小島歯科医院 名誉院長ブログ

8.3.4.

2026年03月04日(水)


【1】令和7年度 医療機関等における賃上げ・物価上昇支援事業について
【2】エッセンシャルワークの賃金水準が労働需給ではなく、財政制約で決定される
【3】iPS細胞由来2製品の早期承認を了承 世界初の実用化へ 厚労省部会
【4】終末期医療の指針、救急など4学会改訂案 意思決定やケアの手順示す
【5】トランプ関税、米最高裁が違法判決 政権は反発、新関税10%追加へ
【6】能登町(石川県)海ブドウ養殖へ 特産の海洋深層水活用
【7】英の大学 中国に恐々
【8】躍進のチームみらい
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【1】令和7年度 医療機関等における賃上げ・物価上昇支援事業について
 (厚生労働省)
www.mhlw.go.jp/stf/newpage_69485.html
令和7年度 医療機関等における賃上げ・物価上昇支援事業について
 (厚生労働省)
www.mhlw.go.jp/stf/newpage_69485.html
 「医療・介護等支援パッケージ」の着実な執行による医療・介護・障害福祉現場への支援
 (厚生労働省 令和7年12月25日)
www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2025/2025_shiryo06.pdf
 今回の賃上げ支援事業の対象は、昨年の12月以降の昇給。従って、今年の4から6月の賃上げの前倒しとして考える。医療機関への支援ではなく、全てスタッフの賃金に支援である。6月以降の賃金を引き下げてはいけないので、診療報酬改正後の毎月のベースアップ評価料トータルから賃上げできる原資を予測しておく必要がある。年間や直近3ヶ月の患者数からある程度予想する。
 診療所の申請先は各都道府県で、石川県では3月上旬に申請開始となる予定。石川県からの詳細案内を待ち、2026年3月末までに申請するかどうかの決定をすることになる。
 詳しくは 2026年歯科新点数検討会
kojima-dental-office.net/20260213-8310
【2】エッセンシャルワークの賃金水準が労働需給ではなく、財政制約で決定される
 (リクルートワークス研究所 主任研究員 古屋 星斗 2026年02月16日)
www.works-i.com/column/labor-market/detail011.html
 厚生労働省の賃金構造基本統計調査を用い、2020年から2024年の足下5年の変化について、145の職種別を分析した。
 一般労働者の年収額は、2020年の487万円から2024年の527万円へ+8.1%増加している。重要なことは2020年から2024年の物価が8.5%ほど上昇していたという点である。平均の年収額変化率とほぼ同水準にあり、平均年収額変化率を超えたかどうかは、実質賃金を考える際にも重要な要素である。
 ここ5年で最も年収額が上昇した職種は「タクシー運転者」である。一般的なタクシー運転者に加え、介護タクシーや乗合タクシー運転者も含まれる。年収額変化率は+38.3%である。ただし、基準年の2020年がコロナ禍によってタクシー需要が縮小した時期であり、この点に留意が必要である。
 次いで、「歯科医師」が+38.0%と高い。合わせて「歯科技工士」も+18.1%と高い水準にあった。後述するが、医師を含む医療関係職種の変化率が低水準だったことと対照的である。ただし、歯科医師と歯科技工士はともに労働者数が1万人前後とされ、抽出率を鑑みれば200~300サンプルである可能性があり、結果解釈にはやや留保が必要だろう。
 3番目に、「外勤事務従事者」(集金人、市場調査員、メーター検針員等)が+36.3%、4番目に「建設躯体工事従事者」(大工、とび職、組立工等(※9))が+31.7%であった。
 統計に留意が必要な部分はあるものの、変化率が+30%以上であった1番目から4番目までの職種が実際に足を運んで手を動かして仕事をする「現業系職種」である。上位15職種のうち、いわゆるホワイトカラーは、6番目の「その他の経営・金融・保険専門職業従事者」(経営コンサルタントや証券アナリスト)及び12番目の個人教師(家庭教師やパーソナル・インストラクター)、15番目のその他の情報処理・通信技術者(システム技術者や情報セキュリティ技術者)である。
 ドライバー、建設現場、ものづくり、検査・整備などの現業系職種は有効求人倍率が高い職種も多く、企業の人手不足感も高い。労働需給の逼迫が、一部の職種における大きな賃金上昇という現象として表れた可能性があるだろう。“稼げる仕事”が徐々に変わってきている。
 職種別で年収額があまり上がっていない、あるいは下がった職種を見ていこう。“年収額が上がっていない”グループのなかに含まれるのが、医療・介護関連の職種である。
 例えば、78万人の一般労働者が従事する「看護師」は+5.7%の変化率であり、平均の+8.1%に及んでいない。職種別で最多の一般労働者数(107万人)である「介護職員(医療・福祉施設等)」は+3.4%とさらに低い水準である。医療・介護従事者の実質賃金は低下している状況にある。「医師」に至っては-8.5%と大幅減少となっている。
 また、あわせて「小・中学校教員」「高等学校教員」も+0.1%、-1.1%とほとんど増加していないかむしろ減少している。
 こうした近年年収が増加していない現業系職種、医療・介護・学校教員に共通することは、言うまでもなく賃金水準が“公定価格”である点である。賃金が市場によって決定せず、公的な枠組みで決定する。その決定のメカニズムは需給(労働需給)ではなく、主として財政制約である。
 現状、つまりエッセンシャルワーク・現業系職種における賃金上昇が二極化している状況が一層顕在化すれば、当然賃金上昇率が高い職種への入職の誘因が強くなる。それは、どこかの段階で“国家資格を取得までして入職した労働者”に対しても、職種転換により投じたコスト以上の利益を与える結果となり、別の現業系職種への労働移動を加速させる。これは医療・介護・学校教員といった社会機能維持の根幹に関わる仕事の従事者のうち、特に労働移動コストが相対的に安価な若手が急速に減少していく結果を引き起こす可能性が高い。
 すでに、地域で話を聞くと、介護福祉士の資格を取得して入職したばかりの若手が短期間で転職し、同じ地域でホテルマンになったり、塾講師になったり、といった話を聞くことが多々ある。従前から指摘されていた事務系職と現業系職の賃金差だけでなく、現業系職間での賃金差が顕在化し始めたことは、労働移動の容易さという点で、公定価格分野の労働供給に著しい悪影響を与えるだろう。
 インフレ下・労働供給制約下における現業系職種の賃金決定には、(職種間の賃金上昇率に大きな差異がなかった)デフレ下とは全く異質な難しさが存在する。財政制約だけで賃金水準を決定することは、地域における担い手減少による特定分野のサービス消滅のリスクが伴うことを認識する必要がある。誰が、どうやって、現業系職種の働き手の仕事への対価を負担するのか。労働需給の変化によって引き起こされつつある職種別賃金変化の動向に留意のうえで、私たちは新たな仕組みの構築を迫られている。
【3】iPS細胞由来2製品の早期承認を了承 世界初の実用化へ 厚労省部会
 (毎日新聞2026.2.19)
mainichi.jp/articles/20260219/k00/00m/100/012000c
厚生労働省の専門部会は19日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った二つの再生医療製品について、条件や期限を設けた上で製造販売を早期承認することを了承した。重症心不全を対象にした「リハート」とパーキンソン病を対象にした「アムシェプリ」。近く厚労相が承認し、世界初のiPS細胞製品となる見込み。
 京都大の山中伸弥教授らの研究チームが2006年、世界で初めてマウスの細胞からiPS細胞の作製に成功したことを報告してから20年。さまざまな臨床研究や治験を経て、実用化に一歩踏み出すこととなる。
リハートは重症心不全の治療で使う製品で、大阪大発ベンチャー「クオリプス」(東京都)が開発した。心臓の表面にiPS細胞からつくった心筋シートを移植する。生理活性物質のサイトカインが分泌されることで心臓に新たな血管が再生し、傷ついた組織が修復して心機能の改善が期待できるという。
 20~23年、大阪大病院を中心に4施設で患者計8人に治験が実施された。移植後に全員の症状が改善し、がん化することなく安全性が確認された。
 アムシェプリは住友ファーマ(大阪市)が申請したパーキンソン病治療のための製品。患者の脳にiPS細胞からつくった神経のもとになる細胞を移植する。
 パーキンソン病は、神経伝達物質ドーパミンを出す脳内の神経細胞が減ることで発症する難病で、手足の震えや歩行困難などの症状が出る。国内には約29万人、世界では1000万人以上の患者がいるとされる。
 18~21年に実施された京都大による治験では、有効性が評価された患者6人のうち4人に、介助が要らなくなるなど症状や運動機能の改善が認められた。移植した細胞のがん化は認められず、安全性が確認されたという。
 二つの製品は、実用化に時間のかかる再生医療を早く患者に届けるための「条件・期限付き承認制度」で審査された。少数の治験症例から有効性が推定された製品を「仮免許」のように早期承認する仕組みで、7年以内にそれぞれ数十例を調べ、有効性や安全性を示して「本承認」を取る必要がある。
 この制度で早期承認された製品はこれまでに六つあるが、有効性を示せず二つの製品が申請を取り下げ、四つは調査を継続中で本承認に至っていない。【中村好見、田中韻】
【4】終末期医療の指針、救急など4学会改訂案 意思決定やケアの手順示す
 (朝日新聞2026.2.27.)
news.yahoo.co.jp/articles/34cd9405750bd7031371c8573ceebabbc6f248cb
 日本集中治療医学会など4学会が27日、終末期医療の指針の改訂案を公表した。名称を「救急・集中治療における生命維持治療の終了/差し控えに関する4学会合同ガイドライン」とし、意思決定の方法に加え、緩和ケアの手順などを記載した。救急・集中治療の現場で、治療を尽くしても回復が見込めないとき、人工呼吸器などの治療を終了し、患者が望む穏やかな最期を実現しやすくする。
 人工呼吸器などの治療の終了をめぐっては、1990年代以降、医師が訴追される事件が相次いだ。厚生労働省は2007年、患者にとって最善の終末期医療を決めるための手続きをまとめた指針を公表。生命を短縮させる意図をもつ積極的安楽死は対象外としたうえで、治療の終了も容認した。
 ただ、厚労省の指針には終末期とはどういう状態か定義されていないことなどから、日本救急医学会、日本集中治療医学会、日本循環器学会の3学会は独自の指針を14年につくった。
 しかし、現場にはあまり定着しなかった。理由は、終末期の範囲が、集中治療室で積極的治療を続けても「おおよそ2~3日程度以内」に亡くなることが予測できる患者などと限定的だったこと▽治療を中止した後、どのような医療を提供すればよいか記載がなかったこと▽法的な責任を問われる懸念が払拭(ふっしょく)できなかったこと、などがある。
 このため、患者が望まない大きな苦痛を伴う治療が続けられたり、「一度治療を始めると、終えられないので、治療を差し控える」という事態も起きたりしていたという。
 今回の改訂案は、3学会に日本緩和医療学会を加えた4学会でつくった。改訂案へのパブリックコメントを3月27日まで実施したうえで、正式な指針をまとめる。(土肥修一)
 参考に
 パブリックコメント募集のお知らせ
「救急・集中治療における生命維持治療の終了/差し控えに関する4学会合同ガイドライン」
 (日本循環器学会2026年02月27日)
www.j-circ.or.jp/topics/itc_20260227_01/
【5】トランプ関税、米最高裁が違法判決 政権は反発、新関税10%追加へ
 (朝日新聞2026年2月21日)
www.asahi.com/articles/ASV1925H7V19UHBI003M.html
  トランプ米大統領が各国にかけた関税の適法性が争われた訴訟で、米連邦最高裁は20日、トランプ氏が権限を越えて違法に関税を課したと認める判決を出した。
 最高裁の違法判決は、9人の判事のうち6人の多数意見。トランプ氏が相互関税などの根拠とした国際緊急経済権限法(IEEPA)について、「大統領に関税をかける権限を付与していない」と明確に判断を示した。6人の内訳は保守派3人、リベラル派3人で、トランプ氏が指名した判事も2人含まれた。
  参考に
 ①「相互関税」に違憲判決
 (新潮社 執筆者:安田佐和子 2026年2月21日)
www.fsight.jp/articles/-/51927
 判決の核心は、合衆国憲法第1条第8節が定める「関税および通商の規制」に関する権限が議会に帰属するという点にある。最高裁は、IEEPAの文言や立法史、制定後の運用実績を踏まえても、大統領に広範な関税を包括的に付加する重大な権限を委ねたと解することはできないと判断した。とりわけ、この規模の関税措置に用いられた前例がないことや、重要な経済政策に関わる権限行使には議会による明確な授権が必要であるとの観点が重視され、下級審と同様の判断が下された。国内産業保護や交渉の「テコ」に関税を使ってきたトランプ政権の論拠は失われた。
 ②「米憲法は関税課す権限を議会にのみ与えている」 最高裁判決要旨
 (朝日新聞2026年2月22日)
www.nikkei.com/article/DGXZQOCB212DL0R20C26A2000000/
一、トランプ大統領は、金額や期間、範囲に制限を設けることなく大統領には関税を一方的に課すことができる特権的権限があると主張しているが、歴史的経緯や憲法上の文脈に照らした場合、こうした権限を行使するには議会の承認が必要。
(ニューヨーク=共同)
 ③物語 オーストラリアの歴史 新版
kojima-dental-office.net/blog/20260218-23576#more-23576
 イギリスからの苛酷な税金を断ち切るためにアメリカは独立した。従って保守派は税金に対する権限を守る。
   C.18世紀後半から現代までの歴史
     c.6つの植民地が統合された1つの連邦国家
      1.独立戦争がなかった理由
 アメリカはイギリスから苛酷な税金が徴収され、しかも発言権が認められない状況に置かれてきた。この永遠に続く隷属状況を断ち切るために独立戦争に突き進んでいった。
【6】能登町(石川県)海ブドウ養殖へ 特産の海洋深層水活用
 (読売新聞2024.12.11.)
www.yomiuri.co.jp/national/20241204-OYT1T50134/
 元日の能登半島地震、9月の豪雨と2度の大きな災害に見舞われた石川県能登町。11月中旬、港から150メートルほど離れた町有地で、新た15な特産品を生産する施設の地鎮祭が開かれた。雪国で始まるのは、なんと南国の海藻・海ブドウの陸上養殖だ。造成後長らく使い道がなかった土地を活用する事業で、復旧・復興への起爆剤としても期待される。
 「消滅可能性自治体」に分類される同町。人口減少と少子高齢化が進み、半島の先端で交通手段に乏しく、新規事業の誘致には苦戦していた。だが「こんな状況の町に投資できるのは自分しかいない」と手を挙げた同町出身者がいた。県内外に29店舗を展開する回転すしチェーン「もりもり寿し」を運営する「ウエノフーズサービス」代表の上野謹一さん(58)だ。
 上野さんは県内の水産高校を卒業しており、水産業に関わりたいとも考えていた。海面養殖は天候などに左右されやすいが、海ブドウの陸上養殖は安定した生産が期待できると昨年3月に知った。消費面も「伸びしろがある」と、養殖場建設に向けて動き始めた。
 海ブドウは、コンテナ内に設置された高さ約160センチのシリンダーで房状になるように育てる。水温管理などで、寒冷地でも安定して生産できる。何よりも水については同町の特産品である海洋深層水が流用できる利点もあった。これまで飲用としての販売が中心だったが、町も新たな活用方法を模索していた。海洋深層水は、川や雨の影響を受けにくくミネラルも豊富で、水質は安定している。
 上野さんは、コンテナを3基備えた養殖場を建設する計画を立てた。事業費は9700万円。同町は計画に対し、地域活性化につながる事業を支援する国の交付金制度を活用して約3500万円を助成する議案をまとめ、9月議会で可決された。町企画財政課では「全国に能登町の名前を知ってもらい、地域活性化や復興につなげたい」と力を込める。
 海ブドウはプチプチとした食感と豊富な栄養で人気の食材だが、生産量トップの沖縄県に依存しているのが現状だ。一方で気温の変化に弱く、独特の食感を損なわないようにするには常温での輸送が必須で、養殖場を各地に作って流通量を増やすのも有効だという。
 養殖場の場所は「もりもり寿し 能登総本店」の裏手にあたる。店頭での提供が可能となる上、同店に食材を運搬するトラックに海ブドウを積み込めば迅速に輸送することも可能だ。生産量は月1トンを見込み、このうち3割を自社で使用する予定だという。
 事業計画は地震と豪雨という2度の大きな災害の中で進められた。上野さんは「できることをやる。それが能登のためになる。事業が軌道に乗ることが、誰かの心に良いこととして届いたらうれしい」と言う。(金沢支局 若松花実)
 【年間通じ安定的生産可能に】
 沖縄県で養殖されている海ブドウの生産量は2022年で355トン。海水を掛け流しで育てる方法が一般的で、水温を25~28度に保つ必要がある。海が荒れた際は供給できなくなり、生産量が不安定という課題がある。
 コンテナ設備を使った陸上養殖は比較的新しい技術で、同設備の販売を手がけるビッグフィールド(東京都)によると、▽コンテナ内での徹底した温度管理▽LEDの24時間照射による成長促進▽養殖管理の自動化・スマート化――などで、年間を通じた安定的な生産が可能になったという。
 参考に
 海ぶどう もりもり寿し イオンかほく店
kojima-dental-office.net/blog/20260301-23804
【7】英の大学 中国に恐々
 (北陸中日新聞2026.2.20. 国際・総合 4面)
 留学生大量 授業に圧力 「学問の危機」教員憤り
 (ロンドン共同 伊藤隆平 中日新聞から出向)
 英国の大学で、中国を刺激しかねない内容を扱う授業や研究を排除する動きが強まっている。学部長から「中国人学生が集まらなくなると経営上困る」と授業内容の変更を指示された。英名門大ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンでは学生5万人強の約4分の1を中国人が占める。
 中国の研究に携わる学者への調査では、50人中32人が「大学は中国人学生への財務依存に影響され、中国政府との関係を重視している」との認識を示した。学者の一人は「中国共産党が学問のコントロールに成功した」と指摘。
 英政府は大学が外国や敵対勢力の「主な標的」になっているとみて、報告を促すなど実態解明に乗り出している。
 参考に かつてイギリスの自治領だったオーストラリア
 物語 オーストラリアの歴史 新版
kojima-dental-office.net/blog/20260218-23576#more-23576
 C.18世紀後半から現代までの歴史
  h.21世紀のオーストラリアの立ち位置 米中新時代の狭間で
  3.自由党のアボット政権、ターンブル政権
 豪在住の中国人実業家が政治献金を通じて与野党の政治家に接近し、中国に有利な世論を誘導し、豪政府の政策変更を促そうとしていることが明らかになり、ターンブル政権は2018年、外国による内政干渉を阻止するための一連の法律を成立させ、国家安全保障ならびに内政干渉に関する大幅な法改正を進めた。
  4.自由党のモリソン政権
 2020年モリソン政権は連邦議会で「オーストラリア外国関連法」可決。外国政府と州や特別地域政府を含めた国内公的機関が締結した合意を、連邦政府が見直すことができる法律。姉妹都市関係の締結から、あらゆる覚書に及び、大学などの機関にも適用される。すべての投資案件は、国益と安全保障の観点から審査され、連邦政府が認めるかどうかを精査することになった。モリソン首相は、ビクトリア州政府と中国が結んだ中国の広域経済圏構想「一帯一路」に関する合意を念頭に置いた。
【8】躍進のチームみらい
 (NEWSポストセブン2026.3.3.)週刊ポスト2026年3月13日号
news.yahoo.co.jp/articles/d1e9046ec89636af38d0eea72b9f590c738c39f2
ノンフィクション作家の広野真嗣氏がレポート【前後編の前編】
 候補者14人中5人が東大卒。
 全国で381万票を集めて目標の倍以上の11議席に到達。朝日新聞の出口調査によれば無党派層の比例投票先でみらいは自民党(23%)に次ぐ2位(14%)。中道改革連合や国民民主党の13%を上回っていた。
 他の全党の公約が消費減税に傾くなか、「今は消費減税よりも社会保険料の引き下げを優先すべき」という主張が寄与したと、安野氏は2月19日の記者会見で総括した。外国人や高齢者も恩恵を受ける消費減税より、現役世代の重荷を軽くすることが先だという訴えが響いたというのである。
 「右でも左でもなく未来」を掲げる安野氏の下に集まった平均39歳の党の候補者14人中5人が東大卒。起業家やコンサルなど経歴は多様だが、イデオロギーを脱臭したようなこのエリート集団が、巨大与党が主導する国会で存在感を高めている。
 2024年7月の東京都知事選時に設立された安野氏の政治団体への寄付者たちに共通するのは、金融やコンサルの分野で成功を収めた経営者や弁護士という経歴。しかし、それだけではない。衰退への危機感が強い地域で高齢者も応援。
 山形県山形市の北西隣、人口1万人の中山町で無所属系町議を務める夛田(ただ)慎二氏(42)は、昨夏の参院選以来のみらいのサポーターだ。「困っているのは町職員が減っていくことですよ。テクノロジーで行政や政治を改革するチームみらいのアプローチなら、地方の未来が変わると感じたんです」。例に挙げたのは、2024年の定額減税で痛感した深刻なマンパワー不足だ。「役場の人員だけで申請の確認をダブルチェックするのは大変だけど、システム的に処理すればミスも減らせます。元々、住民にとっても紙の申請書は分かりにくいし、1人暮らしのおばあちゃんが『これなんだべ』と書類を持って来た時には期限が切れていたりする。必要な人に支援が届けられないんです」。町議会でこうした問題を質問もしたが反応は鈍く、夛田氏は、国から変わることを期待する。すでに安野氏は昨年11月の国会で、「従来の申請主義からプッシュ型への転換が不可欠」と政府に迫っている。
 夛田氏の話でもう一つ、仙台市内でのビラ配りの手応えが興味深い。「若い人が支持するイメージでしたが、実際は高齢者ほど受け取ってくれた。消費減税に反対してくれたのがよいと応援されることが多かった」。衰退への危機感が強い地域で幅広い世代に支持が広がった。鈍感なのは永田町のほうなのだ。(後編に続く)
 (NEWSポストセブン2026.3.4.)【前後編の後編】
news.yahoo.co.jp/articles/d0b5a18683c522fb7c66161fc0bcbef608d8c84f
 日本労働組合総連合会(連合)の元会長、神津里季生氏も安野氏を「まっとうな政治家」と評した。神津氏が注目するのは、給付付き税額控除をめぐる安野氏の姿勢。これは低所得者ほど税負担を軽減し、あるいは現金給付でまかなう控除制度だ。
 給付付き税額控除が最初に登場したのは消費増税を決めた2012年のこと。連合が支持した旧民主党が提案した政策で、神津氏のこだわりも強い。神津氏は「私見では、中道こそみらいと連携すべきですよ」と話した。
 ネットと大衆運動が専門の伊藤昌亮・成蹊大学教授、業界団体や世襲議員を基盤とせず、直接に意見を汲み取ることで党勢を拡大。人々の願望とつながる仕組みが強みだ。みらいの場合、「声が届くマニフェスト」と称するブロードリスニングの仕組みを通じ、有権者の政策提案を柔軟に取り込んできた。選挙期間中にも6000を超える政策提案を受け付けている。これが支持者の参加意識につながり、党員・サポーターは3万5000人の規模にまで膨らんだ。
 安野氏は「近い将来、AI失業が大規模に起きてもおかしくない」との危機意識も述べている(2月9日TBS NEWS DIG)。その意識を踏まえ、取り残されてきた働き手の層、非正規やフリーランスも視野に入れて雇用制度や慣行に改革を提示するなら、分断を煽らないばかりか、分断を癒やす政治集団に化ける可能性もある。それは退潮が明らかな日本のリベラル勢力には見せられない希望なのかもしれない。

 

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