点から、宮坂先生からは歯科衛生士・歯科医師が臨床で、公衆衛生の場でできる食育について、ご講演していただきます。歯科医療の新しい未来を予感させられる講演になればと期待しております。
多くの皆様のご参加を、お待ちしております。

○● 申込方法●○
次のいずれかの方法でお申込みください。
 ①末尾の申込書に必要事項を記入の上、Fax送信
 ②必要事項を明記した電子メールを下のアドレス宛てに送信
 ③電話による申込み
TEL 076-222-5373
FAX 076-231-5156
Email iskw_ono@doc-net.or.jp
<参加申込書>
■保険医協会の会員の有無 <次のいずれかに○をつけてください>
 ( ) 保険医協会の会員医療機関である
 ( ) 保険医協会の会員医療機関ではない
 ( ) この機会に、保険医協会に入会する
■医療機関名(              )
■参加人数歯科医師:(    名)/ 歯科衛生士:(     名)
■電話番号 (              )

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