シンポジューム「食育プロジェクトの最近の話題」
2008年10月02日(木)
とき 2008年10月2日(木)19時~22時00分
場所 保険医協会会議室
パネラー 不島先生、近藤先生、長門先生
内容 不島先生:「食性と顎発育」
長門先生:「口腔筋機能トレーナー等を使った症例について」
近藤先生:「最近の小児の口腔機能の変化と対策について」
食育プロジェクト会議では、議事進行の合間の雑談中に毎回色々な着眼点の違いに気づいたり、知的好奇心を刺激されたりする。あの会議のやりとりのおもしろさを多くの人と共有できたらすばらしいと思い、シンポジュームを開くことになった。
シンポジュームをすることになった経緯
2ヶ月に1度開かれる食育プロジェクト会議のなかで、不島先生が、上口唇のゆるみを伴う上顎前突、口蓋吸綴窩の名残が食生活との関わり深いことや食による大進化、小進化などについて話された。また、近藤先生、長門先生は、「1番と6番の萌出順序に関して、ここ20年の間に変化が生じている。約20年程前までは6番先行が8割、それが10年程前には半々となり、今や1番先行が9割を占めるなど、近年、子供達の口腔内は様々な変化を見せている。また、7番の近心傾斜や7番のすれ違い咬合が増えている」と話された。そして、あの不思議な舌を持ち上げる装置による口腔機能の調和等知らない未知の世界への興味を抱かせてくれた。
シンポジュームの様子 10月2日(木)19時から22時00分まで保険医協会会議室においてミニシンポジューム「食育プロジェクトの最近の話題」が開かれ、10数名の参加があった。食育プロジェクトのメンバーである不島健持先生、長門佐先生、近藤政子先生がパネリストとして食性と顎発育、口腔筋トレーナーなどを使用した症例、最近の小児の口腔機能の変化と対策についてパワーポイントやレジュメを用いて話された。
先ず、不島先生が「最近子どもたちに多く観られる歯列不正や上下顎骨のバランス不良は、食べ方や食べるものに起因する機能異常によって引き起こされるのか」を25年の臨床の経験や私的考察と実証された知見を交えて理路整然と解説された。
つづいて、長門先生が6から8歳のV字歯列などスペース不足による2番の舌側転位した症例にT4K(TRAINER FOR KIDS)を日中1時間と就寝中の装着によって歯列弓が拡大していく様子を報告した。また、多くの幼児に観られる上唇の富士山型の写真は、これから抱える問題の大きさを象徴していた。
最後に近藤先生が萌出順位、歯牙の幅径、口唇形態、舌小帯異常などに関するここ20数年における臨床現場からの子どもたちの変化を報告された。また、哺乳時や食事時の姿勢に関する注意点や離乳食、幼児食、成人食への着実な移行について解説された。
それぞれに対して質疑応答、疑問点などの活発な討議がなされ、今後に向けて取り組むべき課題も明らかになった。また、食育に関する輪の広がりも見られ、非常に有意義な時間であった。
メモ
不島先生から矯正治療を25年続けてこられて感じている点
不正咬合の中でもClassⅡが増えている
下顎骨は、オトガイが後退し、下顎枝が短く、下顎角が広くなっている
上顎骨が狭窄し、傍歯槽堤が残存しているV字歯列が増えている
上口唇の富士山型で、下口唇との間がわずかに開いている
近藤先生の観察
第一大臼歯と下顎中切歯萌出順序の変化
約20年ほど前までは第一大臼歯が先行がほとんどで、約8割を占めていた
10年ほど前の小児歯科学会の宿題報告では半々になっていた
現在では下顎中切歯先行が多くなっている
食事の時に足の裏が床にしっかり着くように工夫する
またテーブルの高さを肘が直角になるようにする
低いと猫背になり、高いと箸を持つ側の肩が上がり姿勢が悪くなる
母乳を飲む時に赤ちゃんが60度の体勢になるようにする
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